第2話 世界のズレ

日曜の日差しが指す部屋で、おもむろにテレビをつけるとバラエティ番組がやっていた。


「あれ?この人は?」


有名芸人の後ろにまるで存在感がない女性がいる。空気と化していて、誰も気づいてないような人だ。


「おそらくそれも悪魔だ。どんな能力が使えるかは分からないが、俺ら以外に見えてないっぽいからな。」

「こう言うのって、映像越しでも見えるもんなんだね。」

「基本的にそうだな。考えたことなった。」


『そうなんすよ。僕、学生時代はあまり学校好きじゃなくて…』

バラエティ番組で学校の話題になっていた。


「そうだ…学校…。」


学校のことを思い出した。覚醒した人は悪魔が見えるようになる。もし学校にも覚醒者がいたら、そしてその覚醒者が敵だったら、と不安が募る。


「安心しろ。俺はすごく強いと言うわけではないけど、決して弱くはない。頼りにしてろよな。」

「わかった、モンド、君を信じてる。」

「ああ。」



翌日の朝は目覚めが良かった。



「俺はお前の器に隠れてる。器の中でもお前とは話せる。なんかあったらその時は焦らずに俺に教えてくれ。」

「器に隠れている間は話すことしかできないの?」

「悪魔によっては他に出来ることもあるが俺は特別出来ることは何もない。ただ触れたものを能力は使えるぞ。俺の能力は基本的に器の中にいて発揮するからな。実を言えば俺の存在価値はあまりない。」


「そんな事言わないで。モンドは僕に悪魔を教えてくれた。まだまだ知らないことは沢山あるし、これから仲良くしていきたいからね。」


「ありがとう。」



そんな会話をしてすぐに家を出て学校へ向かった。



『あ、あ、こんな感じだ。聞こえるだろ?』


少しびっくりした。脳内に語りかけられてる感じだ。なんかこんなミームがあったな。


『お前は俺に伝えたいことを頭の中で考えれば、それとなく俺にも伝わるから。間違えても敵かもしれない奴の前で俺に口で話しかけるなよ?』

(こう言う感じか?)

『そうだ。そう、また後でなんかあったら呼んでくれ。』




「転校生を紹介します。」


僕の通っている高校は公立で転校生が来てもおかしくはないが、タイミングが怪しすぎる。


(転校生が来るらしい。タイミング的に怪しいからマーキングする。)

『了解。いつでも戦える状態にしとくぞ。』

(そんな物騒な。)


幾世綾イクセアヤです!よろしくお願いします。」


「みんな机が一つ増えてたのは気づいたか?そこが幾世の席だ。」


隣に席があることに全く気づかなかった。

本当にただの転校生なのだろうか。

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