2023年10月24日 21:12
第7話への応援コメント
初めまして。この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。作品の方を拝読致しました。非常に完成度の高い作品だったと思います。内容は同性愛に始まり、宗教的観点から捉えた善悪の形や赦しの在り方が展開され、確固たる哲学を読み取ることができました。文章面もレベルが高く、Web小説では群を抜いている印象です。プロ作家の練度に比肩する、巧緻な文章が綴られていました。総じて作品は高水準なものに仕上がっており、批評という観点を抜きにして、純粋に楽しむことのできた作品でした。気になった点は二つほどです。一つは、作品の主旨の変化について。作中では同性愛から宗教戦争に話が移行し、中盤以降は戦記物の様相を呈していきます。こうした一連の流れは、本作の主旨である同性愛の要素を薄めているように思えました。特に第4話以降は国名や地名が頻出し、馴染みの男や嬢は実質的に登場しなくなります。このことは主人公の葛藤を表現するうえで不可欠な一方、作品の主軸がぼやける事態を招いています。簡単な話、風呂敷を広げすぎたあまり、根本的なテーマが小さく見えてしまうのです。同性愛に重点を置くのなら、主人公の想いを戦乱の末の諦念として表現するのではなく、修道士の破戒として詳らかに書いた方が作品の根底にある哲学が伝えやすいのではと考えました。もう一つは、兵を看取る際の問答について。第5話以降、三人の兵と問答をすることになるわけですが、今際の際でこのやり取りをするのは違和感が大きかったです。瀕死の者が長々と台詞を続けられるのかは疑問ですし、両足を失った兵に関しては痛みでそれどころではないでしょう。そこに持って回った言い回しで説教をする主人公には、かなり残酷な人間という印象を抱きました。仮にこの部分を私が改稿するのなら、処刑を待つ虜囚とのやり取りに変更します。あるいは捕虜になった馴染みの男と再会し、処刑を免れるために悔悛を促す場面にしても良いかもしれません。そうした別の意味で死にゆく者に対し、真理を説いても作品の見所となるかと思います。大筋を変えないのなら、もう少しやり取りをコンパクトに収められれば、違和感は小さくなるはずです。最後に、気づいた範囲で誤字脱字の報告を。近代文学の趣を出されているということで、的外れな指摘も混ざっているかもしれませんが、一応こちらに記しておきます。第3話より:初め聞き紛うたのだと思ったが、→初め「は」:しかし私の足は自然其の部屋の扉へと近付いて、→自然「と」第4話より:ファーリーンでは司祭位上の者でなければ→司祭以上第5話より:汎ゆる負の感情に打克たんとする、→打ち克たんとする第6話より:「異教の」と呟き睨みを効かせたが、→睨みを利かせたが第7話より:幼少にして彼と離ねば為らなかった。→離れねば以上になります。作品の違和感の軽減について、ご一考いただければ幸いです。
作者からの返信
島流しにされた男爵イモ様この度は魅力的な企画を立ち上げてくださり、ありがとうございます。作品レビューも、大変嬉しく受け取らせていただきました。ご指摘にある通り、広い風呂敷の上で踊らせてしまった感はあります。主人公が抱える二面性と、それに伴う葛藤を描くことが目的でしたが、やや同性愛者であることにフォーカスをしすぎたかもしれませんし、或いは、この長さの作品であれば、葛藤の理由をそれ一つに絞った方が良かったかもしれません。兵を看取るシーンに関して、特に三人目に関してはまったく現実的でないと、書き手としましても感じてはおります。長々と会話をするには、あまりにも負傷の程度が大きすぎますよね。基本的に、誰かを看取る場面でしか会話らしい会話(と言いますか、主人公の他者に対する態度を示せるもの)がありませんので力を入れたものの、ここに来て怒涛の長台詞は、違和感に繋がってしまう。三人目は負傷の程度を具体的に書いてしまっていますし、この重傷者に回りくどい説教は残酷、というのはたしかにそうかもしれません。ご提案にある「処刑の迫った虜囚への説法」のほうが現実的かつ慈悲を感じさせる効果はありそうです。死にゆく兵たちは幻覚を見て(実際に見ているのか、主人公がそう解釈しているのかは曖昧なところですが)、意識混濁状態で主人公の言葉を受け取る、という様子を描きたかったのですが、いかんせん文章上では(語り手である主人公の補完により)発言が整形されているので、死に際にも拘らずハキハキと話しているように見えてしまいます。このあたりの表現には、もっと工夫が必要ですね。目下のところは、どこかに「実際には息も絶え絶え、声も声にならない言葉を、主人公が必死に耳を傾け理解しようと努力した」ことが伝えられる文を追加してみようと思います。誤字脱字のご指摘、ありがとうございます。意図しない誤字がありましたので、修正いたします。客観的なご意見、大変参考になりました。演出として通用するラインというものを、しっかりと吟味し、見極めていきたいと思います。丁寧な批評、感想、とても励みになります。なかなか読まれない作品ですが、このようなコメントやレビューをいただけると、勇気が湧いてまいります。この度は、本当にありがとうございました。頂戴したお言葉を、今後の作品にも活かしていきたいと思います。
