トラウマの真実(6/8)

「あんた、超鈍感だな」

「そして押しに弱い」

「馬鹿ですねえ」

 奴らはその場で崩れ落ちた僕に対して、煽りを含めた言葉を放った。あの喋り方はしていない。この言葉に、普段なら動揺はしないだろう。ただ、今の状況は動揺せざる負えない。いや、動揺すらできないくらいに、僕の心は苦しみに包まれた。

「なんで……こんなこ……とを……した……?」

 どうにか声を振り絞って訊いた。

「どうしてか知りたいのか。まあ、教えてやってもいいが。まずは君の父親が犯したことから説明しないとだな」

 お父さんが何かしたとかは聞いたことがない。今から虚言を吐くのだろうか。

「君の父親は政治についての記事を書いていた。ある記事は、その対象になった政治家を自殺まで追いやった。その仕事をするうえでそうなるのはわかっていた筈だ。ただ君の父親はその犯したことについて何もしなかった。謝罪の一言もなかった。最低だ」

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