あとがき(ネタバレあり)
この作品を読んでいただき、ありがとうございました。
これは私が少し悲しい物語を書きたくなったので産まれた作品です。
家族愛をテーマにして幼い兄がより幼い妹を守るというのはよくある構図だと思いますが、それにほんの少しだけですがサスペンス要素も取り入れた感じにしています。
皆様の一時の暇つぶしにでもなれば幸いです。
さて、概要欄でいくつか疑問形になっていた事があります。
自由に解釈していただいてかまわないのですが、以下に私の解釈を添えまして終わりにしたいと思います。
〈浩人の願い〉
浩人は最期に、妹と助けてくれた全ての恩ある人々の幸せ、を願いました。
セリフにすると次のような感じです。
「真由子と、僕たちを助けてくれた人たちが幸せになりますように」
これは、やはり妹には幸せになってもらいたいという想いと、自分が世話になった人々に、生きて返せなかった恩を返したいという気持ちからです。
聞いた神様は、これ実質二つの願いじゃない? と思ったかもしれませんが、浩人が心置きなく旅立てるようその願いを叶えてくれたようです。
少なくとも即時一つの願いは叶い、晴臣くんの母の病気の回復や、新聞配達のオジサンの腰痛の回復、色々と助けてくれたクラスメイト達にも、それぞれ少しずつですが幸せが訪れました。
〈真由子の幸せ〉
真由子は晴臣の話した、兄が最期に皆を幸せにしたという奇跡を信じました。
それをトリガーに自分の幸せとは何かを考えます。
そしてやはり兄とずっと一緒に暮らすのが、自分にとっての一番の幸せだという事に思い至ります。
通常は兄と妹は時が経つに連れて精神的にも成長し、自然に離れるものではありますが、二人の場合は特殊な別れになりましたので、兄を想う気持が忘れられずに残っていました。
これは男女の愛ではなく家族愛としてです。
肝心の兄はもう死んでしまっていますが、兄が「皆の幸せ」を願ったのであれば、恐らく「妹の幸せ」も願っているはずだという事に気付きます。
あの自分の為に命までくれた兄ならばと。
それならば今度は自分の子供として産まれてきて欲しい、形は少し変わるけれど兄と一緒に暮らす事が、自分の一番の幸せだと願いました。
無償の愛を注ぎ続けてくれた兄に今度は自分が返したいと。
そして晴臣にねだって妊娠し、男の子が産まれました。
恐らく神様は願いを叶えてくれたのだと思います。
そこにはもしかしたら浩人の意思もあったのかも知れません。
以上です。
天国へ行く僕と幸せになった妹 ぴっさま @mkanexyz
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