第7話への応援コメント
初めまして。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
作品の方を拝読致しました。
非常に完成度の高い作品だったと思います。内容は同性愛に始まり、宗教的観点から捉えた善悪の形や赦しの在り方が展開され、確固たる哲学を読み取ることができました。文章面もレベルが高く、Web小説では群を抜いている印象です。プロ作家の練度に比肩する、巧緻な文章が綴られていました。総じて作品は高水準なものに仕上がっており、批評という観点を抜きにして、純粋に楽しむことのできた作品でした。
気になった点は二つほどです。
一つは、作品の主旨の変化について。作中では同性愛から宗教戦争に話が移行し、中盤以降は戦記物の様相を呈していきます。こうした一連の流れは、本作の主旨である同性愛の要素を薄めているように思えました。特に第4話以降は国名や地名が頻出し、馴染みの男や嬢は実質的に登場しなくなります。このことは主人公の葛藤を表現するうえで不可欠な一方、作品の主軸がぼやける事態を招いています。簡単な話、風呂敷を広げすぎたあまり、根本的なテーマが小さく見えてしまうのです。同性愛に重点を置くのなら、主人公の想いを戦乱の末の諦念として表現するのではなく、修道士の破戒として詳らかに書いた方が作品の根底にある哲学が伝えやすいのではと考えました。
もう一つは、兵を看取る際の問答について。第5話以降、三人の兵と問答をすることになるわけですが、今際の際でこのやり取りをするのは違和感が大きかったです。瀕死の者が長々と台詞を続けられるのかは疑問ですし、両足を失った兵に関しては痛みでそれどころではないでしょう。そこに持って回った言い回しで説教をする主人公には、かなり残酷な人間という印象を抱きました。仮にこの部分を私が改稿するのなら、処刑を待つ虜囚とのやり取りに変更します。あるいは捕虜になった馴染みの男と再会し、処刑を免れるために悔悛を促す場面にしても良いかもしれません。そうした別の意味で死にゆく者に対し、真理を説いても作品の見所となるかと思います。大筋を変えないのなら、もう少しやり取りをコンパクトに収められれば、違和感は小さくなるはずです。
最後に、気づいた範囲で誤字脱字の報告を。近代文学の趣を出されているということで、的外れな指摘も混ざっているかもしれませんが、一応こちらに記しておきます。
第3話より:初め聞き紛うたのだと思ったが、→初め「は」
:しかし私の足は自然其の部屋の扉へと近付いて、→自然「と」
第4話より:ファーリーンでは司祭位上の者でなければ→司祭以上
第5話より:汎ゆる負の感情に打克たんとする、→打ち克たんとする
第6話より:「異教の」と呟き睨みを効かせたが、→睨みを利かせたが
第7話より:幼少にして彼と離ねば為らなかった。→離れねば
以上になります。
作品の違和感の軽減について、ご一考いただければ幸いです。
作者からの返信
島流しにされた男爵イモ様
この度は魅力的な企画を立ち上げてくださり、ありがとうございます。作品レビューも、大変嬉しく受け取らせていただきました。
ご指摘にある通り、広い風呂敷の上で踊らせてしまった感はあります。主人公が抱える二面性と、それに伴う葛藤を描くことが目的でしたが、やや同性愛者であることにフォーカスをしすぎたかもしれませんし、或いは、この長さの作品であれば、葛藤の理由をそれ一つに絞った方が良かったかもしれません。
兵を看取るシーンに関して、特に三人目に関してはまったく現実的でないと、書き手としましても感じてはおります。長々と会話をするには、あまりにも負傷の程度が大きすぎますよね。
基本的に、誰かを看取る場面でしか会話らしい会話(と言いますか、主人公の他者に対する態度を示せるもの)がありませんので力を入れたものの、ここに来て怒涛の長台詞は、違和感に繋がってしまう。
三人目は負傷の程度を具体的に書いてしまっていますし、この重傷者に回りくどい説教は残酷、というのはたしかにそうかもしれません。ご提案にある「処刑の迫った虜囚への説法」のほうが現実的かつ慈悲を感じさせる効果はありそうです。
死にゆく兵たちは幻覚を見て(実際に見ているのか、主人公がそう解釈しているのかは曖昧なところですが)、意識混濁状態で主人公の言葉を受け取る、という様子を描きたかったのですが、いかんせん文章上では(語り手である主人公の補完により)発言が整形されているので、死に際にも拘らずハキハキと話しているように見えてしまいます。このあたりの表現には、もっと工夫が必要ですね。
目下のところは、どこかに「実際には息も絶え絶え、声も声にならない言葉を、主人公が必死に耳を傾け理解しようと努力した」ことが伝えられる文を追加してみようと思います。
誤字脱字のご指摘、ありがとうございます。意図しない誤字がありましたので、修正いたします。
客観的なご意見、大変参考になりました。演出として通用するラインというものを、しっかりと吟味し、見極めていきたいと思います。
丁寧な批評、感想、とても励みになります。なかなか読まれない作品ですが、このようなコメントやレビューをいただけると、勇気が湧いてまいります。
この度は、本当にありがとうございました。頂戴したお言葉を、今後の作品にも活かしていきたいと思います。