次の処方箋

「宮久保さん、どうも最近休みがちらしいですね」


「はい……よく眠れるし、目覚めも良いのですが……最近寝てるのか起きてるのかわからない事が増えまして……」


「なるほど。

 では、次に必要な処方は、これでしょうか」



 そういって医者が取り出したものは

  なんと哺乳瓶だった。




「……あの、一体、何のつもりで……」


「おや? 言うことが聞けないのですか?

 悪い子ですね」




 悪い子……子?



 ……あぁ、今「夢」なのか。

  こんな屈辱は嫌よ。 早く終わらせないと……






 でも、これいつの記憶だろう。











 ――ちゅう、ちゅう



「ふむ、なかなかいい飲みっぷりですね。

 夢の中ではどんな赤ちゃんだったのでしょうか」


 なんでも良いから、はやく終わりなさいよ……



「ふむ……では……ゴホン。

 チッチが上手、チッチが上手」



 あー……うん、オモラシするの?

 今出ないのに……あ、来た。出せる。


 力を抜いて……ちっち……









 ぴちゃんという水音が微かに聞こえて、診察室に水音が響き始めた。


 ――ちゅうちゅう


 口元で吸い付く音も負けずに鳴る。

 同時に、患者用の椅子からどんどんオシッコがぴちゃぴちゃと……今、連続した水音に変化した。




「うーん分かってはいましたが、掃除面倒ですね……

 ほら、スーツのままじゃ風邪ひきますよ、お着替えしますよ?」

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