第7話エルドラド家のパーティー

 エルドラド家はニア・エルドラドが完全に治癒した事を公表、PTを主宰し日本の多くの名家をPTに招待した。 

 

 家こと六条家ももちろん家族全員招待されているのだが、極度のひきこもりの妹ちゃんだけは出席を拒否、俺と父さんと母さんは絶対に出席してほしいとエルドラド家から頭を下げられている以上断る事はできない。 

 

 ちなみに今の体重は80キロ、特殊な修練を昇華しながらやってるとはいえ驚異的スピードで痩せている、清香の件からエルドラドの治療で三か月しかたってない。 

 

 俺が治癒を使える話が眉唾じゃなく本当だと、源氏10家も条を関する家も今回の事で本当の事なのだと気が付く事だろう。 

 

 あの六条家の長男が!?と何歩も引いて見ていた名家達、生傷、呪病、呪い、欠損など体調不良で引退しなければいけなかった闘技者、冒険者、探索者達は、きっとじょうだんじゃなかったのか!?と今後我が家を頼る事になるだろう。 

 

 この世界に治癒師は何人いる?実は結構な人間がいる、そのほとんどは軍人や冒険者、名家お抱えだったりで大体が切り傷や擦り傷、刺し傷などを素早く治すヒーラーである。 

 

 じゃあ時間がたってしまった傷は?かさぶたができたり、傷口がふさがったり、そんな傷は普通のヒーラーではもう回復できない。 

 

 では切断された腕をくっつける事は?もし腕の先、くっつける先のてがない状態で再生させろといわれたら?普通のヒーラーには無理である。 

 

 ある宗教団体が崇める聖女、聖人認定している者は切断した指をくっつける事は可能だと言うが、ない状態から再生はまだ世界的にみても治癒された事がない、何せなくなった腕がまた生えて来るわけなのだから、治療とはまた話が変わってくる。 

 

 次に病気、毒を飲んだ、シビレた、全身が麻痺している、急な眠気、体が重いなどの状態異常は治癒師で治せるがウィルスや病原菌が元の病気、ガンや腫瘍などは治癒師ではなおせない。 

 

 治癒魔術がありながら、多くの医者、薬剤師がいまだ沢山の人が現役で働いている理由は、治癒も万能ではなく、むしろまだまだ医者の領分の方が役割的に大きいからである。 

 

 治癒魔術はあくまでも対魔物で受けた緊急の傷に対する応急処置といった位置づけが正しい。 

 

 本当かどうかはわからないが、教団の聖女、聖人は欠損を治し、もう助からないと判断された重病や魔力によってかかった未知の病なども対応していると聞く、本当かどうかはわからないが。 

 

 六条家がエルドラドのPT会場にはいると、我々をみて周囲は氷ついたかの様に沈黙する。 

 

 父 瞬 母 愛 の二人は俺を早くにもうけた為にまだまだ若く、それでいて父は美形でどこか女性的な魅力も見えるイケメンである。 

 

 母もまた負けじと美しく、ほげーっとしながらみてるが、こんな美形の二人から俺うまれたんだよな?って感じで遺伝子を疑いたくなる。 

 

 鏡をみて顔は悪くないと思うのだが、両親が美しすぎて違う生き物にみえるのである。 

 

 妹も引きこもりの癖に美形なので、やはり俺だけがブサイクと言う事になる。 

 

 宝塚の様な二人の間にそびえる80キロの大木が、ぼくです!!!!! 

 

 会場を二人に合わせてすすむと、ハモンさんとニア嬢がにこにことして出迎えてくれた。  

 

 「おおっ!瞬!愛!よく来てくれた!!!一輝も!嬉しい!嬉しいよ!」 

 

 嬉しさ全開で俺達にハグをするハモンさん、娘さんが治療された一日目は六条家で一般家庭みたいな感じでパーティーをやったんだ。 

 

 ハモンさんが今までどれだけ大変だったか、家族がどれだけ大事か、どんな思いを抱いているか、六条家のあくまでも一般家庭のテーブルをみんなで囲み話を聞いた。 

 

 そしてニアがおきてきて、大いに喜びそのままホームパーティーに、王宮暮らしのハモンさんとニア嬢には日本の家で近い距離のテーブルで囲んでご飯を食べる事が非常に新鮮で温かかった様で、六条家のみんなは我らエルドラドの家族だ!と嬉しそうにいってくれた。 

 

