第18話聖堂教会
もとの家も決して狭かったわけじゃない、むしろ庭なんかついて今考えると、かなり広い家に住んでると思ったもんだが、あことまやそれに羅刹の部隊も来ることになった事で大改築。
周辺の土地もついでに買って、大きくそして機能的になっていく様はまるで学校でも作る気なんか?と言わんばかりの工事が進められ、そしてあっという間に完成した。
まさか俺が天武館学園に行く前に、こんな建物が建つなんて誰が考えただろうか?
そして狂の言う通り、俺の毘沙門天と風林火山の治療動画は一種のフェイクであるという考えが主流となった。
植松次男をぶっ飛ばしたのもフェイクで天武館に入る前に拍付けでもしたかったんじゃないか?なんてのが主な理由で、痩せた姿まで合成だって話もでてた。
天照家の一件でかなりの報酬が貰えたので、金には困ってない、武術鍛錬的にも今の所問題なく成長している。
俺の異世界生活はなんの問題もなく順調に幸せに向けて進んでいた。
「あれ?セバスさんいないけど、どったの?」
「ああ、ちょいと他国から嫌な客が来るんで、セバスが対応中なんですよ」
「へ~、嫌な客ってどんな?」
「世界的テロリストって奴ですね。この現代社会の嫌な所は強くなり過ぎた結果、テロリストやら暗殺者やら顔を隠さず表でどうどうとやる様になった事ですかね。簡単に捕まらないし、捕まえても入れておく場所がなく逃げられる。だから実力ある犯罪者は野放しの傾向なんですよ。まぁ今じゃ異空間牢獄のペンタゴンがありますから、余程高位の異能者じゃないと出られませんがね」
「国的にとめられないのか」
「とまるような奴らじゃありませんから、精々機嫌よく迎えて沢山金を落としていってもらいたいもんですよ」
セバス・バルバトス
「何故、私が聖堂教会の奴らを出迎えなければいけないのだ。こういった雑事はお前たち十二神でやれというのに」
黒髪のロング、青みがかった黒は幻想的な夜空をほうふつさせる、凛とした顔立ちの女性というには幼さが残る、女の子。
竜宮こころ
「世界的テロリストが真正面から入ってくるというのに、雑事とは流石十王が言う事はちがいますね」
「一輝様とあこ様のお世話以外は全て雑事よ。」
「すっかりお爺ちゃんになっちゃって、私もその一輝君にあってみたかったなぁ~」
「我らがいる限り、十二神ですら合わせる理由はない。」
「ずる~い!自分だけかわいい子に囲まれて仕事してるなんて!他の十王にいいつけますからね!」
「ぐぬ!なんてことを!」
「おいおいお前さんら、いくらなんでも気を抜きすぎだ。そろそろくるぞ」
根津源一郎の一言で周囲の空気がピンと張り詰める。
奥から歩いてきたのは、金髪の少年の様な青年の様な、幼さの残る顔立ちの男と動きやすいドレスをまとった深紅の女性、鎧というには最先端すぎる魔道アーマーに身を包んだ男とバンダナで額をあえて隠している様に見える、眼付きの悪い男の四人。
先頭を歩く男が笑顔で、源一郎たちに近づいてくる。
「やぁやぁ、日本のそれも筆頭の根津家の頭首みずからお出迎えとは!それにそちらのお嬢ちゃんはもしかして?」
「竜宮家頭首、竜宮こころ」
「ああ、やっぱり竜宮家の人間か!鉄心は元気かい!?僕が殺し損ねた傷が元で頭首を離れたと聞いた時は残念に思ったものさ!今でもあの時の事は忘れた事はない!鉄心の闘気が天に上り、長い長髪は逆立ち、それは美しい背中の龍紋が煌々と輝いていたからね!ああ、次の対戦がないとわかっていたなら、無理にでもあの時鉄心の背中の皮を剥いで、龍紋を額縁で飾ったと言うのに!なんて残念な事だ!」
あからさまな挑発に、こころの闘気は増大していき、髪の毛は逆立ち、火花の様に緑の燐気がバチバチと爆ぜる。
「おっときっと今の君にも、あの時の鉄心の龍紋の様に、今背中に綺麗な龍紋が浮かんでいるんだろうねぇ~」
「竜宮家を舐めるな・・・・」
刀を抜こうとする刹那に割ってはいるセバス
「懐かしいからといって、そうじゃれつくなシモン・ペテロ、それともこころじゃなく私を相手にするか?」
「おっとっと、噂は本当だったんだねぇ、冥王セバス・バルバドス、その全盛期の姿、どうやら噂は本当の様だね」
「だったらどうする?」
シモン・の目は血走って充血したようになり。
「じゃあ試してみないと・・・・・??」
一番最初に動いてたのはセバスでもシモンでもなく源一郎だった。
「・・・・・ちゅうちゅうちゅう、ずいずいずっころばしってなもんでなぁ。もうおいちゃんの固有結界の中だ。やるならここでやんなよ」
シモンは肩をがっくり落とし。
「やらない、やらないよ。こんな固有結界でくだらない」
と言いにっこりと笑った瞬間にシモンの剣は源一郎の首に直撃したかのように見えたが、寸前で止まっている。
奇襲をかける前にやらないと言った時は、少年の困った可愛らしい顔だったのが、今源一郎に剣を突き付けている顔はあまりにも悪魔的な笑みをうかべ狂気に嬉々として笑いながら剣を向けるその姿が、あまりにもギャップがありすぎて、現実的に見えず恐ろしさを増長させる笑顔。
「茶壷にはまってどっびんしゃんときたなぁ、シモン」
源一郎とシモンの剣の間にいるのは、まさにネズミ、そしていたる所に大量に光るネズミの目、源一郎と背後にはその小さな眼が万を超える数輝いていた。
「あ~あ、ほんとにや~めた。それに僕ネズミ嫌いなんだよね。殺しても汚いし、病気もいっぱい、食う所もなし、こっちばかりが損をする」
「いい子だ。はじめっからそうしてろいって話だ」
「それで僕たちをどこにつれてくのさ、俺は噂の彼にあいたいんだけど・・・・・」
僕といったり俺といったり、時には私と言う、シモンの性別が正確に判断できないのは、そのどれにも見えてしまうからである。
「おめぇさんらみたいな、強烈な奴らをいきなり合わせるわけにはいかないんだわ。お前さんらには十二神と十王で対処させてもらう。そう思っとけ」
「ちぇ~つまんないや~、折角来たのに」
そういいながらも彼の口は半月に笑う。
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