よく眠れる、夢の内容

「良く眠れていますか、それは良かった」


「あの……それで……」


「はい、追加の処方ですね。大丈夫ですよ」


 一週間経過した。

 あれからというものの、毎日快眠である。


 寝起きはスッキリ爽快。

 不眠症開始前以上によく眠れている気すらする。


 体にも異常はまったくない。








 体には無い、のだが……






 夢の内容には大いに問題があった。









 私の人生は、オムツを当てていた期間の方が長いものの、幼少期から外れないままだったというわけではない。




 5日前は、小学校四年の時。

 両手を怪我した私は、スカートはもちろんパンツすらも脱げず、オムツを当てて登校せざるを得なかった。

 オムツなら、むしろ普通の子より早く卒業し、幼稚園に入った頃にはもう外れていた。


 その私が、トイレの個室内でオムツに出すのを抵抗し、それが無駄に終わった時の夢を見た。

 先生に話が通されており、サポートを得られるはずだったのだが、尿意を覚えたその尽くで協力が得られなかった。


 手が治る頃までおむつを使い続けた結果、トイレへ行きたいという感覚がなぜか無くなっていた。

 おかげで私は、オムツを当て続けざるを得なくなっていた。




 一昨日は中学の時。

 修学旅行の行きの新幹線だった。


 やってしまったのだ。シートの上で。 

 他のクラスメイトが大人な下着自慢をしたらしいせいで、出発直前に服装検査が入ることになり、事前にパンツを履いていた。

 その足で新幹線までバスで行き、渋滞。

 駅でトイレタイムを設けられず駆け足で新幹線。そして出発。

 出発点呼でトイレへ行くまで耐えきれず、やってしまったのだった。


 その上で夜。同室のクラスメイトにオムツの確認までされ、売り言葉に買い言葉で、オネショしないと宣言したのだ。

 にも関わらず翌朝やってしまい、おかげで私は卒業まで赤ちゃん扱いを受けた。




 昨日は高校時代だった。

 中学生のオモラシの影響で、遠方の高校を受験せざるを得なくなっていた。

 

 そこがお嬢様学校で、やはり服装検査。しかも抜き打ちであり、私は自らオムツをさらけ出す羽目になった。

 病気ということで話を通したが、外れかけだったにもかかわらず、しばらくオムツのままで居ざるを得なかったのだ。




 ……と、このように毎日、昔のオムツに関わる夢を見て、屈辱の再体験巡りのような状態になっていた。

 しかも、なぜか当時の姿ではなく今の姿、今の環境で。


 お陰で屈辱は当時以上。


 だが、繰り返されたことで、途中からは夢とわかった上で臨む事ができた。

 さっさと終わらせて目覚める。


 それが出来た。

 夢の早回しが可能になっていた。



 そんな嫌な、しかし早く終わらせようという意識も持てるまま、目覚めだけは異様にスッキリしていた。

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