やはり夢だった?
オシャレな港町。
高層ビルの並ぶ中、そのフロアの一つに、私の会社はあった。
「あっ社長、おはようございます」
「おはよう……ねぇ副社長、あの医者なんだけど……」
「はい。良いおくすりを処方してくれましたでしょ?」
「いや……うん。
たしかによく眠れるようにはなったんだけど」
確かに眠れている……のだろうか。
寝ているのか起きているのかわからなくなる。
しかし目覚めはスッキリする。
でも、朝のロンパース姿……あれが夢でなかったら、何なのだろう。
――……それだと、今も夢ということにならないだろうか?
(夢よ、そうでないと……私は……)
「ところで、昨日処方箋を、一日分しか貰わなかったんじゃないですか?」
「……え?」
医者に、私は行ったの?
じゃああの格好は……
「ほら、預かっておきましたよ」
あの医者が、なぜ私の会社に……
「ほら社長、着ましょ?」
え、着る……?
何を?
「ほら、今度会社の新商品のベビー用品ですよ。
社長自ら社内で着用して実験するんでしょ?」
いやこれ、処方箋じゃ……?
そうだったっけ……
いや、こんな事現実にあるわけ無いし、早く終わらせないと……
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