第35話干支十二神対守護聖人 卯から巳

 十二関 第四関 卯 宇佐田うい 

 

 対するは十二神、最強クラスの一角双子座、ジェミニのアベル 

 

 アベルの容赦のない核撃魔法が誘導弾の様にうぃに襲い掛かる。 

 

 「ひひ~ん!なんですか!この核撃魔法の雨は!しゃれになりませんよ~」 

 

 間一髪で避け続けるういに接近してアベルは彼女を異次元に飛ばそうと技を放つ。 

 

 「ディメンジョン・ディス・ポーター、異次元の彼方へ飛んでいくがいい」 

 

 異空間に飛ばされそうになるのを、精一杯踏ん張るうい。 

 

 「と~ば~さ~れ~る~、こうななったら!ラビットイズワンダーランド!!!」 

 

 広がる世界は不思議な造形の街や森の広がる世界へ変貌していた。 

 

 「なんだ!?この世界は!?」 

 

 「この世界では普通の物理法則はききませんよぉ。回る回る世界は回る、開かれるは茶会にパーティー!右も左も上下もないただ高らかに天から落ちろ!!!」 


 気がつけば光速で高所から落とされたかのように、地面に叩きつけられた。 

 

 「ごぁ!?ふざけた技をつかいやがって!!」 

 

 ういはくすくすと笑う。 

 

 「ウサギは弱い、兎は弱者、うさぎは狩られる、み~んなみんなが言うんです。ウサギは弱い生き物だって、でもうさぎは神獣、神の使いでもあるんですよ。肉弾戦だって大好物、天変地異もなんのその、そこはウサギの遊び場なのだから・・・・・」 

 

 思わぬ強者にアベルの顔は歪む。 

 

 「俺は君を弱者と舐めていた様だ・・・・・ならばこのジェミニ最大の拳で君を打ち砕くのみ!!!くらえ!エンドオブセンチュリー!!!」 


 超新星爆発の小型の様な群れがういを襲う。 

 

 「ならばこちらも宇佐田家最大奥義で答えましょう。万象爛漫・桜花狂い咲き!!!」 

 

 二人の技はぶつかり合い、天に昇って行った。 

 

 これ以上はわりに合わないと思ったアベルは関から離れるべく、姿を消し、その場にはういのみが残った。 

 

 「ふぃぃぃぃぃ、なんとか守り切りました~」 

 

 力を使い果たしたのか、ぺたんとしゃがんで座り込んでいた。 

 

 第五関 辰 干支十二神 最強の竜宮こころ、そして四神、青龍の守護者でもある。 

 

 黄道十二宮 最強と言われる何人かの一人であり、仏教徒でもあり一輝を阿修羅と断じたひとりでもある、ヴァルゴのスザク。 

 

 スザクは同じ仏教の技を使う一輝を止めるなら、それは自分の役目であると考えていた。 

 

 だから、干支十二神最強である竜宮こころですら自分にはかなわないだろうと思い込んでいた。 

 

 同じ仏教徒の一輝が最強なのだ、ならば仏教で絶え間なく鍛え、神仏や自然との対話すら行い、インドの仏滅部隊の人間からすら神の化身と言われている自分なら、なんのもんだいもなくこの十二の関を抜ける事が出来ると考えていたのだが、そこに青龍が立ちふさがった。 

 

 「我が道を塞ぐ愚か者よ。そこを退くがいい。この戦いは阿修羅、六条一輝と私ヴァルゴのスザクの戦いと決まっているのだ。その邪魔をするでない」 

 

 こころはふっと笑うと欠伸をした。 

 

 「笑わせるなよ。紛い物が」 

 

 「紛い物?私が紛い物だと!?ならばその得意の剣で私を切ってみるがいい!届けばの話だがな・・・・・」 

 

 「・・・も・・・った」 

 

 「はぁ?」 

 

 「だから、もう切ったといっているんだ」 

 

 「な!?」 

 

 音の振動で体が、何分割かに分割され地上にごろんところがって、ヴァルゴのスザクは絶命した。 

 

 「一輝様に遥かに及ばぬ、間抜けめ」 

 

 十二関 巳 斑目 ラジュ 

 

 第六関を守るラジュはある意味で十二神、最悪の人間でもあった。 

 

 死と再生を司る 巳の戦士は肉体が傷ついた瞬間に再生される。 

 

 干支十二神に上り詰めるまで、日本政府で実験体として解剖されるづけた家系 斑目家、その副産物として医療に特化し人体の全てを掌握している一族でもある。 

 

 そんな斑目家でも他者の欠損までは治癒できなかった。 

 

 そして斑目家の再生能力には、必要なエネルギーと痛みが伴う、その事象から助けてくれたのはまさに六条一輝だった。 

 

 彼が考えるエネルギーと再生時の苦痛を取り払う論文は見事で、斑目家は干支十二家では最悪で格落ちの家だと言われ続けた悪しき歴史に終止符をうった。 

 

 忍びに特化した一族であり、一輝の診断で気功と魔力とは別にチャクラと言う謎の力を所持し、魔眼などももっている。 

 

 相対するのは黄道十二の中でも、暗殺、毒などを得意のする、キャンサーのザード 

 

 一見お互いの実力は伯仲しているかのようにみえる戦い、競り合い、打ち合いだった。 

 

 だがこの攻防はラジュにとっては、遊びも遊びたった。 

 

 打ち合うたびに相手の肉を削ぎ、少しずつ少しずつ肉体を削り削り削り削り、相手の腕が、足が、指が、頭部が段々と白骨が露出されていく。 

 

 ザードも悲鳴の一つも叫ばない攻防のやり取り、昔の忍びの様に、静かに静かに決着がついていく。 

 

 魔眼も技も使わず、実力だけ、肉体の力のみだけで決着はつき、最後にはザードは心臓を貫かれて絶命した。 

 

 元々干支十二神はヴァチカンの守護十二神より格落ちあつかいされていたが、蓋をあけてみると干支十二神の圧勝が見えて来た。 

 

 そこにはやはり六条一輝の力が大きくかかわっていた。 

 

 全員の戦闘スタイルの見直し、筋肉、クセ、武器の扱い、細かな修正で爆発的な力の発揮をした。 

 

 更には気功、魔力、その二つを融合した力も使いこなし、守護聖人達ですら超人であるにも関わらず、その更に上をいく超人対赤子の様な戦闘を演じて見せた。 

 

 相手の力に合わせて戦うのはへそ曲がりの源一郎と大河だけであった

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