第19話魔王

 シモン達を連れて、空港をでる一団。 

 

 「それで?僕たちはどこにつれていかれるのかな?」 

 

 「決まっている、我らが本部中心点、東京本部だ」 

 

 御三家直属、東京本部 

 

 鬼神衆十王第一席 ルーファウス・ヴァレンタイン 

 

 金髪で髭を生やし、中年といった感じがみられるが、身長が高く体が大きいのにマッチョすぎず、細すぎず、巨岩の様な印象を受ける美中年。 

 

 「きたなクソガキ共」 

 

 鬼神衆十王第二席 神武いよ 銀髪が美しく幻想的な見た目の女性 

 

 「マリアもいるじゃん、やほー」 

 

 鬼神衆十王第三席 セバス・バルバトス 

 

 「緊張感のないやつらだ」 

 

 鬼神衆十王第四席 二代目 源頼光 本名厳島 雷光 長髪で涼しげな印象を受ける男性、源氏シリーズ復活第一号でもある。 

 

 鬼神衆十王第五席 二代目 大和たける 本名 一条たける 言わずと知れた条家のトップの家柄であり、「浄」家の一族。 

 

 「わぁ凄いお出迎え、言わずと知れた日本の五大明王様勢ぞろいって、期待しちゃうなぁ」 

 

 「まぁまて、客はお前だけではない」 

 

 そういうとルーファウスは空を指さした。 

 

 ミサイルや飛行機なんか目じゃないスピードで何かが飛んできて、地面に着弾する。 

 

 「私!降臨よ!」 

 

 金髪の女の子が物凄いスピードで空から降りて来たのである。 

 

 付き従う様に、後ろにぴったりと黒髪短髪の普通?よくみれば可愛らしい顔のした男性が彼女の後ろに控えていた。 

 

 「お嬢様ぁ、今度からは飛行機で入国しましょうよぉ。毎回これじゃあ、毎回怒られますよ」 

 

 「きたな、魔王ルシフェル、ベルゼブブ」 

 

 金髪の少女が、二代目魔王 アリア・ルシフェル、男性が二代目 凖魔王ベルゼブブ ロイ・カーティス 

 

 「ハロー日本の武王達、あらそれに聖堂教会のイカれた奴らまでいるのね?聖魔大戦再びって感じぃ?」 

 

 「馬鹿言うな小娘、あんなもん二度と御免だ」 

 

 「同じく、戦争なんて名前ついてるけど、僕らが手あたり次第気に入らないって暴れてぶつかり合っただけだからね、最終的に疲れておしまいだもの」 

 

 「一番最初に血走った目で襲い掛かってきた人間のセリフ?それが?」 

 

 「君だって嬉々として大魔法やら天変地異なんか乱発したじゃないか!そんな奴に言われる筋合いないね」 

 

 「それでお前ら今回は何用で日本にきた」 

 

 その瞬間二人は、なにいってんのあたりまえだろ、みたいな顔でお互いを見て発現した。 

 

 「決まってるじゃない!あの治癒の子よ!あの子を出して!私あの子に興味があるの!」 

 

 「まぁ概ね僕も一緒かな?何せ人類に聖人ありと言われてから、誰もがなしえなかった四肢蘇生をやってのけた人間だ。教会はもちろんヴァチカンも黙っちゃいないだろうよ」 

 

 「お前らの事だから、全容だって知ってるんだろ?」 

 

 「もちろんよ。六条家のろくでなし、デブ、無能者、金でなんでも解決しようとするクズ、いじめられっ子」 

 

 「だが、彼はあの異様な状態から痩せ、治癒までやってのけた。何かに覚醒したか?それとも神の啓示でもうけたか?とにかく何かあるはずだ。お前らこそなにかしらないのか?」 

 

 「神の啓示を受けたかまではわからんが、今の彼は平凡であり、正常である」 

 

 「どういうこと?」 

 

 「力がなかった無能者、しかも長く虐げられ、応援してくれるのは家族のみ、そんな人間が四肢欠損どころではない治癒に目覚めたのだ。もっと傲慢になったり、やはり自分は偉大だったなんて振舞うのが目に見えている。だが、彼が傷を負った人間に寄り添う姿は、そんな下賤なものではなかった。優しく慈しみ苦痛に耐えた事を称賛し英雄と称えて癒す、その姿は大地母神の様に慈愛に満ち溢れたものだった。それでいて彼の価値観は金に物を言わす人間というよりも、もっと貧しい者の思考だった。以前とは性格が変わっている。非常に平凡な感覚の持ち主といっていいだろう。そんな彼をお前らに急に合わせてみろ。確実に委縮して避けられるか嫌われるぞ」 

 

 「そんな繊細な子にはみえなかったわ。むしろ私達魔王寄りの子だと思ったのだけど」 

 

 「僕もだ。聖人の皮を被った魔王、そう思ったから日本にきたんだ」 

 

 場がシーンと静かになる。 

 

 「では彼が次期魔王候補だとでもいうのですか?」 

 

 「確実には言えないけど、妙に同じ、そう懐かしい感じがするのよ。抑えられない、本能を剥き出しにさせられたような」 

 

 「魔王かどうかは置いといて、彼は確実にこちら側、傷をいやすなんて温い立場の人間じゃないね。相手の血だろうと自分の血だろうと喜んで流す、そんな悪魔的な」 

 

 そう考えこむように呟くシモンに、殺気全開のセバスが睨みつける。 

 

 「口には気を付けろよ。小僧」 

 

 異様な空気が流れる。 

 

 「それじゃあどうすんのさ~!僕たち結局彼には会えないわけ?ちょっとも?少しも?」 

 

 「まぁわかるわ、欠損の治癒なんて世界で何人が望む事か、しかも全盛期否それ以上の力を望めるのよ。1しかなかった戦力を2や3にするのが聖者や付与師の仕事なら、彼は一度の治療と少しのアドバイスで1の戦闘力5にも7にも、もしかしたら10にも出来るかもしれないのだもの。ただでさえ探索も異能者の開発も遅れている日本だもの、まるで調整役に都合よく表れたみたいな人間ね」 

 

 「場合によっては合わせてもいい」 

 

 「本当に!?」 

 

 「お前たちはまだいい方だからな、問題は「夜天」だ。奴らの事だからもう動いていると思ってもいいだろう」 

 

 「いいわよ。夜天と事を構えたなら、私は日本につくわ!」 

 

 「僕たちもそれでいいかな?どうせ暇つぶしだし、夜天の方がむかつくからね、調子にのってて」 

 

 こうして?一輝の知らない所でまた話がまとまっていく。

 

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