小説に書き綴ったトラウマ(1/10)

「旭、おはよ」

「おはよう、優。……どうした、そんな顔して」

「いや、昨日家帰った後ね旭のゲームを少し遊んでたんだよね。その時にそういえば小説書いてるって言ってたなと思って、メニゲムの旭のアカウント名を検索してみたらさ、出てきたんだよ」

 不安定な声色で言ってきて、少し不安になる。

「小説が、か。どうだった?」

「最高だったよ! よくあんな小説書けるな。尊敬するよ」

「マジ? ありがと」

 不安定が安定に移り変わった。もともとの声色から急に変わって伝えてきたので、自分的には僥倖ぎょうこうに巡り合ったような、そんな感覚が僕の心を満たした。

「っていうか優、よく調べようと思ったな」

「ついなんか調べたくなるんだよなあ。なんていうか、初めて巡り合ったことはすぐにでも知りたいというかね。なんでも調べる癖がついたんだよ」

 こいつ、やっぱり頭いいんだなと感じた。何でもすぐ調べようとする、頭のいい人は知らないことはなくしたいという思考に至るので、納得の理由だ。

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