第十六話 例え女といえど、悪者には容赦しません。

☆ティア・マーハロン


 ずっと、ずーっとユーティ探してたら朝になっちゃったよ。

 近くの宿屋にもいないし、深夜まで営業してる飲み屋さんにもいない。

 性的サービスしてるお店にもいない、本番営業してるお店にもいない。

 公園の茂みの裏にいるカップルも違ったし、路上で看板とパンパンしてるのも違った。


 まさかと思い閉店後のペットショップも覗いたけど、やっぱりいなかった。

 いたら泣いちゃうけど。


 どこをどう探してもいない。

 ここからロカ村まで歩いて帰れる距離じゃないのに。


 お金も持たずに一体どこに行っちゃったのよ。

 いなくなるなら一言くらい言ってくれればいのに。 


「……うわ、酷い顔。お化粧で隠せるかな……」


 目の下のクマが酷い、充血もしてるし、髪も汗でぺたんこしてるし。

 今日だって一日お仕事なのに……ユーティのバカ。


 残り湯で髪だけ整えて、一応の身だしなみは大丈夫かな。

 うぅ……朝日が眩しいなぁ、お店休んじゃおうかなぁ。

 物凄い眠くて、欠伸が出そうになるけど。


 ダメダメ、店長なんだから、しっかりしないと。(両頬パンパン)

 あれ? お店の前に人だかりがある……なんだろう?

 

「あ、店長!」

「おはようコマルさん、どしたの?」

「お店! お店が荒らされてます!」

「お店が荒らされ……えぇ!?」


 コマルさんに連れられて、お店へと一歩足を踏み入れる。

 色々な商品がなぎ倒されていて、まるで嵐の後みたいになってるじゃない。


「一階部分だけが荒らされてるみたいでして、二階は特に被害はないみたいです」

「そうなんだ……一階の被害は? どれぐらい盗まれたの?」

「それが、今の所なにも盗られてないっぽいんですよね」

「何も盗られてない?」

「ああ、えっと、まだちゃんとは分かってないんです。でも、皆で陳列し直してるんですけど、所定の場所にきっちり全部が収まっていくと言いますか、ただ単に荒らされただけと言いますか……あ、でも、店長見て下さい、この床の焦げ跡。こんなの無かったですよね?」


 床の焦げ跡……しかも部分的に液体がしみ込んでる。 

 荒らされた店内、焦げ跡に濡れ跡……まさか、ユーティ!


「あ、店長、どこに」

「ちょっと人探しに!」

「人探しって、どこに行くんですか! 店長、店長!?」



☆ユーティ・ベット・トリミナル


「ユーティ、私嬉しい」

「そうかい」

「マーハロンをこの手で潰せるんだ、積年の恨みをようやく」

「積年の恨み?」

「……別にいいの、こっちの事情だから」


 次はBだよね、と言いながら、ラズは覆いかぶさるようにして、おっぱいを顔に押し付ける。

 おっぱい柔らかいし、膝が俺の股間に触れてて気持ちいい。

 谷間で深呼吸しとこ、すううううううぅ……はああああああぁぁ……。


「やん、生温かいよ」

「すまねぇ」

「変態だね、ユーティは」


 よく言われます。

 名残惜しそうに俺から離れると、ラズは着ている服を脱ぎ始める。

 弾けるおっぱいはサクランボが上を向き、脱いだスカートはそこらにポイだ。

 下着の両サイドの紐、それを片方だけ解いて手で持ったまま、ラズは妖艶に微笑む。

  

