第018話 こっそりGW⑥(如月美遊視点)
「ごめーん」
「お腹大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だよ。服買いに行こ」
「分かった」
お店を出た私たちは、ショッピングモールに入っている服屋さんをはしごしながら、皆で服を合せて楽しむ。
でも、なかなかこれだというアイテムに出逢えない。
途中でヒロから神社の写真が送られてくる。
かなりいい感じの雰囲気を出していた。
『美遊:アニメや漫画で舞台になりそうな雰囲気のある神社だね!!』
『弘明:確かにおっしゃる通りですね』
『美遊:そこでお祭りがあったら、楽しそう』
『弘明:毎年ありますよ。この辺りにはここしか神社がないので、沢山人が集まって賑やかですよ』
『美遊:いいなぁ。私お祭り行ったことがないから憧れるんだよね』
これならさっきよりも分かりやすいと思う。
でも、返ってきたのは自分が誘うんじゃなくて真由美たちと行くのを進めるメッセージ。
中々難しい。
さっきもそうだったけど、再会して間もないし、仕方ないか。
『美遊:そうだね。夏になったら誘ってみようかな』
少し憤りを感じながらも何事もなかったようにやり取りを続けた。
まだまだ親密度が足りないってことだよね。
ゴールデンウィークが終わったらもっと積極的に攻めなきゃ。
『美遊:この服、どうかな?』
『美遊:(画像)』
ようやく自分好みで流行に合った夏服を見つけて試着して、ヒロにメッセージを送った。
うわぁ、滅茶苦茶露出多いよぉおおお!!
ちょ、ちょっと大胆過ぎた過ぎたかも。ヒロが全然誘ってくれないからちょっと焦っちゃったかな。
『弘明:活発な感じが如月さんに合っていて、とても素敵だと思います』
『美遊:そっか、嬉しい!! ありがとね!!』
でも、やっぱりヒロが服を褒めてくれるのは嬉しい。ついついテンション高めの返事を返してしまう。
ヒロが褒めてくれたアイテムは全部購入して、他にもお店を回ってひと夏着まわせるくらいの服を手に入れた。
「いやぁ、買った買った」
「買い過ぎちゃったよ」
「分かる」
皆両手が膨らんだ袋で塞がるくらい服を購入して苦笑い。
でも、これを着て直接ヒロに会った時に褒めてもらえるなら、これくらいの出費なんてなんてことはないよね。
「それじゃあ、お菓子とか買って、ウチにいこうか」
「賛成~」
私たちはスーパーで買い物を済ませ、真奈美の家に向かった。
「いらっしゃい、初めまして美遊ちゃん、莉那ちゃん」
「真奈美のお母さん、今日はお世話になります」
「なります」
お互いに挨拶を済ませ、夕食をいただいて、各々お風呂に入った後、パジャマパーティの準備をする。
真奈美の部屋に布団を並べ、小さなテーブルの上にお菓子や飲み物を置く。
『美遊:すき焼き、とっても美味しそう!! 私好きなんだよねぇ』
『美遊:私たちはもうすぐパジャマパーティだよ』
『美遊:(画像)』
私のパジャマ姿をそそくさと送った後、ヒロからパッタリ返事が来なくなった。
愛想つかされちゃったのかな。あっちで何かあったのかな。寝ちゃっただけかな。
色々考えて不安になる。
「ねぇねぇ、誰か良さそうな人はいた?」
「ぜーんぜん」
「莉那は?」
「私もピンとこなーい。美遊は?」
「……」
真奈美と莉那が何かを話しているけど、全然頭に入ってこない。
「美遊?」
莉那の不思議そうな声色でハッと我に返った私。
「あっ。ごめーん。なんだって?」
「学校に気になる人はいないかって」
どうやら二人は恋バナに花を咲かせていたらしい。
女子は恋バナ大好きだから、パジャマパーティなんてした日には、すぐに恋バナになっちゃうみたい。
私の気になる人は当然ヒロ。だけど、ここでそれは言えない。
「うーん、そうだね。まだ入学して一ヵ月だから、分からないなぁ」
「だよねぇ」
「しょうがないよね」
当然のように答えると、二人とも納得したように頷いた。
それから暫くしてお菓子や飲み物もなくなり、横になって話していると、いつしか夢の世界に旅立っていた。
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