5.根回しがお上手ですね⑤
それで、自分の割り当ての
腹いせのつもりだったのに、そんな私を見て
もぉ、何なのよ、調子狂っちゃうでしょ!?
そればかりか――。
「
ってうっとりつぶやくとかっ。反則じゃありませんっ!?
ドキドキして思わずお茶、一気に煽っちゃったじゃないですかっ!
あーん、
それがショックで、じんわり目尻に涙を浮かべて
そうしてポツンと問いかけた。
「私の何がそんなに気に入ったって言うんですか……」
考えてみたら、私の名前を呼びかけてきた直後から……だよね?
〝初めまして。おや、お腹がすいてるみたいだね?
じゃあ俺が美味しいもの食べさせてあげよう。
美味いと思ったならとりあえず結婚しようか?〟
に近いものを感じてしまったんだけど、ずっと放置してたくせに、いきなり距離削りすぎじゃないですかっ?
あまりに他が気になりすぎて、私、彼の〝あの時も〟という不自然な付け加えに反応できていなかった。
後で考えたら、まさにそれこそが
***
自分で言うのも何だけど、私、そんな人様から一目惚れしていただけるような恵まれた容姿はしていないと思うの。
性格だってこの通りガサツで食いしん坊だし、とてもじゃないけど
なのに――。
「第一は顔だな。俺は自分自身が思っているより、ずっと強くキミの見た目が気に入っているらしい」
え!?
嘘でしょう!?
人の好みは十人十色って言うけれど、
「あとは……やっぱりその食いっぷりだな。考えてみればあの時もそうだったが、何でも美味そうに食べてくれるし、何を食わせても幸せそうな顔をする。見ていて実に
って……うそ! そこ!? そこなの!?
だからですかっ? 次々に美味しいもので私を誘惑してくるのはっ!
でも……。
ということは……安心して美味しい思いをしてもいいってこと!?
「わーい!」と心の中で
ダメだっ。
「たっ、食べるの……やめ……」
――ておきます。
そっと、今いただいたばかりの
結果、言葉尻が濁って最後まで言えなかったの。
なのに。
「ん? さすがにお腹一杯になってしまったかな?」
「あっ、待っ……」
思わず
「ごめ、なさっ」
慌てて手を引っ込めようとしたら、その手の上に
「あ、あの……」
何この「親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて、孫亀の背中にひい孫亀乗せて、親亀こけたら、子亀孫亀ひい孫亀こけた」みたいな状態。
あ、私、左手も乗せないとダメ?
ん? ん?
ドキドキしながら
と、
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