第26話決別

 闘技場 観覧席 

 

 鬼神衆三席 セバス・バルバドス 

 

 「一輝様の力の一旦が解放されるぞ、目をこらしてよく見る事だ」 

 

 第一席 ルーファウス・ヴァレンタイン 

 

 「その力、英雄か魔王か?だが一輝様はどちらの試練の扉もくぐってはいないのだろ?」 

 

 第二席 神武いよ 

 

 「それなのにあの若さで、私達級の強さはちょっと無理があるよね~、英雄化魔王の二代目になるには素質のある人間の前に現れる、インスタントダンジョンをクリアしないと二代目にはなれないはずだし、ねぇ頼光ちゃんにタケルちゃん」 

 

 第四席 源 頼光 

 

 「そうだ。二代目英雄になるには、自分の前に現れるインスタントダンジョン、通称試練の扉をクリアしてやっと二代目の継承が行われる。英通でも魔王でもない、あんた達二人ははっきりいって正真正銘の化け物だけどな」 

 

 ルーファウス 

 

 「ふっ過去の英雄達に頼るなど、それだけで惰弱なのだ!現代人類を舐めるなよ」 

 

 大和タケル 

 

 「はじまるよ」 

 

 闘技場 

 

 「びびるな!こっちの数何人いると思ってんだ!それにこっちだって死なねーんだ!全員で囲め!!」 

 

 まず第一に集団戦、強い一人の人間に三人、四人で囲み後れをとるのは、圧倒的に連携、そして飛び込む瞬間にセンスがないからである。 

 

 第二、相対している敵を一撃で絶命判定させれば、強烈な痛みと共にあまりの痛みに動けなくなるかのたうち回る事になる。 

 

 一輝の一撃は、ガードすればガードした腕、足を砕き折、そして後方に吹き飛ばすと言う基礎のからの力の違いだった。 

 

 槍の様な貫き手は内臓に届き、内部まではいった指は内臓を引っ掛け引きずり出される。 

 

 無造作に腕や足を出せば、おもちゃの様にねじ切られ、吹き飛ばされる。 

 

 人間対紙屑の勝負の様に。 

 

 久我まひろ 

 

 「正一郎、あれはやばくないか?」 

 

 久我正一郎 

 

 「所詮は天武館に入れただけの凡俗な貴族共だ。あんなもんだろ?健介、明!お前らで加勢してやれよ」 

 

 中院健介 

 

 「なさけねぇ奴らだ」 

 

 久世明 

 

 「へいへい俺もいきますよ」 

 

 「ろくじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 

 

 健介が突進してタックルしてくるのをそのまま受け止めると、止まる。 

 

 「んぐ、、んぬうおおおおおおお」 

 

 「どうした、力自慢、動かねぇなぁ」 

 

 一輝は首に手をかけグイっと引き離す。 

 

 「おい?どうしたんだよ。?遠慮するな、暴れろ、俺は首を掴んでるだけだぜ?」 

 

 「ぐぬう!おらあ!どりゃあ!せい!せい!せい!おおおおおおおおおおおおおおお!!!」 

 

 健介は一輝を好き放題殴り、息を切らし始める。 

 

 「はぁはぁはぁはぁ」 

 

 「何疲れてんだよ健介!おらぁ!」 

 

 横から飛んできた明の蹴りは、一輝の側頭部にヒットするが一輝は微動だにしなかった。 

 

 二人の腕を掴むとそのまま力任せに引きちぎる。 

 

 「それでも源氏の血が流れてんのか?出直してこいボケ」 

 

 「がああああああああああ!腕!腕があああああああああああああ」 

 

 「俺の!俺の腕!ちちちちちち千切れ!」 


 うるさいので同じく側頭部に蹴りを入れ、二人を吹き飛ばした。 

 

 二人は起き上がってはこなかった。 

 

 四条司 

 

 「流石にこれだけの人数で負けたら洒落にならねぇぞ」 

 

 五条春樹 

 

 「最悪一族からおいだされかねねぇまひろ!てめぇもこい!」 

 

