第9話 王の道と天文時計
夕食を堪能してそのまま眠りに就くことが許されるならば幸せなのだが、この後には仕事が待っている。権利あるところ、必ず義務もあるのだ。
義務から逃げるつもりは無論ない。だが仕事の時間までは間があり、夏の空は日がまだ高い。ささやかな街歩きは許されても
橋を渡ってすぐ、左手にクレメンティヌムの広大な敷地がある。修道院として建てられ、王室保護の
見上げると同時にからくり時計が動き出した。骸骨が砂時計を引っ繰り返し、時の鐘を鳴らして、生が有限であり毎日残り日数を磨り減らしていっているのだと人々に思い出させる。
私も思い出す――今夜の
私の思いを
旧市民広場を抜け、狭い道を火薬塔まで辿り着けば、「王の道」は其処で終わる。逆に辿ったから終点と表現したが、本来は
黒々と聳える火薬塔はまるで「王の道」の老いたる門番のようだ。実際塔の下部は大きく
塔に登り、頂上から周りを見まわすと、あらためてこの街が数多の塔や伽藍を蔵していることに気づかされる。オレンジの屋根が
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