第4話 転校生 ②

「泰花にはもう教えているんだが、俺は大昔、悪魔を統べていたんだ。もちろん人間とも親しかった。だけどその時代は終わった。不届者の悪魔たちが一斉に立ち上がって、その時代は崩壊したんだ。」

「それは本当なの?」

「いや、それが。記憶が曖昧なんだ。お前が言っていた叡智の悪魔ソフィアは必ず何かを知っている。そいつの居場所はわかるか?」

「それがどうやら、私も一部記憶をすり替えられてる気がするの。あの悪魔に出会って、始祖の悪魔を教えられ始祖の悪魔に会いに行ったの、そしたら今は叡智の悪魔ソフィアといつどこでどんなふうに出会ったのかを全く思い出せないの。唯一覚えているのは能力が記憶操作ってことだけ。」


でも、不思議なことが一つある。


「えっと、僕が思ったのは、その叡智の悪魔ソフィアは君がモンドに会いに行くだろうと予想できたはずなのになぜ記憶操作の能力だったって記憶だけを残したんだろうなって…」


「わかった。俺は確信した。叡智の悪魔ソフィアは必ず時代の崩壊と今の俺に関係している。俺の最初の目標はそいつに会うことだ。」



ガタッーー



物音と共に人が走っていく音も聞こえた。


「やはりな、誰かが見ていたようだ。でもあの人間は全く覚醒していると思えない。泰花ではない見えない何者かにただ意味わからない言葉を連呼しているお前を見て震え上がったんじゃないか?」

「変な事言わないで、と言うか誤解を解きに行かないと!」



先程、覗いていたのは隣のクラスの岩田くん。

噂好きなようで、スピーカーとも呼ばれている。やはり幾世さんの噂を流そうとしていたらしい。


「どうなるかわかってるよな?💢」

「はい…!絶対に噂にしません!!!」


と、何事もなく終わった。



「私のことは綾って呼んで。私も泰花って呼び捨てにするから。これからは共に戦う仲間として仲良くしよ。」

「わかった綾。」



後日、僕たちのまた別の噂が流れたことは言うまでもない。

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