猫が語る事…

十二単と野生児…②

さてさて…なぜ、物書きが爺さん和尚の寺に来る事になって、座禅を組まされているのか

母さんの傍らで語るにゃん

まずは野生児の弟が、十二単のお姉さんと出会ったのかを話そう

とにかく、野生児の弟はガールズに囲まれた暮らしをしていた…こだわりはなく、デートの日々のキャンパスライフ…学業は何処かお留守気味だった野生児である

ガールズの中にオカルト好きで探検好きの娘がいた

結構、野生児の弟の好みときている

前期試験の期間に…一応、野生児は留年はしていない…その娘とデートする事になった

物書き曰く…いつか痛い思いをするな

なぁ大福、連休は何処かでのんびりと過ごそうな

さて、野生児は…オカルト好きの娘をＹさんとしょう…Ｙさんからドライブをしょうと誘われ、車をＹさんの家へと走らせた

脳天気な母さんは野生児に…幸せそうね…

とからかっていた

Ｙさんは野生児を何処かの山奥にある廃屋敷に案内したそうだ

野生児にしてみれば、自宅がお化け屋敷だから…

なんとかなると高をくくったのだろう

その屋敷は古風な日本家屋で広大なものだった

こんな山奥に…

野生児は辺りを見渡した

ここは名主の屋敷よ

そして、今は廃村の奥にいるわ

野生児は足場の悪い道を走り…暮れなずむ空だった為に辺りがよくわからなかった中を廃屋敷まで来ていた

……なんかまずくないか?

なぁ、帰ろうか?暗くなったら、危ないからさ

すぐ終わるわ…行きましょう

Ｙさんは野生児の腕を掴むと屋敷の中に入って行った…ワイルドボーイの野生児はゾクリと身震いしたそうだにゃん

入り口の近くに大広間があり、奥の床の間に掛けられた掛け軸の前に二人は立った

この掛け軸には曰くがあるの…

曰く…って…

大禍時になると、屋敷の中を盤若の女が彷徨う…昔に大切な人と引き裂かれて、この屋敷の主の正室になったけど…引き裂かれた人が継娘の婿になったそうよ

彼女は悲しみとやるせなさに苛まれて、夫と継娘を憎んで…盤若になって呪ったそうよ

継娘の夫…彼女の元カレは家族を守る為に、盤若に成り果てた元カノを切り捨てて…自身も命をたったと言われているのよ

この屋敷の主と継娘は助かったけど…家は衰退して荒れ果てたと言われているの

そうか…うっ寒い

この掛け軸に描かれているのは…盤若になった正室の女性かな?

きれいな女性なのに…

Ｙさんは時計を見て…部屋を見渡した

行きましょう、野生児くん

彷徨う彼女を見ると呪われると言われているのよ

二人は足早に廃屋敷を後にして、野生児が帰宅したのは0時の少し前であった

そして…幽霊が出た事件が起きたのにゃん

おかげで寝る時は、物書きは野生児と部屋をシェアする事になり、私は頻発に野生児の部屋に入っては

十二単の人を外に追い払う…このところ、時間を問わずにやって来るけどにゃん

そんな最中、Ｙさんとあちこちと出かける事が増えた野生児…前期試験が終わり、夏休みに入ってしばらくして別れたらしいにゃん

なんでもＹさんに本命の彼氏がいたらしく…

野生児くん、ごめんなさいm(_ _)m

私ね…彼氏が留学するから、ついていく事に決めたの…楽しかった。ありがとう

って遊園地で言われたらしいにゃん…

野生児の凹みようは、半端なくてにゃん

十二単の人が出る自分の部屋に閉じこもったにゃん

兄貴…大福を連れて、爺ちゃんの寺に行きたい

って物書きに話したにゃん

だから、今、母さんと過ごしているんにゃん