「次はCだね」

「椅子の拘束は外してくれねぇの?」

「ダメ、このままでも出来るでしょ? ユーティの大きいし」

「まぁな」

「だから、このまま私が貴方の上に座れば、契約完了」

「契約完了とか、色気がねぇな」

「私達の関係に恋愛感情なんてないでしょ? ビジネスパートナーとして、これからも宜しくね、ユーティ………………あれ?」


 座っている俺の上にまたがって、腰を下ろそうとしたラズの動きが止まる。

 股間から垂れるつゆりとした体液だけが俺の息子様と合体して、ふへへ、妙にぬくいぜ。


「ちょ、ちょっと、何これ」

「ラズは水魔術について精通してないのな」

「だから、なに?」

「教える人がいなかったんだろうから、俺が特別に授業してやるよ」


 ぷるぷる震えたまま、全裸のラズの顔に焦りが生まれる。

 そらそうだよな、いきなり全身拘束されるとは思いもしなかっただろうからな。


「口から含んだ水分は食道、胃を通過して、小腸で吸収される。その後、普通の水分なら三十分ほどかけて全身の細かい血管……毛細血管って呼ばれてるらしいけどな、そこを経由して全身に吸収されていくんだと。だが、ラズが飲み込んだのは俺の唾液、もちろん遠隔操作が可能だ。ものの数分で小腸まで到達し、俺の唾液は他の水分と混ざりあい、ラズの全身へと駆け巡ってるってわけ」

「お、お前の、唾液? じゃ、じゃあ、いま身体が動かないのは」

「分かるだろ? 俺の唾液がラズの全身に行き渡ったってことだよ」


 筋肉なんかで抵抗できると思うなよ? 

 俺の水魔術はアンタが尊敬しているヒルネ級だ。


「う、腕が、手が、勝手に動く!」

「ありがと、椅子の拘束解除してくれるの?」

「ふっ、ふざけないで! 飲み込んだ水分なら、出してしまえばいい!」


 ラズってば「ふーっ、ふーっ」って呼吸を整えて「ふんっ!」って踏ん張り始めた。

 おいおいおい、俺の上に跨ったままするつもりかよ。

 ……まぁ、面白いから見てよ。


「っく、ううぅ、あああああぁ!」

「ほれほれ頑張って」

「ユーティ、お前、絶対許さないから!」

「許さなくて結構、早く出してみ」

「ひっく、ううううぅ! うううううううううううぅ!」


 ぷるぷる震えながら、ラズの股間、茂みの奥の水源がきらめく。

 そんで、ぷしゅ、ぷしゅるるるるるるる……って、生あたたけぇのが出てきた。

 左手から。


「え、な、なんで」

「様々な事情により、蛇口を変えさせてもらった」

「なによ、それ」

「水魔術基礎!」

「ひっ」

「水魔術は左手から! 身体の中のオシッコを意識して! 放出ッ!」

「あうっ! うううううぅ!」


 今度はかなりの勢いだ、ぷしゃあああああああああああって出てきた。

 結構溜まってたんですね。

 腰をガクガク震えさせながら、ラズちゃんってば左手から雫の一滴まで出してやんの。


「……ううぅ…………恥ずかしぃ…………で、でも、でもこれで!」

「なによ」

「あ、あれ? 全然、動けない」

「当然だろ、飲み込んだ水分が即で排出できると思う?」

「な、なんで、じゃあ、ユーティの唾液は」

「基本、その日飲んだ水分が排出されるのは、約一か月後だ」

「一か月後……一か月後!?」


 目の前で可愛い顔引きつらせちゃって。


「言葉の意味、理解出来るよな?」

「ふざけるな、ふざけるなユーティ!」

「はぁーあ、まずはお前さんの腐った性根を叩き直さねえとな」

「なに……何するつもり。いいよ、お前みたいな童貞の拷問、どんなのでも耐えるから」

「へぇ、拷問してもいいんだ」


 本当に? 現在進行形で辛そうですけど?

