何処が我らの世界だ?

ショウ

第1話 悪魔との遭遇

目が覚めた時、頭がまだぼーっとしている中、見たことない男がいた。

父かと思ったが、父はとっくの昔に死んでいる。


「誰なんですか…?」

恐る恐る話しかけてみると、男はこちらを向いた。

「俺は悪魔だ。」

「悪魔…?悪魔ってあの悪い魔のことですか?」

「そうだ。お前は覚醒した。そしてお前の器の奥底から俺を呼び出した。」


よく分からないことを言う人だ。この世に悪魔という伝承はあるけど実際に存在するはずがない。でも状況として、あり得なくもない話である。


「覚醒ってなんですか?悪魔のことについても教えてください。」

男は少し黙った後、つらつらと説明をし始めた。

「覚醒とは、人間が恐怖に克服したということだ。だが、ただ単にトラウマを克服しただけじゃ覚醒はしない。心から恐れている恐怖、それに大きな衝撃が加わって克服することで覚醒する。そして悪魔についてなんだが…」


悪魔は何千年も前から存在する、人の感情から生まれたもので、言ってしまえば概念である。

覚醒することでその概念の中から悪魔だけが引っ張り出されるらしい。悪魔は普通の人間には見えず覚醒した者だけに見えるっぽい。聞けば悪魔は万物に宿るとか、人から物に対する恐怖を吸収して育つ悪魔で、悪魔たちはと呼ぶらしい。



「理解できたか?」

「はい、大体は。で、多分僕はこれからどうすればいいんですか?」

「まず端的に言うと、俺の目的はこの悪魔社会を消して完全に人間だけの世界にする。お前はそれを手伝ってくれ。」

じゃなくて?」


悪魔が悪魔だけの世界を作るのはわかるが、人間だけの世界を作ろうとしているのは少し引っかかるところがある。


「昔は悪魔を牛耳る魔王?的なたちばにいて、人間とも共存していたんだが、とっくの昔そんなものは崩れ去っていつのまにかこんなになっちまったんだよ。」

「悪魔は全員敵という認識でいいんですか?」

「いや?俺も一定数は仲間がいる。奴らとまた会えるかは分からないが、相手が仲間と言わない限り、敵で間違いなしだ。」


ふと思うと悪魔は名前があるのか?名乗られていないから名前がないのか、言ってないだけか分からない

「あの…」

「そういえば俺の名前を言っていなかったな。」


一息ついて男は名乗る。


「俺は衰弱の悪魔・モンドだ。これからよろしくな!」

「よろしく、モンド。僕は雪弥泰花セツヤタイガです。」


「もう、俺らは一心同体、敬語なんて使わずにタメでいこうな。」

「うん!」




悪魔たちは世界に無数にいる。泰花たちは目的を成し遂げられるのか!!??


ーー世界の均衡がずれていくーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る