第27話 どこにでもいる酒飲みジジイじゃよ。
「げえっ! ……げほ、げほっ!」
衝撃でヤンス! 記憶とは違う現象が起こったでヤンス! でも、こんなコトしたら、ミャーコちゃんの身が危ないでヤンス。ヘタしたら殺されるヤンス!
「お、お前……よくも!」
ぺっ、ぺっ、っとタマネギを吐き出しながら、ミャーコちゃんを睨み付ける少年! 一触即発な雰囲気になってしまったでヤンス。
「……お前を殺す!」
少年は背中の大きな剣を抜いたでヤンス! あの時よりも殺気立ってるでヤンス! これは確実に殺すつもりでヤンス!
「……死ねぇ!」
少年は剣を突き出しミャーコちゃんの顔らへんを攻撃しようとしてるでヤンス。な、な、な、何とかしないとマズいヤンスぅ! ダッシュで体当たりでドーンするしかないヤンスぅ!
(ドズッ!)
剣がミャーコちゃんの顔すれすれを通り過ぎて。後ろにいる何かに突き刺さったでヤンス! あれは宿のオジサンでヤンス。な、何でそんなとこにいるヤンス!
「お、お客さん、いけないなぁ! うちの自慢のスープを台無しにしたあげく、私を殺そうとするなんてなぁ!」
オジサンの目がイってるでヤンス! なんかおかしいヤンス。後ろを見たミャーコちゃんもそれに気付いて少年の近くに移動したでヤンス。
「ありがと、ウチを助けてくれて。」
「お前を助けたつもりはない。優先順位が違うだけだ。次はお前を殺す。」
少年は言いながら、オジサンに刺さった剣を更に深く差し込みながら体当たりしたヤンス!その勢いでテーブルやら椅子やらが倒れてしまったでヤンス。
「さっさと姿を見せろ、蛇の魔王! 狙いはオレなんだろ?」
「勘違いしているようだな? お前は邪魔者なだけだ。狙いはあくまで勇者一味。お前のような小僧はいつでも殺せる。」
「それに……一度に操れる体が一体だけだと思っているでガンスね? 違うでガンスよ。」
あっしの偽物がしゃしゃり出てきたでヤンス! 口調が違うヤンス。再現度低いヤンス!やり直しを要求するでヤンス!
「ワンちゃんめ、裏切ったな!」
ミャーコちゃんが勘違いしてるでヤンス! そっちは偽物ヤンス。あっしも出ていって釈明するヤンスぅ!
「ミャーコちゃん!」
「あれ、こっちにもワンちゃん? 分身の術なんていつ憶えたの?」
「違うヤンス! あっちは偽物ヤンス!」
「んー?」
偽物と見比べてるヤンス! 見た目は同じだから、そんなコトしても意味ないヤンス! と思ったら、あっちはなんか巨大化して凶暴そうな外見に変わったでヤンスぅ!
「グウウルルル! ギャボウワァ!」
「あー、そっか、そっか! あっちが本物だ!」
「違うヤンス! あっしはそんな凶暴じゃないヤンス! 狂犬病にかかった覚えはないヤンスぅ!」
「え~? でも、あっちの方がかっこよくて、強そうじゃん! だから、あっちが本物ってことで!」
「しょぎゃワーン!?」
あんなのを本物認定されてしまったでヤンス。とほほーん! これからあっしの立場はどうなってしまうでヤンス。
「ギャバババァァァッ!!!」
とか思ってる間に偽物がこっちに襲いかかってきたヤンス! 無理ヤンス! 偽物に殺されヤンス!
「天破奥義、跋渉歩法!」
いきなりオジイチャンが目の前に現れたでヤンス! それはともかく、助かったでヤンス。恐ろしっこで、危うくちびりそうになったヤンス!
(ドゴォォォォン!!!!)
なんかパンチ一発で宿の奥の方まで偽物が吹き飛ばされたでヤンス。このオジイチャン、どんだけ力持ちなんでヤンスかね?
「ウグオゥッ!? ジジイ、よくもやってくれたでギャンスなぁ!」
あれだけ吹き飛ばされても生きてるでヤンス! 偽物は頑丈ヤンス! 痛みのせいか偽物の口調が更におかしくなったでヤンス!
「ねえ、ワンちゃん、このお爺ちゃん誰?」
「詳しくは知らないヤンスけど、アニキのお知り合いであることは間違いないヤンス。」
「この前言ってた、酒飲みのお爺ちゃんか?」
「多分そうヤンス。」
酒好きなのは間違いないヤンス。さっきも飲む気マンマンだったでヤンスから、そういうことにしとくでヤンス。
「おのれ! 瞬間移動まで使うとは何者ギャンスか?」
「此奴ら、若いモンが言うとる通り、ちょっと格闘が得意な、どこにでもいる酒飲みジジイじゃよ。」
「ただのジジイが瞬間移動などするものかぁ!」
偽物が起き上がって再び飛びかかってきたヤンス! 更に爪と牙を伸ばして凶暴な姿になったでヤンス! 恐いヤンスぅ!
「跋渉歩法!」
(ズドォォォォン!!!!)
あああ! 今度は壁を突き抜けて宿の外まで吹っ飛んでしまったでヤンス。もうこれは相手も絶対死んだでヤンス!
「ただの瞬間移動と思うたら、大きな勘違いじゃ。瞬間移動の要領で移動距離を圧縮して、威力を上乗せしとる。やろうと思えば、至近距離どころか相手に触れとる状態でも繰り出せるぞい。これは儂だけが使える、儂専用の奥義じゃ。」
「お爺ちゃん、ニセワンちゃん聞いてないと思うよ。」
「おう、技が効いとるだけにのう! うまいこと言うモンじゃ。お嬢ちゃん、なかなか気の利いた事を言うモンじゃな。」
「ええー? そんな事言ったつもりないんだけど?」
ああーっ、戦闘中なのにヘンな掛け合いが始まったでヤンス。緊張感がなくなったでヤンス。向こうでは少年がオジサンと死闘を繰り広げてるのに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます