第四話 俺の幼馴染が聖女で可愛い。

 ニーナの魔術で天高く飛ばされてしばらく経つが。

 そろそろ着地かな、死なないように受け身とらねぇと。


「お、湖か、あそこなら大丈夫そうだな」


 水があればなんだって出来る。

 伊達に水魔術極めてないぜ。


「魔術:水神封爆風!」


 名前は適当、カッコ良ければ全て良し。

 湖の水を集約して水竜巻にしてっと、おースゲ、大竜巻の出来上がりだ。


「よーし、速度がかなり出てっからな、竜巻に飛び込んで回転しつつ減速しねぇと!」


 バシャン! って飛び込んだ瞬間。

 うおおおおおおお! 身体が回るー!

 遠心力がすげぇ! ちょ、ちょと弱くしねぇと、死ぬ!


 水魔術:解除! 

 ッパーーン! 


 うひぁー! 竜巻解除したのに、余韻でクルクル回っちまう!

 あー、でもなんか、遠心力で持ち上げられた水が雨みたいに降ってきて、なんか気持ちいー。


「……凄い」

「ん?」


 女の声? こんな山奥の湖に誰かいたのか? 

 あ、やべぇんじゃねぇか? 結構魔力込めて竜巻作っちまったぞ!?

 

「すまねぇ! 人がいるとは思わなかったんだ! 怪我とかしてない……か?」


 ぱらぱらと舞い散る水が光を乱反射させ、その子を照らし上げた。

 白装束一枚を身にまとった彼女は、水色の瞳を大きく見開き、俺を見る。


「え、えと、大丈夫?」

「大丈夫……だよ。今のって、水魔術?」

「水魔術と言えば水魔術だな。回転させて渦を発生させて、下に炎魔術で水を瞬時に蒸発、そんで竜巻を作り出して受け身を取ったって訳なんだけど」


 喋り方とか、声の感じとか、仕草とか。

 湖の中に一人立ち、俺を見つめ続けるその感じ。


「な、なぁ、間違ってたら申し訳ねぇんだけど……もしかして、レミか?」


 面影がある。ちょっと垂れ目の青い瞳に、白く染まりながらも、毛先だけ水色の髪。

 病弱な程に真っ白な肌に、細くて、だけどしなやかな白磁のような手足。 

 相変わらず右目を隠してるんだな、だけど、そこがチャームポイントだ。


「……うん。もしかして貴方、ユーティくん、なの?」


 思っていた以上に可愛い、想像以上に可愛い。 

 ぱちくりした瞳が俺って気付いた途端に潤んで、しかも真っ白だった頬も一気に真っ赤だ。 

 濡れて吸い付く白装束が彼女の裸体を曝け出し、育った果実の先端まで露わになってやがる。

 さくらんぼかぁ、さくらんぼだなぁ。ちゃんと左右に一個づつ付いてら。


「ユーティくん、大きくなったね」


 レミが俺の下の方を見ながら語る。

 あ、そういえば俺ってば全裸じゃん。 


「まぁな、もう小さいとか言わせないぜ」

「そうだね、もう言えないね。大きいユーティくん」


 ニッコリ微笑みながら、降りしきる雨の中、レミは湖の中をゆっくりと歩く。

 背丈は俺よりも頭一個小さい感じ、相も変わらずの微笑はとてもキュートだ。


「レミも、大きくなったな」

「それは身長? それとも、おっぱい?」

「ん、両方」

「えへ、ありがと。裸のままでいると風邪ひいちゃうよ?」

「お互い様だろ。じゃあ、温めてくれよ」

「いいよ、はい、ぎゅー」


 柔らかい!!!! 圧倒的に柔らか過ぎるッッ!!!

 なんなんだよこの距離感、恋人以上夫婦未満って奴じゃねぇか!

 既に第一変身してる息子様が、一瞬で第二変身を遂げちまったぜ!


 はっ、そういえば、レミとは『女の子との仲良し♡』をする約束をしてたっけ。

 ということは今がその時か! 互いに裸、密着、これはするしかない!


「レミ!」

「私ね、いま聖女なんだ」


 ハグッ! ってしそうな手を、思わず止める。

 聖女? 聖女って、何女?


「命を司るバラン神に仕える巫女、村の守り手として、治癒の神技を受け継ぎし聖女なの」

「そうなのか、へぇ、レミも凄いんだな」

「うん。凄いんだよ。傷とか病気とか、私が祈れば全部治っちゃうの」

「そいつはマジで凄いな」

「だから、この大きくなったユーティくんのも、小さく出来るよ?」


 大きくなった息子様を小さく、だと?

 それってば、全開発射して萎れてって事か?

 エロエロな展開になってきたじゃねぇの……こういうのを期待してたんだよ俺は!


「じゃあ、早速頼む!」

「うん。いいよ」


 レミの両手がいきり立った俺の息子様を包み込む。

 始まるのか、長年待ち望んだ『女の子との仲良し♡』の儀式が。


 十年間、魔術学校で我慢して妄想して泣き叫んだあの日の俺よ!

 見ているか、ついにこの時がやってきたぜ!

 胸が高まってきたぁぁあああああああッッ!


「神技:賢者モード」

「はい?」


 レミの両手から光が放たれると、俺の中の何かが消えた。

 

「……レミ」

「うん」

「女の子は、自分の身体を大事にしないとダメだ。こんな十年ぶりに再会しただけでその身を委ねようとは、けしからんにも程がある。なんだこの白装束は、裸同然じゃないか。こんな服を修行の為に着せるとは、これじゃあまるで聖女の修行じゃなく性女の修行じゃないか」

「ユーティくん」

「なんだ」

「ほれ」


 レミが着ていた白装束の腰ひもをほどき、んばっと俺に全てを開けひらかした。 

 大きいおっぱいの先には小さなさくらんぼがあり、へこんだお腹にくの字にくびれた腰つき。

 股間から垂れる水滴が妙にいやらしく、薄毛なのか結構くっきりと丸見えになっている。

 痩せ細った感じの太ももだが、近くで見ると繊細な感じがして健康そのものだ。


「……うぐっ」


 何故だ、レミを見ていたら、急に鼻血が噴出してきた。


「大丈夫?」

「大丈夫だ、レミを見ていたら急に鼻血が」

「そうなんだ……。ほれ」


 んばっと開いた裸体を見て、また鼻血が。

 一体どうしたことだ、これが聖女の神技という奴か。

 まったく、恐ろしいものだ。


「とりあえず、どこかに案内してくれないか?」

「うん、歩いて五分のとこに神殿があるから、そこいこ?」

「ありがとう……レミは優しいな」

「ほれ」


 ぐぅ――!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る