聖性
天満悠月
第1話
帝国紀元一五九六年、雄健の月第一の次元神の日に、ヘザー候領の村落にて私は生れた。王子と云う出生にありながらにして僧職に
私は農民の子であった。二月前に生れた同じく農民の子である男と、私は馴染みであった。幼年期の私
そうして、私と馴染みは地主である騎士に仕える事となった。
私にとっての第一の転機は、館に飾られた一つの絵画を目にした事である。其れは主の亡き細君の肖像であったのだが、私は其れに深く感銘を受けた。婦人の姿にと云う因りも、「絵」と云うものに惹かれたのである。此の世は色彩に溢れている。変化とは
とある日、私が馴染みの肖像を描いていた時の事である。嬢が其処へ来て、私の手元、描き掛けの馴染みの絵を覗き込む。私は少しばかり気を遣りはしたが、手を止める事はなく、木炭を動かしていた。そうしていると、嬢が一言「私に絵を教えて呉れませぬか」と申される。私は他人に指導できる程の者ではなかったが、嬢が言われるからには「えゝ」と答える
やがて年齢も嵩んでいった。ファーリーンは改革の時代にあって、各貴族領が争っていた。其れは主に宗教的な理由に依った。リーン教典を拠り所とする此れ
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