 むしろ家族同士ですらいがみ合い殺し合いをしていて、落ち着けないハモンさんにとってまさに六条家は娘を救ってくれた聖域に感じた事だろう。 

 

 本当の家族にすら見せない砕けた表情に俺も親戚のおじさんの様な親近感を得た。 

 

 「一輝にいさま!!」 

 

 「ニア、大丈夫かい?問題はないかい?」 

 

 「もう最高の気分よ!お父様と日本をみてまわったの!不思議で楽しい国だわ!食事も美味しいし!すごく!すっごく楽しいの!」 

 

 「それはよかった」 

 

 「一輝様、ご無沙汰しております」 

 

 「ハキム、あれから体の調子はどうだい?」 

 

 「このハキム、今なら全盛期以上の力を振るい、お二人を全身全霊でお守りする事ができます!一輝様の治癒術はまさに唯一無二!体の毒素が抜け、凝り固まった筋肉はほぐれ、これ以上は出ないとおもっていた限界を軽く二三倍は超える肉体の向上!神の如きその腕!感謝所ではすみませぬ。私も御屋形様もみてください、来日した時以上に見た目に見えて若返っているでしょう。肌のハリからもうすでに違うのです!」 

 

 「よさそうでよかったよ」 

 

 ハモンさんもハキムにも施術して、ほぐしたり色々したのだが効果は抜群だったみたいだ。 

 

 だが、肉体は日々劣化していくもの、それを少し調整しただけだが、と談笑していると周りの声もボソボソと聞こえて来る。 

 

 「落ち目の六条家の人間と大国のエルドラドの王があんなに親しいなんて、息子の治癒で娘が完治した事は本当そうだぞ」 

 

 「そうなるとどうなる?源氏でも条家でも六条家が上位に来ることになるんじゃないか?」 

 

 「国内では綾小路ともかなり仲がいいと聞いているぞ、あの規律に厳しい綾小路家が軽口や嘘いうわけないし」 

 

 「治癒の事情も変わってくるぞ、審判教の聖女が世界的にも第一治癒の権威だったのに、これが覆る事になる!」 

 

 「審判教の聖女、聖人に診てもらいたいといっている名家や他国の貴族王族ですら順番待ちでやっていたのに、これからは六条家にたよることになるかもしれないのか?」 

 

 「それだけじゃねぇ、SからSSS級の引退冒険者を前線にまたつれていく事が可能になるかもって話だが」 

 

 「冗談だろ!?災害スタンピードでどれだけのランカーが傷や致命傷で引退しなきゃいけないくなったと思ってんだ。SやSSSだけの話じゃない、将来有望だったCからAの多くの人間がスタンピード終息にむけて傷を受け、引退せざる負えない状況になったんだ。多くの人間が涙のんで一般職に復帰していたり保険や国の税金で生きているのに、それらが前線に戻れるってすげぇどころじゃねぇよ。そんなのもう神様じゃん?」 

 

 「日本だけじゃないよ、いろんな国がスタンピードで死なぬまでも冒険者や闘技者として復帰できなくなった人間なんてそれこそ人類の半分ほどはいるぞ。戦わなきゃ、自分の異能がどれだけちっぽけでも戦わなきゃ死ぬって状況だったんだから」 

 

 「なんか嘘くせーなぁ、本当にそんな事できんのか?誰がいったんだよ。そんな事出来るって、所詮は噂だろ?ちょっと治癒できる程度じゃないの?」 

  

 「ちょっと程度でニア・エルドラドが治療できたら、聖人や聖女なんていらねーよ。日本の聖女と他国の聖女数人で話し合った結果、完治は不可能、やわらげて揚げる事だけが出来る事だっていわれていたニア・エルドラドだぞ、世界の聖女が集まるってニュースでもテレビでも散々やったし、その結果は残念なものだったけど」 

 

 「やっぱ、それを治した六条家は凄いって事じゃね?」 

 

 「そうだな、しかも義理、人情で名高い家でもある」 

 

 政界どころか、話をきいていれば世界が揺るぎそうな話だが、自分自身にそんな自覚はない。 

 

 そんな中 

 

 「よう、一輝・・・・・・・随分と調子がいいらしいじゃねぇか」 

 

 「お前痩せたか?それでもまだ横にでけぇけどな」 

 

 顔面に傷のある二人、完全にあっち側の人間だろ!この場にいていい感じの人じゃない。 

 

 波乱はおきようとしていた。

 

 

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