小説に書き綴ったトラウマ(10/10)

「……」

 黙ってしまった。やっぱり何か目的があって、僕に接してきているということが分かった。

「……別にー? 君と仲良くしたいから関わってるだけだよー?」

 声のトーンが下がったように聞こえたのは気のせいだろうか。まあ、質問に対する答えではないので問い詰めることにする。

「僕はその態度について訊いている。関わってきている理由は訊いていない」

「……こ、この態度が普通だよー? ちょっと変って言われてきたけど、特性だから仕方ないんだよねー」

「去年まではそんなんじゃないと目撃情報がある。いい加減嘘はやめろ」

「じゃあねー、交換条件はどー? 答えるからさー、君の父親に会わせてよ」

 最後の一言だけ喋り方が強かった。僕の父親? やっぱりそれ関係だったか。ただ、会わせるのはいいけど、目的が何なのかが掴めない。

「いいけど、なんで?」

「それはねー? ヒ・ミ・ツ♡」

 さっき強い言葉を放った人には思えないような態度だ。率直に言う。キモイ。

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