第12話 ダンジョン探索

「なあ、まだ着かないのか?」

かれこれ1時間くらい歩いているような気がするんだが……。そろそろ疲れてきたし休憩したいんだけどな……なんて考えていると彼女の歩みが止まった。どうやら目的地に到着したらしいので俺も足を止めて一息ついた。そして目の前に広がる光景を見て思わず息を飲んだ──そこにはとても巨大な扉があったからだ。

「ここかな?」

恐る恐る聞いてみると彼女は頷いた。

「多分ね」そう言って扉に触れる彼女だったが何も起こらない様子だったので拍子抜けしたのか首を傾げていた。だが次の瞬間、扉がゆっくりと開き始めたのだ。

「お、おい!勝手に開いたぞ!」

俺が驚いていると彼女は冷静に言った。

「どうやら正解だったみたいね」

そのまま中に入ってみると広い空間が広がっていた──壁や床は洞窟のようなゴツゴツとした岩肌で天井からは鍾乳石のようなものが垂れ下がっている。そして奥の方に巨大な石像のようなものが見える──あれがボスだろうか?とりあえず近づいてみることにした。

「デカいな……」

思わず呟くと彼女も同意するように言った。

「そうね……それに何かヤバそうな感じがするわ」

確かに彼女の言う通りだと感じた俺は警戒しながら進んでいった。だがその時、背後から何かが動く気配を感じたので振り向くとそこには大量の触手のようなものが生えていた!それらは一斉に俺たちに向かって襲いかかってきたのだ!咄嵯の判断で飛び退いた俺たちは何とか回避することができたのだが、次に待ち受けていたのは大量のモンスターたちだった!

「うおっ!?」

俺は驚きながらも剣を抜くと応戦するのだった。その様子を横目で見ながら彼女も杖を構えて呪文を唱え始める──やがて彼女の足元に魔法陣のようなものが現れ光り輝き始めたかと思うとそこから火柱が上がった!そして次の瞬間、炎の中から現れたのは巨大なドラゴンの姿だった!それを見た俺と彼女は同時に叫んだ──「「いけぇぇぇ!!」」

その声と同時にドラゴンの口から火炎放射が放たれた!!凄まじい勢いで飛んでいく炎の奔流はモンスターたちを焼き尽くしていく──あっという間に全ての敵を倒した俺たちは勝利の余韻に浸っていたのだが、ふと我に返ると自分たちが置かれている状況を思い出した。

「そう言えばここってボスのダンジョンだったよな?」

俺が尋ねると彼女も思い出したようで苦笑いを浮かべていた。

「ええ……すっかり忘れてたわ」そう言って頭を抱える彼女だったがすぐに開き直ったかのように叫んだ!

「まあ、いっか!どうせいつかは倒さないといけない相手だしね!!」

その言葉に俺も頷いた。

「そうだな!よし、行くか!」

こうして俺たちはボスの部屋へと足を踏み入れたのだった……。


***

扉を開けるとそこには巨大な石像のようなモンスターが立っていた。全身を覆う鎧のような甲殻に鋭い牙を持った口、そして長い尻尾が特徴のドラゴンだ──名前は『クリスタル・ドラゴン』というらしい……名前の通り全身が水晶のように透き通っているのだが、その割には頑丈そうな印象を受ける……そんなことを考えていると不意に奴が動き出した!どうやら俺たちの存在を認識したらしい!!

「来るぞ!」

俺が叫ぶと同時に奴の口から氷のブレスが放たれた!慌てて横に飛んで避けたが、次の瞬間には奴が尻尾を振り回して攻撃してきた!俺たちはギリギリのところで回避したが勢い余って壁に激突してしまった……!衝撃で崩れ落ちる岩の破片に埋もれながら俺は思った──このままじゃヤバいな。何とかしないと……。そこでふとあることを思いついた俺は彼女に提案してみた──「なあ、ちょっといいか?俺に考えがあるんだけど……」

彼女は少し驚いた表情をしていたがすぐに頷いてくれた。

「分かったわ!やってみようじゃない!」

その言葉を聞いた俺はニヤリと笑うと作戦を話し始めた──。


***

2人で攻撃を開始した途端、奴は凄まじい咆哮を上げた!だが怯まずに俺たちは次々と攻撃を仕掛けていく──奴も負けじと反撃してくるがその動きは鈍くなっていた。やはり相当ダメージを受けているようで動きが鈍くなっているようだ……あと少しだ……!!そう思いながら攻撃を繰り出しているとついにその時が訪れた!!奴の動きが完全に止まったのだ!そして次の瞬間、奴の体は光を放ちながら砕け散った!!

「やっ、やったのか……?」

俺が呟くと彼女はホッとした表情を浮かべた後で言った。

「ええ、終わったみたい」

その言葉を聞いた瞬間、一気に力が抜けて地面に座り込んだ俺だったが──次の瞬間には景色が一転していた……どうやら元の洞窟に戻って来たようだ……。だが一つだけ違う点があった──それは目の前に美少女が立っていたことだ!しかも全裸!突然のことに驚いている俺たちに向かってその少女は話しかけてきた。

「やあ!君たち!お疲れ様だったね♪」

ニコニコ笑いながら話しかけてくる少女に対して俺たちは困惑していた。そんな俺たちの様子を察したのか彼女は自己紹介を始めた。

「ボクの名前は『クリスタル・ドラゴン』だよ!よろしくね♪」

そう言って手を差し出してきたのでとりあえず握手すると、彼女は嬉しそうに微笑んだ後で話を続けた。

「君たちのおかげで助かったよ~!本当にありがとう!!」

そう言って深々と頭を下げてくる彼女に戸惑いつつも、俺は気になっていたことを聞いてみた──どうしてそんな姿なのかと。すると意外な答えが返ってきたのだった……なんと彼女──もとい、彼女は元々クリスタル・ドラゴンの姿だったらしいのだが、ある日突然、人間の姿になったのだという。しかもその時に持っていた魔力がそのまま残っていて魔法を使うことができたのだそうだ……。だが何故急に人の姿になれたのかについては本人も分からないと言っていたのでそれ以上追及するのはやめておいた──それよりも今はもっと大事なことがあるからな!そう考えた俺は早速質問してみることにした。

「ところでさ……どうしてそんな姿になったんだ?」

その質問に彼女は首を傾げながら答えた。

「うーん……それがよく分かんないんだよね……。急に人の姿になったと思ったら、急に魔力を使えるようになったというか……」

そこで一旦言葉を切ると彼女は言った──「もしかして君たちが原因なんじゃないかって思っているんだけど……どうなのかな?」

俺とソフィアさんは顔を見合わせた後、同時に首を横に振った。

「いや、そんなことはないと思うけど……」俺がそう言うと彼女も同意するように頷いた後で続けた。

「……まあ、いいや!とりあえずありがとね!」

そう言って満面の笑みを浮かべる彼女を見ているとこっちも幸せな気分になるのだった──その後、俺たちはダンジョンの外まで一緒に行くことになったのだが……その道中、彼女はずっと俺たちにくっついたままだった──しかも時折、胸を押し付けてきたりして誘惑してくるのだ!その度にドキドキさせられたものだが何とか耐えることに成功した俺たちは無事にダンジョンの外まで辿り着くことができた。

「ここまで来ればもう安心だね♪」そう言って微笑む彼女に別れを告げると帰路につくことにした。帰りの道中は行きと違って快適だった──何故ならモンスターが出なかったからだ!これは嬉しい誤算である!!

(これならもっと早く帰れるかもな)と思いながら歩いていると、ふとソフィアさんが話しかけてきた。

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