第26話 オジイチャンと一緒!
「アニキが心配でヤンス。どこに行ったでヤンスかねえ?」
あっしとオジイチャンは別の空間にやってきたでヤンス。あとから来るはずのアニキだけ何故かやってこないでヤンス。前の所に取り残されてたり、別の所に行ったでヤンスかねえ?
「オジイチャン、どうするヤンスか? リーダー不在では動きようがないヤンス!」
「ふーむ、どうしたもんかのう? 異世界を行き来出来ても、人の居所は流石に儂でもわからんわい。」
「ええ~っ!? しょんなあぁ!?」
これは詰みでヤンス。終わったでヤンス。あっしの人生がここで終わってしまうなんて。しかも正体不明のオジイチャンと一緒だなんて……。せめて女の子と一緒が良かったでヤンス。ミャーコちゃんやエルしゃんに会いたいでヤンス。
「会いに行けば問題なかろう。」
「ファッ!?」
考えていることが読まれたでヤンス! いやいや、そんなことが出来るわけないヤンス。気のせいヤンス。
「気のせいではないぞい。筒抜けじゃ。特にお主の思考は単純すぎてダダ漏れなんじゃよ。」
「しょぎゃワーン!?」
「なんじゃ、その反応は?」
も、漏れ? 思考が漏れションしてたでヤンス! ショックで漏れそうになるでヤンス! 恥ずかしヤンス!
「そんなことしとる場合か? まずはここがどこかを把握せねばなるまいて。」
「ワハッ!?」
アニキがいないことに気を取られすぎていたでヤンス。はて? ワテ? ここはどこヤンス? でも、見覚えが……ってタマネギ臭いヤンス! あの宿場町でヤンスかな?
「お主の記憶にある場所なんじゃな? 早う、時期を特定せい。手掛かりを掴むのじゃ。」
「ワッフゥン?」
多分、おとといくらいだと思うヤンス? まだ、太陽も低い位置ヤンスし、人通りも少ないヤンス。宿を出る日の朝ヤンスかな? よく見ると宿泊した宿が見えヤンス! ワん? ……見覚えのある人がいるヤンス? あの背中にしょってるあの剣はもしや?
「あの坊主じゃろう? 前の空間の時よりは成長しとるようじゃな。身長が伸びておる。」
「多分、おとといの朝ヤンス!」
まさか、あの日の美少年がさっきのエルしゃんの弟と同一人物とは思ワンかったでヤンス! でも? なんであの日にここにいたんでヤンスかな? エルしゃんのことをつけてたでヤンス?
「お主の記憶と共通しとるからかのう? まあよいわ。追うぞい。」
あの日、宿に入ってくる直前なのは間違いないヤンス。……てことはミャーコちゃんにも会えるヤンス。
「少年が宿に入ったヤンス。」
「儂らも入るぞい。様子を窺いつつ、あくまで普通の客として振る舞うぞ。酒でも頂くとするかのう。」
「そんなことしてたらバレるでヤンス!」
オジイチャンの企みは阻止して、張り込みを続けるヤンス。でも、このままだとあの日のあっし自身に遭遇してしまうヤンス! いいんでヤンスかね? とりあえず、身は隠しておくヤンス。
「オヤジ、パンとスープをくれ! タマネギはいらねえから、入れるなよ!」
「……あいよ。」
注文してるでヤンス。相変わらずのタマネギ嫌いでヤンスな。でも甘えは甘えでヤンス。この後、ミャーコちゃんに叱られる運命でヤンス。
「ワハッ!? あ、あ、あ! あっしが来たでヤンス!」
自分の姿を見ることになるとは思ワンかったでヤンスな! でも、なんかおかしいヤンス?タマネギ馬鹿がついてきてないヤンス? 記憶と食い違っているヤンス。
「どういうことじゃ? 説明せい。」
「どう、って、いるはずのヤツがいないヤンス。」
「おかしいのう。これは少し警戒したほうがいいかもしれんのう。」
ちょ! 恐いこと言わないで欲しいヤンス!何がくるかわからんヤンスから。心配になってきたでヤンス。
「おい、入れるなって言っただろ!」
「なんです? 具無しなんて聞いてないですよ。名物のタマネギをふんだんに使ったスープです。」
「違う!」
始まったでヤンス! 例の問答が始まったヤンス。この辺りはまだ、あっしも聞いてなかった部分でヤンス。そろそろヤンス。
「だから、タマネギはいらないって言ってるだろ!」
「そう言われても困るんですよ、お客さん。スープの中からわざわざ取り除くのは無理ですよ。」
「……チッ!」
そろそろ、ミャーコちゃんが来る頃でヤンス。おや? ミャーコちゃんが階段の所で見てるヤンス。この時点でちゃんと見てたんでヤンスなあ。あっ、少年のところへ向かっていくでヤンス。
「ダメだよ。好き嫌いしてちゃ!」
「……ムグッ!?」
ここもそのまま同じ事が繰り返されるだけかと思ったら……ミャーコちゃんが予想外の行動に出たでヤンス! 手に取ったスプーンでタマネギを強引に少年の口に押し込んだでヤンス!
「仕返し! ざまあみろ!」
あれは知っててやってるでヤンス! あれはこの後の展開を知らないと出来ないでヤンス!あのミャーコちゃんは生身のミャーコちゃんでヤンス!
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