第38話干支十二神対守護聖人 戌 亥

 干支十二神 戌 戌井幸太郎 

 

 守護聖人 アクエリアスのクリステラ 

 

 干支十二神最強の数人に数えられる内の一人に入る幸太郎、水、凍気を操るクリステラとは相性が最悪だったが、一輝による整体術や体のクセの矯正など力、体の動かし方の根本を教わり、おおよそ人間が非常時、緊急時に出せるという火事場の馬鹿力や、脳のリミッターにより100パーセントの力で殴ってしまうと、自らの体が壊れてしまうリミッターの解除が一番上手いのが幸太郎だった。 

 

 魔力で身体を強化し、気功で体を強化し、粘り強く練り上げられた気功魔力、または魔力気功という融合された第三の力で更に強化され、聖者、聖人しかもたない神聖力にもっとも近い力に目覚めつつあり、朝比奈ひな子の様に真言は操れなかったが、肉体的に真なる人間の域達している幸太郎は、クリステラにまるで興味がなかった。 

 

 それどころか十二神の何人かの不甲斐なさに少しの怒りを覚えつつ、自分が第一関に存在していたら、守護聖人を全員皆殺しにしていたと遠くから各関の戦闘を見て確信を得ていた。 

 

 敵対するクリステラが目の前にいるのにも関わらず、我関せず。 

 

 興味がなかった。 

 

 一方クリステラは、相手が自分に興味を完全に失っている事に、怒りを覚えていた。 

 

 ならばと、自身最大の技をこの無防備な相手にぶつけ、代償を払ってもらう、雪が降り始め段々と吹雪になって行き花や木はもはや凍り付いている。 

 

 「火山すら凍結させる私の氷の中で眠りなさい、アイスコフィン」 

 

 氷の棺、マグマに投入しても解ける事のない、絶対零度などの科学的説明の外にある技、マグマの中に存在しても決して溶ける事のない氷の結晶。 

 

 術者本人ですら解く事は不可能、例えそれが神の如く力をもった一輝でさえ、彼を解放する事はできないであろう、地獄ニブルヘイムを模した氷。 

 

 幸太郎はコフィンの中で身動きも出来ず、最終的には絶命する。 

 

 物理法則など関係ない氷の棺、守護聖人が放つ絶対な技の一つだったが、幸太郎は軽く全身を震わせ、この氷を壊して見せた。 

 

 「な!こわれっっっ!なんで!!!」 

 

 「寒い・・・」 

 

 「寒いって・・・それだけ?ふざけるな!神ですら凍らす氷だぞ!」 

 

 「へぇ~、神様はこんなもんでこおっちまうのかい?そいつはちょっと言い過ぎだぜ」 

 

 「ざけんな!どうやってでてきた!」 

 

 「どうやってって、こう、体をよじったら、・・・・・壊れた」 

 

 「次は俺の番だな」 

 

 ゆっくりとクリステラに近づき歩き始める、クリステラはすでに訳が分からず戦意も失って、ただ茫然と立ち尽くしていた。 

 

 幸太郎はゆっくりと指二本を構え、トンとクリステラの額を突いた。 

 

 次の瞬間ボンっと音と共に、クリステラの体半分は後方に破裂する様に吹き飛び、縦に半分に吹きとび、前進は綺麗なまま立ち尽くし、後ろ後半は内臓も骨も後方にびちゃびちゃに吹き飛んで絶命した。 

 

 「う~む・・・・力半分もクソもないな、指で事足りるか・・・・・」 

 

 幸太郎は考える、自分にはもう敵はいないのかもしれないと。 

 

 干支十二神 亥 猪崎 のぞみ 

 

 守護聖人 魚座 ビスケスのリリア 

  

 「ここが最後の関!十二関最後の関!そして私は亥の戦士!よくぞここまでたどり着きました!って一輝様の命令で一人ずつ相手しろって言われてるから、誰か一人はここに到着するよねぇ。まぁ僕たちも実力あがったから、実践の場所が必要なのはわかるけど、う~ん私達天照様の護法なのに一輝様に乗っ取られてるなぁ、まぁ天照様がお父様って懐いてるし、世界的聖人?聖人かどうかもうあやしいんだっけ?実力者である事は確かだけど、彼まだ高校生だよ!高 校 生!しかも天武館の!普通天武館の一学生がヴァチカンの守護聖人と戦うかね?そんなに強いのに学校通う意味あんのかね?まぁ日本は学歴社会だし、アイドルでも大学通う世の中だけどさぁ。てかあたしら勝ったらヴァチカンの戦力激減じゃね?どうせだったら聖堂教会の奴らとやりあいたかったんだけどなぁ、あいつらテロリストだし、しかもシモン・ペテロ含む何人かはまだ国内にいるって話だしさぁ、ああ、ごめんごめん!一方的話しちゃって!さぁ!戦おうか!!」 

 

 「リリア、戦いたくないなぁ。」 

 

 「へ?」 

 

 「リリア、戦うの苦手だし、下手くそなの、人と戦うの」 

 

 「そうなんだ」 

 

 「だからリリアの負けでいいよ」 

 

 「え?本当に戦わないの?怒られない?」 

 

 「リリアのやる事は人を守る事と、癒す事だから」 

 

 「ああ、そうなんだ、まぁそうだよねぇ」 

 

 「でももうアレックスしか生き残ってないみたいだし、私は入口にもどるね。じゃあねお姉ちゃん」 

 

 「あ、は~い、さようなら」 

 

 いいのかこれは?と思うのぞみだったが、自分も少女をいたぶる趣味はない、戦いたくないというなら猶更だ。 

 

 あんがい守護聖人も上からの命令で仕方なくというか、色々大変なのかもしれない 

 

 最後の戦いはなんと勝負なしの状態で終わった。 

 

 守護聖人で生き残ったのは、おそらくレオのカイザー アリエスのカミール ジェミニのアベル ビスケスのリリアのみとなった。 

 

 干支十二神はライブラと相討ちになった洋二は重症で生き残った。 

 

 そして戦いの場は一輝のいる本堂に移される

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