 正面から突っ込んできた春樹は心臓を貫かれて、絶命判定、司は両手足を引きちぎられ吹き飛ばされ、まひろは壁に押し付けながらごりごりとすり下ろされる様に壁に擦り付けられ、その様はまさに地獄の極卒がやりそうな拷問の様に見えたと、正一郎は後に語った。 

 

 「高みの見物は楽しいよなぁ、正一郎」 

 

 「なんでそんなに強くなってんだよ!お前はクズで!源氏でも条家でもお荷物で!金だけ献上してらばよかった家の癖に!」 

 

 一輝は前世でのクセで殺り終わった後の一服にタバコを探すが、こっちの世界では吸ってない事を思い出し、正一郎にタバコもってる?と聞くと。ぷるぷると震えて差し出してきた 

 

 もってんのかよと一本火をつけ語る。 

 

 「なぜ六条家が商家になったか?本来六条家は、六条瞬が上の条家に婿入りする事で六条は消える予定だった。だが六条瞬はそれを拒んだ。六条を残したかったのと、一般人女性を愛したからだ。他の条家はこれを許さなかった。類まれな戦闘能力をもった六条瞬を種としてほしかったからだ。ダンジョン後進国になり源氏21流も残り六家、貴族院を司る条家も残り六家、力のなくなってきた条家も源氏も焦りに焦っていた。だが世には二代目英雄達まで生まれ初め、綾小路や西園寺が貴族として台頭してきた。武にばかり力を入れて金のなくなってきた各家は、六条に条件をだした。そう、資金の提供だ。それができなければ六条瞬は他条家に婿入りしなきゃいけない予定だった。だが俺の親父は見事に商売で成功、莫大な資産、資金をてにいれる。母も運に恵まれ大金を稼いでいる。それでまぁこの話は終わるはずだったが、貴族達は欲を出し始めた。六条瞬の息子は、武術の天才の息子はまた天才かもしれない、金だけでなく武力、権力を取り戻す為にも期待された息子、つまり俺だわな、俺は凡庸な子だった。なにをやっても普通か普通以下、そんな俺や妹はたちまちお前たちのいじめの的になった。ストレスから太り、金で問題を解決する子供になった。それが今になって治癒に目覚めただと!?そりゃあ納得いかんわなぁ、いままで虐めて下にみてきた金袋が、誰しもが頭を下げる存在になるなんてよぉ」 

 

 「そうだ!お前だ!全部お前が!悪い!何が治癒だ!何が欠損も治せるだ!いまさらなんだよ!!だまって今まで通り金だけ上納してれば、まだ俺らで飼ってやってたのに!お前が宣戦布告して、綾小路と西園寺を焚きつけたりしなければ、こんな事はおこらなかったんだああああああああああああ」 

 

 そうして俺と言う劣等種の開花を認められない人間達が、立ち上がり俺を痛めつける事にしたわけだ。 

 

 俺には記憶がある、凄惨な虐められていた時の記憶だ。 

 

 大通りや大勢の人の前で服を脱がされた事もある

 

 俺がこの体になった時、思った事はすげぇ太っている事と修練しているわけでもないのに、大量にある痣や傷跡だった。 

 

 脂肪に隠れて洒落にならないデカい傷跡を見つけたりもした。 

 

 家族や妹に向けられる敵意が少しでも自分に来るように、悪目立ちし、心が砕けても引きこもる事はしなかった、力なき前の俺。 

 

 この位の粛清ではもう物足りないのだ。 

 

 胡坐をかき手を組むと、鐘の音がゴーン、ゴーンと広がった。 

 

 「六道輪廻 四門 曼荼羅」 

 

 あたりが仏教の曼荼羅に囲まれる。 

 

 「なんだこれは!?なにをした!六条おおおおおおおおおお!」 

 

 「本来なら地獄で受ける刑罰の一部をここで執行する。貴様らの犯した罪の数だけ骨は砕け、内臓は噴き出て破裂し、絶命する痛みを味わう、だがここは俺の固有結界、絶命の痛みに気を失う事も、何度も味わう激痛に気が狂う事もない、ただただ襲い来る痛みの恐怖に恐れ反省するがいい オーム!!!」 

 

 小さな地獄が顕現された。 

 

 これで同級生で手を出してくる人間はもういないだろう。 

 

 虐められていた日々から、決別した日だった

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