第五話 襲ってもいいですか? ※レミ視点

「あそこがバラン様の神殿だけど……ユーティくん、大丈夫?」

「だ、大丈夫、だ」

「本当に? 両方の鼻の穴から絶え間なく鼻血、出てるよ?」

「俺は水魔術を極めし者だぞ? これぐらいの鼻血、秒で止めてみせるさ」

「ほれ」


 ぶばっってユーティくんの鼻から血が溢れてくる。

 もう十回以上も見せてるのに、それなのにユーティくん鼻血だしてくれるんだね。


「ぐぅ……ッ! な、なぁ、レミ」

「うん」

「その、裸を見せるのを止めてくれないか、そろそろ出血多量で死んでしまいそうだ」



 はぁ……。

 ユーティくん好き。

 ユーティくん好き。

 ユーティくん好き。

  

 ユーティくん超好き。

 このままめちゃくちゃにして欲しい。

 我慢なんかしないで襲っちゃえばいいのに。

  

 ……でも、ダメ。

 ニーナちゃんはともかく、ティアを出し抜いて手を出すのはダメだから。

 妹を悲しませることだけは、姉として出来ない。

 勇者協定以前の問題、それに私は決めてるから。

 二人が諦めたら、私が彼を貰うって。


「ユーティくん、あそこが神殿だけど……あれ、ユーティくん?」


 彼、裸のまま倒れちゃった。

 いけない、治してあげないと。

 

 でも、その前に。

 うつぶせに倒れてるのを、よいしょって仰向けにする。


 つんつん。


 ユーティくんの、本当に大きくなったんだね。 

 さっきのは本当にすごかった。目の前にあってドキドキしちゃった。

 自分を抑えられて、レミちゃん偉いねって褒めてあげたいくらい。

 

 とりあえず……写真撮っておこうかな。

 十六歳のユーティくんの裸の写真。ふふっ、一生の宝物だね。


 つんつんしても反応がないし、ちょっと、イケナイことしてみようかな。

 ティアにバレない程度だったら、きっと問題ないよね…………はぁ、ユーティ。


 そっと下腹部に手を添えながら、端正な顔立ちの彼に頬擦りする。

 腹筋の割れ目にそって指を滑らせ、右手で彼の頭を抱え込むように密着した。

 私のおっぱい、柔らかいでしょ? もっと知って欲しい、両方とも、ユーティのだからね?


「ん…………ちゅっ…………っぷは、はぁはぁ、ふっ…………んっ、んん……」


 十年前は出来なかった、彼の味を堪能しながらする熱いキス。

 舌と舌を絡めながら、舌裏から頬の裏側、歯の一本一本まで全部私の味で染め上げる。


 ぴちゃぴちゃといやらしい音を立てながら、舌と舌で糸を引きながら。


 全部大好き、ユーティのなら鼻の穴だって全部舐めれるよ。

 全部好き、耳も、目も、口も、鼻も、いま左手で触れてるユーティの大きいのも。 


 ……はぁ、ユーティ、好き、好き好き好き。

 十年もいなくならないでよ、もう一生側にいてね。


 ユーティは、どうしてこんなに綺麗な顔をしているの? 

 どうしてこんなに身体を鍛えたの?

 どれもこれも全部私のため?

 あの時助けてもらってから、レミの身体は全部ユーティのものだよ? 

 早く私の貞操の全てを奪ってほしい、レミは、いつだって大丈夫だからね。


 大好きだよ、愛してる、ユーティ……。

 このまま、一つになっちゃおっか?

 ほら、私のだって、こんなに濡れてるんだよ?

 絶対、ティアにもバレないから、だから、ユーティ――――


「おや、聖女様、どうかなさいましたかな?」

「司祭様、いえ、こちらに怪我をされた男性がおりましたので、介抱しておりました」


 危なかった、そういえば神殿近くだった。

 一瞬で離れたけど、まだ心臓がドキドキしてる。


「なんと! これはいけない、なんという血の量だ!」

「はい、おぞましい量です」

「それに口元付近に粘つく液体が……意識を失っているのに、股間が膨れ上がっているだと!? これは伝説の吸血鬼の仕業かもしれませぬ! 急ぎ対策を練らねば! そしてかの憎き水魔術教団よりも、この命魂めいこん魔術教団の方が優れていると証明できるチャンスでもあります!」

「そうですね」

「では聖女様、一刻も早く行動に移りましょう! 私から大司祭へと連絡を致します!」

「分かりました、では私はこの男性と」

「なりませぬ! 聖女様が異性に触れるなど言語道断! この者には今すぐ人を手配します故、聖女様は私とご同行をお願いします!」

「チッ」

「聖女様?」

「大丈夫です、では、行きましょうか」


 ユーティくんを置いていくなんて、本当はしたくない。

 でも、私にも聖女としての役目があるから。


「そうだ」

「どうかなさいましたかな?」

「私の妹へと、言伝をお願い出来ますでしょうか?」

「はい、聖女様の妹君、ティア様でございますね。して、言伝の内容は?」

「彼が帰ってきた、それだけで大丈夫です」

「彼が帰ってきた……で、ございますか」

「はい、宜しくお願いします」

「かしこまりました、早急に対処致します」


 姉として、妹の幸せを願うのが一番の務め。

 妹のティアとユーティくんが一緒になれば、それはそれで良し。


 ……義理の姉として、堂々と彼を襲う事が出来る。

 大丈夫、きっとティアも分かってくれるよね。

 だって、私たちのユーティくんなんだもん。

 結婚は譲るから、子種は分け合おうね、ティア。

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