小説に書き綴ったトラウマ(4/10)

「ふざけんな。なんで俺らを差別するんだ」

「差別ではなく、区別です。自分の行動を振り返ってください」

 冷静を崩さないように答える。しかし、ひどくなっていくばかりだった。

「その態度うざいんだよ! やらせろと言っているんだから、おとなしく従え!」

「だから言っているじゃないですか。それはできません、と」

「チッ、うざいんだよお前! 罰だ、罰!」

 そういって彼らは六人がかりで僕の体を持ち上げ、教室の隅に投げた。僕は反抗するすべもなく、そこで倒れてしまった。


 後に知る、こいつらは小学校の時から有名だったいじめっこだと。


 静まった教室で倒れた僕は、またこんな目に合うのは何故なんだと考えた。小学校の時よりも、相手となにか関係を持っているとかがなかったので、僕の心はぎりぎり耐えた。

 僕は脳内で書いた小説を読み上げていた。あの小学校の時のトラウマ、心を閉ざした時の経験を書き綴った、あの小説を――。

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