第12話 罰と地下鉄
墓地のそばにある「旧新シナゴーグ」は、現在はユダヤ博物館となっている。スペインシナゴーグよりよほど古いためか、内装はより質素で、それだけにより厳粛な空気に触れる心地がする。無論偶像崇拝を思わせるものは微塵もない。
プラハの街にはほかにも幾つかシナゴーグが
如何なる主義・思想をも超える彼らの文化財への態度は、欧州人の美徳と云ってよさそうだ。無論彼らにも宗教改革時代には新教徒による偶像破却運動があったし、さらに遡ればギリシア・ローマ芸術の損壊もあった訳だが、それらの歴史があるからこそ欧州人はこの倫理を深化させたのだろう。
そうして
ユダヤ人居住区の周辺には、カフカも友人たちと過ごしたであろうカフェや
プラハ名物トルデルネーキはバウムクーヘンやケバブのように、パン生地をくるくる回しながら焼いていく菓子で、観光コース上に
甘さもそうだが、量としても優に一食分に足る破壊力だ。今日は昼食は不要だろう。
膨れた腹を抱え、地下鉄の改札を通る。改札と云っても前述の通り、チケットを通す訳ではなく、開始日時を打刻する装置を横目に素通りするだけだ。昨日打刻した72時間有効のチケットは財布の中に
地下鉄のエスカレータは長く深く、
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