第103話 ユウ×シウ 【White Xmas

 12月25日、初めてシウと過ごすクリスマス。正直に言うとユウにとって非常にハードルを上げられたイベントだった。


「この日は僕の両親の命日だからゆっくり過ごそうと言われていたけど……」


 ぶっちゃけ今までユウはシウに貢ぎすぎていた。最初のデート、指輪、温泉旅行。年上としての威厳を守る為に身の丈に合わないプランばかり立てていたのだ。

 とてもじゃないが、あんなデートばかりをしていたらお金が足りない。破産するのが目に見えている。


 だがきっとシウは期待しているに違いない。


『付き合って初めてのクリスマス、ユウはどんなサプライズを用意してくれるのかな?』


 ———無理だ……! ここでハードルを上げてしまえば大変な未来が待っている!


 しかしシウの喜ぶ顔は見たい!

 どうすればいいんだ、このジレンマ! 


 幸い夜は家で一緒にご飯を作ることになったが、逆にご飯でサプライズができなくなったのだ。いくら人気店のクリスマスケーキを予約をしたからって、それだけで済ませていいものか非常に悩む。

 こんなことなら婚約指輪を先に渡さなければよかった。そもそもペアリングと一緒に渡すなんてアホがすることだったんだ。きっと要領のいいスマートな男なら、こんなヘマをしないだろう。


 シウ、申し訳ない……君の恋人はこんなポンコツな男なんだ。こんな自分がシウみたいな可愛い彼女と付き合っていいのだろうか?


「ユウ、早くピザを作ろうよ」

「はい、ゴメンナサイ!」


 急に声を掛けられ、的違いな返事をしてしまった。いきなりの謝罪にシウも「え?」と首を傾げている。


「変なユウ。ねぇ、ピザなんだけど、一つはチーズたっぷりにしたいんだよね」


 いつもはストレートにしている髪を珍しく両サイドを三つ編みに結って、輪っかの形にして可愛い。言うなら白ニットにエプロン姿も唆られるし、無邪気にピザを作っている様子も堪らない。

 すっかり歯止めが効かなくなった性欲に自分でも嫌気がさしていた。シウには程々にと制限しているのに情けない。


「ん、ユウ? 何を見てるの?」


 シウの言葉に思いっきり顔を背けた。

 まさか胸元おっぱいを見ていたなんて口が裂けても言えない。


『両親の命日に何を考えているんだ、僕は……!』


 そんな自己嫌悪に陥っているユウを背後から抱き締めて、シウは心配そうに覗き込んでいた。

 マシュマロのように白い肌に淡いピンクのアイシャドウとチーク。ぷるっとした唇は、吸い付きたくなるほど魅力的だ。


「……ねぇ、ご飯の前に……先にプレゼント交換しちゃう?」

「え?」


 そう言ってシウは自室に戻って、サンタの格好に着替えて現れた。頭には白いウサギのカチューシャ、服は胸の谷間がくっきりと見えるサンタワンピース。裾から見えるガーターが更に色気を引き立てる。

 想像を遥かに上回るエロサンタの登場にユウのキャパはオーバーした。


「し、シウ! その格好は⁉︎」

「———和佳子からのプレゼント。去年着てたコプスレだって。私もユウに喜んでもらいたくて……」


 恥じらいながらも、しっかりと上目でアピールしてあざとい!

 もしかしてプレゼントは私……てパターンだろうか?


 明らかに誘っている表情で、シウは唇に指を当てながらユウにねだってきた。


「ねぇ、ユウ。小さい頃、私がサンタさんに何をお願いしたか知ってる?」

「え、プレゼントでしょ? 欲しかったオモチャじゃないの?」

「あのね……私、もう幼稚園の時にはサンタがいないって気付いていたんだよ? だって大きなウサギのぬいぐるみが欲しいってお願いしたのに、絵本が置かれていたんだもん。お母さんも雑すぎるよね」


 イコさん……せめて小学生に上がる前までは夢を見せてあげようと嘆いた。だがそうなると8歳の時のシウは何をサンタに頼んだんだろう?


「私がお願いしたのは……ユウのお嫁さんにしてください、だよ♡」


 シウはユウの身体にソファーに座らせ、そのまま跨って抱き付いた。さらに言うなら「大好きな人ユウの子供が欲しい」と耳元で囁いて伝えてきた。吐息と共にゾクゾクとした感情が込み上がった。


「ねぇ、ユウサンタさん♡ 私が欲しいものをプレゼントしてくれる?」

「そ、それはどちらを……?」


 ぷっくりした唇から舌を覗かせて「どっちも♡」とねだって、そのまま唇を塞いでいた。



 ・・・・・・・・★


「お楽しみは、まだまだこれから……♡」


 続いたほうがいい? でも残念、これから先はR18の世界……w


 ちなみにシウのプレゼントの内容はいつもコメを下さるD様から頂いたネタです✨

ありがとうございます!


 次の更新は6時45分になります。

 しばらくは甘い内容が続きますが、よろしくお願い致します><

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る