 でもまぁ、俺も試してみたい魔術が一個だけあるんだよね。

 拷問……みたいになっちゃうかもしれないけど、本人がこう言ってるんだから大丈夫っしょ。


「なあラズ、潮魔術って知ってるか?」

「潮魔術? 聞いたことがない」

「だよな、俺も最近知ったんだ。だから、ちょっと練習させて貰うぜ」

「潮魔術…………潮……え、ちょ、ちょっと待って、まさか」


 えっと、あの時の母さんの水魔術の波形は確かこんな感じで。

 魔力の流れを下腹部に集中、性感帯の根っこに集中させてと。


「いや、いやだ、分かる、何するか分かる、ユーティ、待って」

「魔術とは、日進月歩で進化していくんだ。そのためには大なり小なり犠牲が必要になる」

「そ、そんな、私、犠牲」

「いくぞ…………潮魔術:ホエール愛液ラブシャワー!!!」


 母さんの最終秘奥義。 

 発動させた瞬間、ラズは全身を一瞬で弓なりにしならせた。

 

「いっ! ぎっ…………きゃああああああああああああああああああああああぁ!!! いひっっ、ひっっ、ひっぎ、いいいいいいぃ! あああああああああああああああああぁ! ああああああああああああああああ! ああああぁ……ああっ、あ、あひゅ……ひゅ……ぁぅ」


 すっげぇ痙攣させながら、左手からあり得ない量の水が噴出された。

 舌もだらしなく出ちゃってるし、目もうつろで、さくらんぼはさっきよりも大きくなってる。


「うーん、あの時の母さんには及ばねぇな。ラズ、もう一回だ」

「ひっ、ムリ、むりむりむり!」

「今度はもっと性感帯の根っこを……行くぞ、潮魔術:ホエール愛液ラブシャワー!!!」


 今度はラズちゃんってば、俺のことをギューッと抱き締めてきた。

 すっげぇ本気でしがみついてきて、爪が喰い込んでいてぇ。


「ひぎいいいいいいいいいいぃ!!!!! ああああああああああぁ! 壊れる、頭壊れりゅ! ダメ、これ、ダメ! ダメダメダメ! やらあああああああああああぁ!!!!! う、ひぎゅ、ひっ、ひっ、や、まだ、まだでりゅ! うあああああああああああぁ!」


 ぐっ、潮魔術の反動が俺にまで来やがる。

 そもそもこの魔術は本人の魔力を使う魔術だからな。

 練習とはいえ、俺の負担もすげぇや。 


「大丈夫だ、ちゃんと治癒も掛けてるし、壊れないから」

「こん、な、むり、しんじゃぅ」

「無理無理言ってるウチは大丈夫ってな、それに最初に伝えたぜ? これは拷問だってな」

「ひぅ……」

「さぁ、最後だ。耐えろよ」


「――――――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 


☆★☆★☆


 ふむ、潮魔術の仕組みは完全に理解したぞ。

 使用者の体内魔術が完全に無くなった後に発動させる必要があったんだな。 

 ラズの体内に余計な水分や魔力があっちゃダメだったんだ。

 三回目、何も残っていない身体で使用する事で、あの破壊力を持った爆裂的な魔術へと昇華する事が出来た。

 

「しかし、やり過ぎたな、完全に意識失っちゃったじゃん」


 椅子に座った俺に覆いかぶさったまま、ラズちゃんってば微動だにしないでやんの。

 全身汗だくで、はぁ……はぁ……って吐息が可愛いから、このままでもいいけどよ。

 しかし、椅子の手枷とかは外しておきてぇな、このままじゃ身動き出来ねぇ。

 うーん、でもラズちゃん起こすの可哀想だし、どうすっぺ。

 

 そんな、のほほんとした考えをしていた時だ。 

 目の前の扉が物凄い勢いで蹴り破られたのは。 


「ユーティ! 助けに来た……よ」

「え」

「……」

「ティ、ティア、これはな?」

「お取込み中の所、誠に申し訳ございませんでした」

「ちょ、ちょっと待って、ティア! お前絶対誤解してる!」

「どうぞ末永くお幸せになって下さいまし! 永遠にさようならユーティくん!」

「待って、待ってって、おい! ティア! ティアー!!!!」


☆★☆★☆


次話『獄中生活も悪くない』



※全て左手から水が出ているだけです。

※嬌声激しい小説ですが、左手から水が出ているだけです。

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