第37話干支十二神対守護聖人 申 酉

 十二関 第九関 申 猿田彦 庚申 

 

 対するは守護聖人 スコーピオンのキャスタ 

 

 「っへきやがったな、俺の棍棒術をみせてやる」 

 

 「猿の十二神か?俺はスコーピオン、俺の毒にどこまで耐えられる?」 

 

 「当たらなきゃって話じゃん、俺からいくぜ!」 

 

 棍棒を振りかぶった庚申の体がぴたりと止まり動かない。 

 

 「サンドロック、俺は砂も操る。動く事もできまい。そしてこれで終わりだ。蠍座唯一の紅点、受けれる物なら受けきってみよ!ドラゴニック!アンタレス!」 


 蠍座最大最強の赤星、アンタレスが大砲の様に放たれる。 

 

 「うおおおおおおおおおおおおおお!金気、金剛の術」 

 

 パギャーンと聞いた事もない轟音と共に庚申はアンタレスを受け、それでも倒れずに後方に着地する。 

 

 「いてて!なんて技だ!金剛を貫きやがった」 

 

 「驚きたいのはこっちだ。アンタレスを食らって痛いだけですんでるだと!?貴様どんな肉体構造している!!」 

 

 「へへ!おいらの体は特別性でな、普通の人間とは筋肉の密度がちがうの、核撃魔術ですらおいらには傷つけられねぇ。先祖の斉天大聖、猿の行者が金丹を食って無敵になっていらい、とお~い子孫も同じ特性を受け継いだのさ。さぁいくぜ!いくぜ!いくぜ!おい!猿田彦流 昆術 無双三段!!!」 

 

 「ぐおおおお!」 

 

 庚申の三段の攻撃がキャスタに刺さる。 

 

 「烈火炎段 火王無双連撃」 

 

 庚申の攻撃は止まらない。 

 

 流れる様な演武でキャスタは着地する事もできずに、宙に浮いたまま攻撃を受け続ける。 

 

 「とどめいくぜ!猿王 舞踏撃 猿皇王 閻魔!!!おら!おら!おら!おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁ!おらぁ???」 


 庚申の無数に分身しての奥義が、段々と一撃の威力が弱まっていく。 

 

 「なっなんでだ!?体がまともにうごかねぇ」 

 

 「ちぃ、やっと聞き始めたか。ばかすか好き放題打ち付けやがって、こっちはアンタレスまでいれてんだぞ」 

 

 「なにしやがった~あ」 

 

 「毒だよ、毒、俺はスコーピオンだぞ。通常なら激痛と衝撃と痺れで動けなくなる毒を何発いれたとおもってんだ!?化け物かてめぇ!」 

 

 「ぐわわわわ、体がじんじんすすすするるるるる!」 

 

 「止めにはアンタレスを最高濃度で食らわせてやる!死ね!」 

 

 がくがくと震える庚申に襲い掛かる、猛毒。 

 

 「俺も怒ったぞ!神火!炎神!滅却白火「滅火」!!!」 

 

 毒と少し拮抗するかと思うも、一瞬のうちにキャスタは火に呑まれ骨までチリになった。 

 

 毒すらも浄化する神の火が勝敗を決定づけた。 

 

 十二関 十関 酉 朝比奈 ひな子 

 

 守護聖人 カプリコーンのアラヤ 

 

 「何が干支十二神だ。所詮は俺達のパクリだろ?そうそうに始末させてもらう!絶 剣 抜 刀 !」 

 

 「へぇ~それが全てを切り裂くといわれる。カプリコーンの絶剣かぁ、一輝様の異空間さえも切り裂いたってきいたよ。こっちも負けないよ。朝比奈流みせてあげる」 

 

 「いくぞ!絶剣!!!」 

 

 朝比奈に容赦なく斬撃の雨が降り注ぐが、余裕を見せながらも回避していく。 

 

 「当たらなければ、どんな名剣も意味ないよねぇ。」 

 

 「ならば当てるまで、縦横無尽に切り裂くのみ!」 

 

 だんだんと逃げ場がなくなっていく、斬撃の攻撃。 

 

 「斬撃ならこっちだって!朝比奈流、刃の嵐!」 

 

 格子状に迫ってくる斬撃を、竜巻の中に刃をまぜた様な攻撃でかき消して見せる。 

 

 「ほう、やるな、小手先だけの斬撃では効かんか?ならばみせてやる!カプリコーン最大の異次元さえ切り裂く絶剣を!!!」 

 

 「絶 剣 抜 刀 !!!」 

 

 空気、空間さえ切り裂きながらも突進してくる最大級の絶剣、それを朝比奈は正面から受け止める形になった。 

 

 何重にも張った気功の防御を鉄を切り裂く機械の様に火花を散らしながらじりじりと迫ってくる。 

 

 「やっばい!このままじゃ!う!うわああああああああ!!!!」 

 

 斬撃の巨大さと刃の乱回転に耐えきれず、吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。 

 

 切れてないだけで、斬撃の衝撃をもろに受けてしまった。 

 

 「まともに受けててたら切断されて死んでたね。慈悲?」 

 

 「慈悲?慈悲だと!?私を含め守護聖人が任務を遂行する事に一片の慈悲などはない!我らは貴様ら干支十二神を絶命させ、六条一輝の首を取る!とらねばならんのだ!聖人ならばよかった!だが六条一輝には自身が言ってたように聖人の素養や精神がない!確かに治癒にかんしては神にも近い力をもっているかもしれない。だが奴は自分の機嫌次第で善も悪も関係なく治す事だろう。そして同じ聖人と言われる者や守護聖人に対しての傲慢な態度、力ある人間はそれゆえに謙虚に、冷静でなければならない。だが六条一輝は相対する私達を軽んじ、あざ笑い、追い返した。今魔王や二代目魔王などが勢力を伸ばしている、今の世では聖人同士手を取らなければならないなか、この傲慢さは許されない。むしろ会ってみて実際に目の前にして、思った俺の感想は、奴の得体の知れなさ、危険さだ。奴は誰よりも危険だ。敵対している奴らが徒党を組むほどにな」 

 

 「一輝様は天照様の恩人で、確かに誰彼治してしまう悪癖はあるけども、彼は誰よりも弱者の味方だよ。強者じゃない人間が強者ぶったり、理不尽な事柄に、要は明王と呼ばれる部類の人間に僕は思えるけどね」 

 

 「明王・・・・仏敵を帰依させる為の神、どちらにせよだ。俺は己のプライドの為に六条一輝を討つ、どかぬなら貴様も切り刻む!」 

 

 「やっぱり、プライドとかそういうとこも原因なんだね。もういいよアラヤ」 

 

 「今の守護聖人達じゃ、一輝様はもちろん僕たちにすら届かないよ。フーム」 

 

 「真言!これは!うごけないだと!」 

 

 「プライドを傷つけられ怒りに身を寄せる守護聖人よ。僕が一撃の元葬ってあげよう。朝比奈流!羽化昇天生!!!」 

 

 「貴様も真言を使うのか!うごあ!貴様ら!ぐぐぐ!体が圧縮され!」 

 

 「あの世にて何が正義か今一度かんがえるがいい」 

 

 「カーン!!!」 

 

 「ぐぼうぅ」 

 

 圧縮されたアラヤはぼとりと地面に落ちた。

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