スペシャルサンクスSS★ ユウと壱嵩(苦労人タッグ)
「あー……しまったな。充電ケーブルを忘れてしまった」
今日は久々に外で仕事をしようとタブレットを持ってきたところまでは良かったのだが、充電ケーブルを忘れてしまったのだ。
ユウは頭を抱えてどうするか悩んだ。
近くのコンビニで買うか、もしくは断念して家に帰るか。
だが、家に帰ったら子供達が「遊んで遊んで」とせがんでくるに違いない。
目に入れても痛くない愛娘達。ねだられたら応えてしまう自分を否定できない。買ったアイスコーヒーを啜りながら唸っていると、隣の席の男性が声を掛けてきた。
「あの、もしかしてお困りですか? 良かったら俺のケーブル、お貸ししましょうか?」
「え?」
こんな状況で手を差し伸べてくれる優しい人がいるなんてと神に感謝しながら顔を上げると、芸能人並に整った顔が飛び込んできて二重に驚いてしまった。
(し、心臓が止まるかと思った。ビックリしたー……こんな美形がいるなんて)
ユウ自身もそれなりにモテてはきたが、比べものにならないイケメンに声が出なかった。
カッコいい上に性格までいいなんて、何だこの男は。
「充電が切れそうなんじゃないんですか? 俺、コーヒー飲んで時間を潰しているだけなんで、その間でよかったらお貸ししますよ」
「え、あ……それじゃ、お言葉に甘えて」
そう言って彼は椅子に掛けなおして本を読み始めた。
世の中、こんな出来た青年もいるのか。
まだ二十代前半だろうと思うのだが、男の自分でも一目惚れしそうだと思いにふけていた。
——シウが一緒じゃなくて良かった。
彼女の浮気を疑うわけではないが、ここまでイケメンが存在すると、心配で気が気じゃない。
だが、せっかくの好意を無碍にするわけにはいかない。ユウは充電ケーブルを借りて、仕事に取り掛かった。
「ふぅ、何とか見積もりとパースが完成したかな」
ようやく仕事の目処がついたユウは、充電ケーブルを貸してくれた青年に声をかけてお礼を告げた。
「すみません、長々とお借りしてしまって」
「ん、あぁ。もう良かったんですか? 全然問題ないですよ」
微笑む表情まで様になる。
美形はシウで見慣れていたと思っていたが、まだまさ世界は広いんだと痛感した。
「良かったらお礼をしたいんですが、甘いのとかはお好きですか?」
大したことは出来ないが、せめて店のケーキを差し上げたいと思ったが、案の定拒まれてしまった。
「いいですよ、そんなの。困った時はお互い様ですから」
「いやいや、せめてものお礼に」
「お気遣いなく。そろそろ連れが来るので」
「それならその方に是非! 何を飲まれますか?」
一進一退の攻防を続けていると、青年と待ち合わせをしていただろう女性が姿を見せた。
イケメンの彼にお似合いの可愛らしい女性だった。
クール系なシウとは違った、おっとりした雰囲気を纏った美人だった。
「あれ、壱嵩さん。どうしたの? 知り合い?」
「明日花さん、お疲れ様。いや、ちょっとね」
どうやら彼女が仕事を終えるまでの間、待っていたようだ。二人の間には優しい雰囲気が漂っていて、見ていて微笑ましくなってきた。
子育てに明け暮れて、久しいこと忘れていた感情だ。
「それじゃ、すいません。お先に失礼します」
壱嵩さんと呼ばれた青年は、ペコっと頭を下げてそのまま立ち去ってしまった。
結局、何のお礼もできないまま……。
「——僕も早く仕事を終わらせて、久しぶりにシウをデートに誘おうかな」
たまには子供達をイコさんに預けてもバチは当たらないだろう。仲睦まじい二人を見ながら、初心を取り戻すユウであった。
———……★
お読み頂き、ありがとうございます!
NTRされた彼女。と明日、その花でコラボさせてみました✨
私が執筆する登場人物、美形率が高いですが、ユウと壱嵩では壱嵩の方がイケメン設定です(笑)
明日花とシウはシウの方が美形設定かな。
次は明日花とシウを会わせてみたいなと思っています^ ^
(次は明日、その花の方で番外執筆しようかな?)
そういえば、遅くなりましたが……
NTRされた彼女、予選通過ありがとうございます! そして祝★700突破!(と言ったら減ってるかもしれないけれど💦笑)PVは……もう少しかかりそうですが40万PV間近に迫ってます✨
感謝しかないですね、本当にありがとうございます!
そしてよろしければ連載中のコチラもよろしくお願い致します^ ^
明日、その花はどんな彩で咲くのだろう ——セフレ、浮気、NTR、全部まとめて捨てた日から運命が変わりました https://kakuyomu.jp/works/16818093072806955703/episodes/16818093073806397841
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