おまけ・・・き、気まずいんだけど⁉︎
蒼空兄にキスされてからというもの、妙に彼を意識してしまってギクシャクした態度をとってしまった。せっかく皆で集まっているのに、この有様だ。
「ねぇ、想愛ちゃん。だいじょうぶ? 顔が真っ赤っかだけど具合悪いの?」
「さ、さくらちゃん! 大丈夫だよ、何でもない!」
うん、大丈夫! そう、あれは事故みたいなもの!
その証拠に蒼空兄も何も言ってこないし、いつもと変わらない態度なのだ。もし私のことをす、す、す………っ!
「わぁぁぁぁっ! ダメ、やっぱり私にはキャパオーバーだよ! もう何であんなことをするのー‼︎」
何をしていても蒼空兄のことばかり考えてしまう。そんな想愛のことを皆が心配してくれた。
「もしかして想愛ちゃんも好きな人ができた? それで変なの?」
「す、好きな人? そそそそそそそんなわけないじゃん! わ、私に好きな人なんて、そんな!」
「やっぱり変ですよ、想愛さん。僕達で良かったら相談に乗りますから話してください!」
年下のさくらちゃんと堅護くんの方がしっかりしてて……情けないなぁ、私って。
けれど、これ以上自分で考えても埒が開かないと判断し、思い切って相談した。するといつの間にか同席していたママや常連のお客さん達も私の話に耳を傾けてくれていた。
「あらぁ、ソアソア。それはもう恋よ! 寝ても覚めても夢の中でもその人のことを思って濡れちゃうなんて、恋以外にありえないわ! もうママン、ソアソワの甘酸っぱい話を聞くだけで濡れ濡れクリスティーヌ!」
「うん、私もそれは恋に間違いないと思ってるよ。想愛ちゃんも初めての感情で不安かもしれないけど大丈夫。想愛ちゃんのパパとママも色々悩んで、やっと今の幸せを掴んだんだから」
「そうそう、ちゃんと素直にならないと想愛ちゃんの大事なバアバ、イコさんと同じように悲しい思いをしてしまう可能性もあるから、今直ぐにでも素直にならないと!」
「うんうん、想愛ちゃん達が幸せにならないと、この人のスマホが粉々になっちゃうから。このスマホって何台目でしたっけ? 四台目?」
「どこぞの最推しと輩のせいで五台目もメキメキッ!」
「私達もずっと想愛ちゃん達の成長を見ていたからねー。子供みたいな感覚なんだよ? それで誰? 想愛ちゃんが好きな人は誰? ぜひ相談して? もう君達のお母さん達のような修羅場は勘弁して欲しいからね」
「私も是非、応援させて欲しいです。ちゃんと想愛ちゃんや未呼ちゃん達の恋を見届けますので、何でも相談してくださいね!」
み、みんな優しい!
思わず全部白状してしまおうかなって思うほどの優しさに涙が溢れそうだった。
「それで想愛ちゃん! 想愛ちゃんは誰が好きなの?」
「う、うん……実は……」
そう口を開いたと同時にカランカランとドアの開く鐘の音が響いて、蒼空兄が入ってきた。
「あれ、どうしたんッスか、こんなに集まって。何かあったんですか?」
「実は今、想愛ちゃんの恋愛相談を」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ! 言わないで、絶対に言わないで! もう相談は終わり! 皆、解散! かいさーん‼︎」
「何だよ、想愛。そんなにバタバタして。俺も参加させろって、なぁ?」
「ダメダメ! 絶対にダメェ!」
そんな慌てる想愛を見て、皆はほっこりしながら全てを悟った。この二人ならきっと大丈夫だろうと……。
——とはいえ、この世界の
「想愛ちゃん、君の未来に幸あれ」
波乱万丈を見守っていた皆は、そう願わずにいられなかった。
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