第83話 焦ったい二人 【R−15指定】

 指先からゆっくりと入ると、肌を温泉特有の染み渡る温かみが伝わってきた。思わず気の抜けた声が漏れる。極楽だ。

 とは言え、大浴場の時とは違ってすぐ近くには想いを寄せている彼女がいるのだ。あのタオルを剥ぎ取ってしまえば生まれたままのシウの姿が———……。


 落ち着くために入ったはずなのに全然気持ちは安まらない。

 そもそもここまできたら、ヤるしかない。いや、ヤリたい。自分だって男だ、人参をぶら下げられたまま無関心でいられるほど駄馬ではないのだ。


「……シウ、寒くない?」

「う、うん。大丈夫」


 恥じらうように顔を真っ赤に染めて俯くシウが声を掛けた瞬間、強張るように震えたのが分かった。

 緊張しているのか、まるで捕食動物に怯える小動物のようで可愛い。ユウの中で何かが疼き、そのまま檜の浴槽の木枠に手を押し立てて、両腕でシウを挟み込んだ。


「あ、ユウ……?」

「可愛いね、シウ。好きだよ」


 普段は強気なクセに、いざ攻められると恥じらうシウが可愛くて仕方なかった。温泉に浸かって火照り出したシウの首筋に唇と落として、そのまま強めに吸い付いた。痛みに耐えるように悶える声が溢れる。続きて上げられた髪のうなじに舌を添えて、優しく頭を撫でた。


「ん、あァ……ンっ、ダメだよ、ユウ……。首の裏、私弱いのに」

「うん、知ってる。だから遊んでるんだよ?」


 ビクっと肩を揺らすシウの反応を楽しみながら、ゆっくりと抱き寄せた。厚手のバスタオルだがお湯に浸かっているためピタリと肌に吸い付いて、目の保養ではあるのだが、あるのだが……やっぱり邪魔だよな?


「———このタオル、とってもいい?」

「え、それは……」

「ダメ? もっとシウの姿をちゃんと見たいんだけど」


 困ったように恥じらうシウを見ながら、頬に唇を押し当て、そのまま口角へと移動しながらチュッ、チュと音を立てていった。


「そ、それじゃユウが、ユウが先にとって?」

「え?」

「ユウが先にタオルを取ったら、いいよ?」


 この最後の砦である腰の装備品を?

 元々防御力1の心許ないモノだったが、外したら暴走するだけだぞ? けど懇願にも近い眼差しを受けて、とても拒否できる状況ではなかった。


「〜〜〜ッ! 分かった、取るから!」


 もう、どうにでもなれ! 結び目を解き、自ら興奮した状況をシウに晒せてしまった。視線が集中しているのが分かる。興味津々なのは分かるけど、そんな大したモノじゃないので凝視しないでください……!


「わっ、あ……ッ、お、男の人って、いつもこんな」

「いや、ずっとこんな状態ってわけじゃなくて、その、興奮したり、朝とかそういう時に……」


 って、何故こんな羞恥心まみれな仕打ちを受けなければならないのだ?

 でも情けないのは、そんな状況にすら興奮を覚えている自分だ。とんだ変態だ、見られて興奮するなんて。


「あぁ、だから朝あんなに大きくなってたんだね。男の人って大変だね」

「いや、いつの間に? シウって僕よりも遅く起きてるよね? ってか、どうやって確認してた?」

「え、その……ちょーっと早起きして、少し……チラッと触ったり」

「触ったらダメだろう、このエロ娘!」


 知らなかった事実に思わず叫んでしまった。おいおい、そんな知らない間に美味しい思いをしていたなんて———じゃない。

 さすがのシウも少しバツの悪そうな顔をして、参ったな……そんな顔をされると弱いんだよ。


「知らない間に触られるのは良い気がしないけど、今は……いいよ。僕もシウの、全部見るから」

「ぜ、全部……?」

「だってさ、これからコレがシウの中に入るんだから……ちゃんと見ていないと怖くなくない?」


 今日一番に顔を真っ赤に染め上げて、アワワと取り乱すように挙動不審になっていった。

 ———というより、自分も何をしているのだろう? お粗末なものを見せて、何を言っているんだろうと情けなくなった。


 もう、どうにでもなれ!

 ユウはシウの身体を抱え込むと、勢いよく風呂から上がった。「ひゃあ!」って声をあげるシウにお構いなく、濡れたままベッドの手前へと運んだ。


「このタオルはベッドが濡れるから取らないとな」


 問答無用に剥ぎ取って、一糸纏わぬ露わな姿を晒させた。慌てたシウは新しいバスタオルで必死に隠していたが、もう今更だ。そもそも綺麗な身体なんだから隠す必要なんてない。でも風邪を引くといけないから、しっかり水滴は拭き取った方がいいだろう。頭からタオルを被せ、ワシャワシャと荒々しく拭き取り、次第に肩、腕、背中と彼女の身体のラインに沿って拭き取った。


「わ、私も拭く」


 そう言って未使用のタオルを手に取ってユウの背中へと手を回しがけど、しがみつくだけで全く手が動かない。短い息遣いが肌に当たる。もう、いいだろう。ユウもシウも互いが欲しくて堪らないんだ。


「シウ、こっち向いて」


 困ったように眉を八の字にさせながら、半開きになったシウの唇に吸い付くように重ね、そのまま口内を堪能した。ゆっくりと脱力する彼女の身体を支えて、ベッドへと運んで押し倒すような形で見つめ合った。


「……ユウ、好き」

「うん、知ってる。僕もシウが好きだよ」


 こうして二人は初めて———繋がった。


 ・・・・・・・・★


「そしてお約束の……【自主規制】」


 あー……書き切った(笑)

 いや、書いてないけどさ!

 まわりの子ばかりパコパコしててシウだけしてないのは可哀想だし、この二人婚約し合ってるし、これ以上の我慢は可哀想なのでw


 きっと熱い夜をお過ごしなんでしょう(笑)


 次回の更新は6時45分、続きが気になる方はフォローをお願い致します。

 けれどこの情事の続きではないのでご了承くださいm(_ _)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る