第21話過去と天武館

 そしてついに天武館入学、学校まで行くと、もうすでに俺の姿をみてこそこそと何か話している感じがする。 

 

 気のせいではないと思う、「え?あれが?噂の六条なの?」みたいな声が聞こえてくるからである。 

 

 さて、ここでおさらいである。 


 天武館に入学できるのは学力面よりも、武力、胃能力面が大きな加点となる、もちろん文武両道なので学力も相当必要なのだが、圧倒的武力は学力をも上回り入学を可能とさせる。 

 

 そして中国武狭ランクを元とした、武人ランク 拳王、拳聖、拳帝で一流、武人、武君、武王、武帝、武尊の段階で絶頂、武皇、武聖、武天、武神の段階で超絶頂、干支十二神、四神クラスが化境という絶対的な壁が存在するランクであり、化境が熟達され玄境が開花し絶境、絶境を把握して絶大境、などと境界続く。 

 

 魔術属性と同じで肉体にも優劣が存在する。 

 

 炎に特化した肉体、水、雷、魔、など様々な属性に特化した肉体が存在し、また肉体は鍛えていく内にその強さに見合った肉体に進化する換骨奪胎という急速な進化をおこなったり、体内に溜まった濁気、いわば悪い気を輩出して強靭な肉体を維持したりする。 

 

 とまぁ長々と話したが、これが普通の武人達、天武館での話であり、俺はこの中に枠外の存在である。 

 

 地獄で修練して修羅道を歩き回り、あらゆる武人や仙境と寝ても覚めても争い続け、怒り続けた。 

 

 ここで一度目の人生の話に戻る。 

 

 何故俺はそんな怒りに呑まれたのか?生前を俺は野心も目標もない、凡人だった。 

 

 どれだけ社会が荒れて、上に従い、暴動どころかデモすら起こさない。 

 

 奴隷の日々、適度に環境の整えられた奴隷の環境とは甘いものなのだ。 

 

 これでいい、これがいい、何をしても変わらない、変わる為に何故自分が動かなきゃいけない?何故立ち上がらなきゃいけない?それくらいなら変わらないでいい、自然と周りがやってくれる、変えてくれる、所詮変わるのは自分が死んだ後だ。 

 

 いいわけは沢山あった。 

 

 そんな底辺な世界にも謎の正義感があり、自分が正義側にたった時の相手への攻撃はすさまじいものだった。 

 

 30を少し過ぎて、俺の人生が流れる様に終わりに向けて何の変化もなく終わる事覚った時、己の中の怒り、そして自分が世間で言う無敵の人間だと知り、山に籠り己を鍛える事にした。 

 

 素人がそんな事してと笑うだろう、その通りお笑い種の山籠もりだった。 

 

 拳、指先、足、膝を集中的に病的に痛めつける様に只管訓練と称する自虐の痛めつけは行われ、生の木に指が深々と刺さるまで一年以上かけて修練し、猪や熊の毛皮を突き破り脂肪を貫いて内臓や血管を傷つけ引きずり出す事が出来るようになるまで、四年の年月がかかった。 

 

 動物を捕まえて食う事もあったが、この獲物を探すなどの時間も修練に当てれる現代、長期保存可能な現代食料は俺の修行を更に加速させた。 

 

 無手で熊や猪を解体でき、本気で怒り襲い掛かってくる爪や牙に傷つかなくなった頃、俺の殺人術の一部は完成したとおもった。 

 

 槍や刀、縄に鎧、馬、火薬、毒、などなどは死んでから学んだ技術だ。 

 

 不正を行った議員、省庁の人間、大会社の企業の幹部から社長、死刑囚、半ぐれからヤクザ、真っ当な職業じゃない人間から社会に適応できない引きこもりまで、何人も殺した。 

 

 最初こそ手間取った物の、俺が社会に紛れて殺人を行う事はそう難しい事ではなかった。 

 

 それらの獲物を処理する時は、いつだって手引きする人間がいたからである。 

 

 金ははした金でよかった。 

 

 食っていき、殺していければそれでよかった。 

 

 時には拳銃、マシンガン、などに苦戦する事もあり、学習していった。 

 

 憎い憎い憎い、理不尽な力に虐げられる人間がいる事が憎い、真面目に生きている人間が悲しい思いばかりしなければいけないのが許せない、悔しい、悔しい、悪が得をし人生を楽しみ、豊かになり、繁栄していくのが許せない。 

 

 地獄に堕とされても、この憎しみと怒りは収まらなかった。 

 

 極卒を殺し、抗い、争い、戦い続け、天から俺を押さえつけに降りて来た神や仏とも戦った、嫌と言う程戦った、死なない事を理由に喜んで戦った。 

 

 そんな戦い続けた俺に仏は言った。 

 

 他者の悲しみの為に戦い続けるお前よ、ならばお前は自分の為に何をする?自分の幸せの為にまた戦い続けるのか?他者の悲しみに血の涙を流し戦い続けるおまえよ。 

 

 こんどは己の幸せの為に、生きて見せよ。 

 

 それでも憎しみ、怒り、戦うなら、その時はまた・・・・・。 


 そして今の自分がある、あれほど怒っていた怒りはなく、憎しみもない、それでも自分の中で理不尽な事やいじめなんかは許せなくなるかもしれない。 

 

 暴走はしないと思うけど、更には今は俺が虐められてるようなものなのだが。 

 

 人間の名前なんかも覚えるのは苦手だ。 

 

 虎一が一個上、藤虎が二個上、久我ころもと一条あまねは同い年だった様な気がする。 

 

 他にも英雄や魔王の二代目が俺の世代には多いと言われている。 

 

 少しだけ、どんな奴らが同じ学年なのかが気になり、楽しみだとおもいながら教室にはいった。

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