第3話 公園で出会った

 僕はリフレッシュのために公園の真ん中付近を歩いている

 将棋で負けた心を癒すためだ


 紅葉が僕の靴にゆっくりと落ちた

 この公園は僕の家の近くにあり、日本でも敷地面積はベスト10に入るくらいの大きさである

 その時、研修会の時のライバルが道を横切った


「あ、」相手が声を上げた

 足を止め、彼はこちらへと足を向けた

「もしかして雄也か?」

 僕はコクっと頷いた

「俺は奨励会受けれなかったけどアマチュア大会で頑張ってるぜ」


「そうなんだ。僕は最近不調だよ」小さな声で言った

「そうか、雄也らしくないなぁ」


「え、僕らしくないってどういうこと?」僕は彼の目を見つめた

「いや、なんでもない」彼は顔を俯いた

「なんとなくだけど一回練習対局しようぜ」

 彼は木の将棋盤をバックから出した

「久しぶりにやるね。練習試合」

「それじゃあ持ち時間は無しでやろう」

「良いよ」


彼はポケットからスマートフォンを取り出し、ある動画を再生した

『振り駒の結果、雄也4段が先手となりました。それでは対局を始めて下さい』


僕はクスッと思わず笑ってしまった


「お願いします」二人は声を合わせて言った

”パシィン”駒音が公園中に鳴り響いた

僕は右四間飛車、彼は居飛車という戦型であった


中盤は僕の方が形勢が良く、上手く終盤へと持ち込んだ


終盤で僕は詰めろ《次に玉を詰ます局面のこと》を掛けた



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