第27話十王乱入

 小さな地獄が顕現される。 

 

 大小の極卒達が現れ、刑が執行されていく。 

 

 「なんだよこれぇ!」 

 

 「鬼!?魔物!?」 

 

 「たすけてぇ!」 

 

 「違う違う!俺ははじめっから嫌だったんだぁあああ!」 

 

 「やめてぇ!」 

 

 久我正一郎 

 

 「なんだよこれぇ、なんなんだよぉ!六条を虐げただけてなんで俺達がこんな目にあわなきゃいけないんだ!俺達は貴族だぞ!源氏だぞ!日本の未来を背をってるんだぞ!金を調達するしか出来ない奴らや、庶民を足蹴にして何が悪い!!価値が!俺達と庶民では価値が違うんだ!もっと崇められるべきなんだ!もっと称えられるべきなんだ!そ、そうだ!インスタントダンジョン!ランダム発生の時空の歪だって俺達名家が積極的に動いて封鎖しているんだ!人の為に働いてるんだぞ!なんでこんな目にあわなきゃいけないんだ!たかが金袋を虐めたくらいで!」 

 

 聞くに堪えない言い訳をいいながら、極卒に引きずられる正一郎。 

 

 俺は座禅を組み、宙を浮いていると、曼荼羅の一部が巨大な斬撃に破られ外から何人か人が入ってくる。 

 

 「そこまでだよ。これはやりすぎだ」 

 

 鬼神衆十王の一人 大和タケルを継ぐ男、一条たけるが内部にはいり俺に剣を向けた。 

 

 「ほう、流石はヤマトタケルを継ぐ男、曼荼羅の一部を破ったか」 

 

 「六条一輝、君の苦しみはわかる。だがこれはやりすぎだ。彼らもまた日本の未来をになう人材達だ。どうが容赦してあげてほしい」 

 

 神武いよ 

 

 「流石に生徒の虐殺現場は黙ってみてられないわ」 

 

 源頼光 厳島雷光 

 

 「同じ貴族として黙ってはられん」 

 

 ルーファウス・ヴァレンタイン 

 

 「六条一輝殿、ここらで終わりにしませんか?じゃないと私達も黙ってはいられなくなる」 

 

 十王の中でセバスだけは中にはいってこずに、首を横に振った、何か会話しているのか狂が隣にいるのが見える。 

 

 「ふっふっふっふっふ、はっはっはっはっは、あーっはっはっはっは!鬼神衆十王などとおだてられて勘違いでもしたか?貴様らが俺を止められるとは、勘違いもはだはだしい、そしてこれは蹂躙ではない、教育である!この地獄の顕現条件は以下に人、他者を泣かせたかで、その罪の重さは変わる。もちろん私も過去凄惨な目にあわされたが、それだけで現世に地獄を再現できるほど甘くはない!拷問の器具があり、極卒まで召喚される。それほどこいつらが民草を一般人を足蹴にし泣かしてきた証拠である!時には貴族の力でその罪を消し、時には圧力で、時には金で代償を払い、清算してきたつもりかどうかは知らぬが、人の怒り、呪いがこれほど強いには理由がある。あまりの悲しみ!慟哭!怒り!憐み!それにより、もう仏ですら彼らを許してやれぬ状況まできたから、ここに地獄が再現されたのだ!!!それでもこれはまだまだまだまだまだまだ温い方だ!痛みに耐えさえすれば、狂う事なく後遺症もなく明日を迎えられるのだからな!」 

 

 「こいつらが悪さしている事は知っていた、だが裁くなら各家で裁かれるべきだ!」 

 

 「     笑    止 !  !  !   」 

 

 一輝の大一喝により大気が震え、その振動に体が竦む 

 

 「一族も全てが同罪である!貴様らの中にも見て見ぬふりをしていた奴らがいるな、その一切合切を裁くものとする!!!」 

 

 「この分からず屋目!都牟狩りの太刀!切り刻む!!!」 

 

 大和タケルによる巨大な斬撃の嵐。 


 一気に俺の高さまで跳躍して雷の如し斬撃で地面に叩きつける雷光。 

 

 「いよ!あわせろ!!」 

 

 「言われなくてもぉ!神武六連!!!」 

 

 嵐を纏ったような拳が飛んでくる。 

 

 「最後は私だ!!画面端に叩きつけてくれる!!!」 

 

 ドゴォンと言う音と共に、壁に叩きつけられる。 

 

 砂埃がたち、全員が距離をとるが。 

 

 砂がおちつき、微動だにしていない俺の姿をみて全員が驚愕する。 

 

 「貴様らでは私を座禅を崩す事もできない」 

 

 一輝の闘気が爆発的に増大し、周囲を掌握していく。 

 

 「貴様らもまた恵まれた人間、今日を必死に生きる人間の気持ちなどわかるわけがない。貴様らもまた六道に落ち今一度自分の生を考え直すがいい!!!六道転生!オーム!」 

 

 巨大な闘気の嵐に四人は吹き飛ばされる。 

 

 「異空間に飛ばされるのか!」 

 

 「このままでは!」 


 「飲み込まれる!」 

 

 「ぬおおおおおおおおおおおおおお!!!」 

 

 「己が罪を今一度把握して戻ってくるがいい」  

 

 鬼神衆十王の4人は六道の何処かに飛ばされてしまった。

  

 セバス・バルバドス 

 

 「やはりこうなったか、無事にもどってくるといいが」 

 

 狂 

 

 「御屋形様は慈悲深い方だ、一度盾ついたくらいで消されはせん」 

 

 「さて落ち着いたところで、シモン、そして魔王の一人ルシフェルよ。お前たちはどうする?彼をどう見る?ちなみに一輝様は英雄の扉も魔王の扉も神々の扉のどれも潜ってはおらぬ、純粋に己が力のみで神仏の領域にはいっている。」 

 

 殺戮のシモン・ペテロ 

 

 彼は考える、戦闘面では負ける気はないにしろ、何故か?暴れる気にならない、それどころか妙に六条一輝に神聖な気配すら感じている。 

 

 彼がつかった技などは仏教の物だし、彼は日本人だ、それなのに懐かしさを感じるこの暖かさはなんんだ? 

  

 そんな時ルシフェルが声をあげた。 

 

 「あなたお父様ね?お父様でしょ?人を癒す慈愛の力といい、仏の力!あれも一時的というか?一部って感じで貴方の本気じゃないみたいだし、そんな事できるのお父様くらいだもの!?」 

 

 もちろん俺はルシフェルの父でも、そのお父様的な存在でもない。 

 

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