恐怖都市チャンネル 第32回『天使ちゃんの呪い』②
情報提供者アユミ(仮名):トモコは怯えていました。けれど、数日後にそれはなくなりました。てっきりあの奇妙な悩みは解消されたのだと思っていたのです。しかし……
アユミ:ある日のこと。彼女といつものようにカフェでお茶して帰りました。その日のトモコはとくに不自然な様子はなく、あの怯えようが嘘のようでした。気になって『天使ちゃん』のことはもういいの?と聞けば、彼女は
トモコ「え? なんのこと?」
アユミ:そんな風にとぼける始末です。私ももう心配しませんでした。
自宅、風呂から上がったアユミ、スマートフォンの通知に気づく。
何度も着信があり、アユミがスマートフォンを取った瞬間に同じ人物からの着信が入る。
アユミ、電話に出る。
アユミ「もしもし。タカシくん、どうしたの?」
アユミ:それはトモコの彼氏であるタカシ(仮名)でした。
タカシ「ごめん、急に。なんかトモコの様子がおかしいんだよ」
アユミ「え? どういうこと?」
アユミ:それはトモコの不自然さを知らせる連絡でした。どうも彼女はあれからずっと『天使ちゃん』に取り憑かれていたのです。これはきっと、子供の頃に行った『天使ちゃん』からのお迎えだったのかもしれません。何せ、トモコはあの時『天使ちゃん』役の子にこんなことを言ったのです。
女児 「幸せにしてあげたら、トモコちゃんは私の友達になってくれる?」
トモコ「はい、そうします」
女児 「分かりました。トモコちゃんが幸せになった時、お迎えに行きます」
〜トモコの視点に変わる〜
どこか虚ろな目をしたトモコが、夜の線路沿いをゆっくり歩く。
女児 「トモコちゃん」
振り返る。そこには夕焼けに染まる学校の教室があった。
夕焼けが机に反射し、交差する光の筋を生み出す。規則正しく並んだ三十の机。
八歳頃の少女たちが五人、真ん中に一人の少女を置いて囲むように手を繋いでいる。
クスクスと忍び笑う声が開いた窓の向こうへ吸い込まれていく。
五時のチャイムが鳴り、カーテンがはためく──
その時、真ん中にいた女児がすくっと立ち上がり、トモコに言う。
女児 「いま、あなたは幸せですか?」
トモコ「はい」
女児 「人生で最高に幸せですか?」
トモコ「はい」
ふらふらと歩きながら踏切の前に立つ。
手にはスマートフォンが握られていて、何事か不穏を察知した男の声が聞こえてくる。
タカシ『トモコ? おい、トモコ! どうしたんだよ! 返事しろ!』
トモコは幸福そうな笑みを浮かべていた。
テロップ:あの時、天使ちゃんのお告げを聞いて本当に良かった。
彼女は踏切を越えた。
トモコ「天使ちゃん、ありがとうござ──」
電車が彼女の体を弾いた。
〜暗転〜
〜テロップ〜
天使ちゃんのルール
1、白い紙に赤ペンでハートマークを書く。
2、紙を地面に置き、占う人が紙の上に立つ。その周りに三人~五人が手をつないで囲む。
3、真ん中に立つ人以外が声を揃えて「天使ちゃん、おいでください」と唱える。
4、真ん中に立つ人が媒介となり、天使ちゃん役として質問に答えていく。
天使ちゃん役は「はい」「いいえ」のみ発する。
5、終了時は「天使ちゃん、ありがとうございました」と唱える。
タブー
・降霊中、周囲の人間は手を離してはいけない。
・はい、いいえ以外の答えを求めてはいけない。
・二人以上でやらなければならない。
・天使ちゃん役は何があっても輪の中と紙の上から出てはいけない。
※この再現VTRは体験者の話を元に作成されました。
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