トラウマの真実(1/8)

 その日は何もなかったと思っていた。

 家に帰ると、すぐに玄関のチャイムが鳴った。誰だろうと思い、玄関を開けると思いもよらない人が立っていた。

「やっほー! ねえねえ、お父さんと合わせてー」

「なんだよ急に。許可を取らないで来るな。あと、今は親はいない。両方共だ」

「えー? せっかく会いに来たのにー」

「っていうかどうやってきた。家を教えた覚えはない」

 強く言った。もう家まで迫られると精神が耐えられないほど削られてしまうので、暗に帰れ伝えた。

「尾行だよ、尾行ー。ついてきちゃったー」

「ついてきちゃったー、じゃねえよ。プライバシーの侵害だ。あとさっきも言ったが親はいない」

 更に強く、怒っているような口調で言った。マジで帰ってくれ。(ちなみに直で言ってないのは僕に残っている少しの良心によるものだ)

「じゃあ、帰ってくるまで家にお邪魔させてー? いいよね?」

「無理。ごめん」

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