第6話 緊急ミッション:突然ノ侵入者カラ逃ゲヨ 

 ヒャッハーーーーーー!ソロサイコ~~~~~~!!!


 鳥羽さんの英断でソロワークを強制されたあたしは、二人がどっか行ってしまう前に一目散にあの場所を去った。

 もし置いてかれてあの男の子(名前は確か……う、うなんとかくん)と二人にでもされたらもれなくあたしの心臓が爆発四散しちゃうよ。


 普段ぼっちのうなんとかくんが何故この場にいるのかも意味わかんないし、うなんとかくんとはペアワークでも気まずいのに、気持ち的に半プライベートな部活動にまで共に行動を強制されたら、もうあたしは行き場がなくなってしまう。なので逃げてきました。

 

 今更だけどうなんとかくんが社交性ゴリラの磯部さんと友達だったなんて、それも「よっちゃん」とあだ名で呼ばれるほど親しい間柄なんて……同じ人種だと思ってたのになんだかむず痒い。


 進級してから二か月半、うなんとかくんとは友達になれるかもしれないと一握りの望みにかけて試行錯誤し……かけた毎日。だけど、磯部さんと友達な時点であたしとは異なる世界の人間だった。同時に友達の多さでマウント取れるからって優越感に浸ってたけど、これからはそうもいかない。

 

 ま、まぁ磯部さんは誰とでも友達になれるわけだし、うなんとかくんと友達でも不思議じゃないか!というわけで優越感を継続できたあたしはひとりハイキングコースを闊歩する。


 このハイキングコースは、中宮駅から歩いて数分ほどの緑地公園内をぐるりと一周するお手軽コースと緑地公園を横断するミニ登山コースの二つの遊歩道がある。

 今歩いてるのはミニ登山コースだ。裏山を通り抜けるためちょっとは登山感覚も味わえるので、高齢者や休日には家族ずれがそこそこやってくる。


 しかし、市民の隠れた憩いの場といった場所なので、平日の真昼間には人とすれ違うこともない。あと、この先には中宮市の心スポとして名高い廃教会もあるらしいので、そういった類を信じる人はまず訪れない。


 この場所は磯部さんの念押しで決まったんだけどね。ほかにも小さな祠や神社といったものが点在しているので、鳥羽さんも渋々許可した感じだ。


 あたしは心霊のような類は信じていないのでこうやってひとりでも悠々自適にハイキングができる。


 野鳥の囀り、そして時折森の中を吹き抜けるそよ風が木々を揺らす。都会の一角で小さな森林浴を行っている感じが何とも気持ち良い。

 六月もあり多少虫もいるのだが、あたしはよっぽどキモイヤツじゃければ平気な方だ。一応虫よけスプレーもありったけ吹きかけといたし!

 

 ん?そんなにみんなから離れて大丈夫だって?心配は無用。今の時代携帯あるし……げっ、そうだ充電するの忘れてきたんだった。

 スマホの電池アイコンは綺麗に血のような真紅に染まっている。なるべく使わないようにしよ。

  

 こーゆう森の中って、一定確率で首を吊った骸が……そうキョロキョロ周りを確認するあたしは推理小説の読み過ぎみたい。

 や、やるべきことは死体探しじゃなくて神秘っぽいスポットをまとめてエッセイを書くこと。て言ってもなかなか見つからないなぁ。祠や神社があるのは緑地公園の外縁辺りでこうも奥まで入ってしまうとただ一面の緑しか……


 そう思っていた手前、見つけてしまいました。光がわずかに差し込む程度だったハイキングコースに、突如雑草だけの空間が現れる。コースの中腹辺り、中宮市屈指の心霊スポット、廃教会のお出ましです。


 教会の中は私有地だろうけど、入ってみたいものだ。こーゆう場所にこそ探し求めていた骸……いや、神秘っぽい場所があるかもしれんしね!

  

 でも教会は当然ながら鍵がかかっていては入れるわけがないので、あたしは諦めてここを去ろうかと思っていたその時、教会の奥になんと洞窟をみつけてしまいました。

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