トラウマの真実(8/8)

「お母さんだって、苦しいでしょ。お父さんがいなくなって」

 だんだんと息ができるようになった。

「そうだよ」

 泣きそうな声で二人、会話をしていた。

 夜の公園で二人、悲しみに溺れていた。


 翌日、僕は転校した。ここから離れて、もう思い出さないように引っ越した。

 お父さんが亡くなったことに対する悲しみは、いつまでも消えなかった。ただ、前に一歩でも踏み出そうと、努力するしかない。僕にできるのはそれだけで、天国に行ったであろうお父さんを喜ばせるのもこれくらいしかできない。でも、それだけでも僕はやってあげたかった。だって、お父さんが好きだったからだ。

 何も悪いことをしていないお父さんに、どこかの政治家の悪事をばらしただけで裁かれることのおかしさを伝えたかった。


 今でもたまに思い出す。

 あの時の僕は、まるで傀儡のようだったな――と。

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