閑話 温泉編
第79話 よし、温泉に行こう! ※ 温泉編は全体的にR−15指定です
こうして怒涛の日々が過ぎ去り、ユウもシウも力尽きたようにベッドに寝転んでいた。
「……何だか色々と大変過ぎて、もう疲れた」
「ちょっと一息ついたいよね」
今週の土日は特にイベントもないし、金曜の夜から一泊くらい時間が取れるのでは……そう思って近場の温泉宿を探して、即座に予約をした。
「シウ、今週の金曜日に温泉に行こう」
「———え?」
「疲れ果てたから癒しを求めて行こう! もう宿も予約した。久々に贅沢し尽くそう!」
そうして週末、学校が終わったシウを迎えに行ってそのまま隣の県の温泉宿にまで車を走らせた。
予め用意していたコーヒーとカフェオレを飲みながら、音楽を流しながら旅の道中を楽しんでいた。
「こんなデート初めてだね。急にどうしたの?」
「え、いや……。ここ数ヶ月、怒涛の日々だったし、こうでもしないと休みも取れないし。たまにはいいかなと思って」
助手席には嬉しそうに笑みを浮かべるシウ。最近お気に入りの音楽を口ずさみながら、ご機嫌に外を眺めていた。
「ねぇ、ユウは『紫苑』って曲を知ってる? 最近よく聞いているんだけど、すごく私達みたいな曲だなって」
「ん、いや知らないな。最近有名になった人だったよね?」
「そうだよ。すごく好き……」
そう言って箱からチョコを取り出して、ユウの口に入れ込んだ。入れ終えた後、少しだけ唇の感触を堪能してから、指についたチョコを自分で舐めて。その仕草は艶やかでエロかった。
「非現実的な状況って、羽目を外すにはもってこいだよね? とうとう私達も一線超えちゃう?」
「超えません。今回は純粋に温泉を楽しむんだって」
とはいえ、ユウも半ば楽しみにしていた。
しっかりと内風呂のある部屋を予約して、これで下心がないほうが可笑しいと言われるに違いない。
『でも、どうせならムードのある場所でと思っていたから、今回の旅行でっていうのもアリ……? いや、でも』
シウもあと数ヶ月で17歳になる。せめてあと一年とは思いつつ、ずっと一緒にいて耐えることができるのかと聞かれたら、答えは厳しかった。
そもそもこんな可愛い子に好きって言われて、毎日キスしてハグして、同じベッドで寝て……! 我慢できるか、バカじゃねーのと自分を責めていた。
「ユウ、大好き♡」
———っ、もう本当に勘弁してほしい……!
好きって言われるのは嬉しいけれど、これ以上の好意は拷問である。
あまりにも日々の誘惑が凄すぎる為、ダメだと思いつつカバンには薬局で購入していた避妊具を入れている始末である。結局、最後には理性が勝って途中でやめてしまいそうだが、備えておくのは悪いことではないだろう。
「あのね、ユウ。今日はとっておきの下着を用意したんだよ? ユウにだけ特別に見せてあげるね……?」
「と、とっておきって……」
「それは見てからのお楽しみ♡ ちなみに色は淡い桃色」
今更下着で興奮する仲でもないと思いつつ、自分の為に色々と考えてくれていたことが嬉しかった。
どんどん山沿いの道に出て、深緑が増していった。川のせせらぎ、木々の葉のざわめく音。そんな奥にひっそりと佇んでいたのが今回二人が泊まる隠れ家の宿だった。
その宿の受付までは広く水が張られており、橋を渡るように路が続いていた。所々に置かれたライトが幻想的で趣のある雰囲気を作り上げている。
これは中々———……。
中に入ると女将らしき着物の女性が出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、ご要約の際にお送りしましたバーコードを受付に掲げてお進みください」
ユウとシウは手を繋いで、誘われるように奥へと進んだ。
・・・・・・・・・★
「ここでは日頃の疲れを忘れて、ゆったりとお過ごしください」
作中に登場する『紫苑』って曲はSaucy Dogの紫苑で……その作品を書くときに常に流している曲です。歌詞がとても刺さって、ユウシウみたいだなと思いながら執筆していました。
どこまで書いていいのか分からなかったので曲名だけの紹介になりましたが、もし引っ掛かるようなら削除訂正しますので、その点はご了承お願いいたします><
※ 念の為に調べたら曲名と歌手名までは大丈夫らしいですので、皆様もお聞きになってください✨
そして今回から更新を一日一回に減らします>< 申し訳ございません!
個人的にあと描き逃しているのはユウの過去編とラスト二人の結婚式なのですが(シェアハウスはもう書く気力が……w)
今後はまったり進んでいくと思うので、読者の方々もよろしくお願いいたしますm(_ _)m✨
更新時間は6時45分……続きが気になる方はフォローをよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます