第62話 久しぶりの二人きり 【R−15指定】
「すいません、今日は俺ん家に連れて帰りますんで! 先輩、このお礼はまた今度」
頑なに一人で育てると言い切った荒牧を水城が連れて帰り、やっと父親の自覚が芽生え出した瀬戸くんも生きた屍のような状態で家へと帰ることになった。
「瀬戸くん、本当に大丈夫?」
「アハ、ハハハ……大丈夫でーす」
……大丈夫じゃないな。こんな彼を一人で帰らせるのは心配だったが、一人になりたいと懇願した彼の気持ちを尊重して、そのまま見送ってサヨナラをした。
静まり返った部屋を見て、妙な寂しさが込み上がってきた。頭が痛くなるほどの問題だったが、解放されるとそれはそれで気になってしまうものだなとユウも苦笑した。
「荒牧さん、どんな心境の変化だろうね?」
「んー……けどね、僕らが何を言ったところで最終的な決断をするのは本人だし、無責任なことは言えないから、この辺りが引き際だったんだろうね」
産むにしろ、堕ろすにしろ、その選択を委ねられたところで他人のユウ達には責任は取れない。過度な正義感を差し伸べたところで、中傷を受けるのはいつだって過度なお節介を焼いた人間なのだ。
「シウもお腹空いただろう? 今日はもう軽く作ろうか? 鮭を買っていたから炙ってお茶漬けにしようかな。枝豆を茹でて久々に晩酌するか」
冷蔵庫の中を確認していると急に背後からシウが抱きつき、引き寄せられた感触と温もりに息を飲み込んだ。
しかもいつものように
「……シウ? どうした?」
「———なんで皆、あんなに考えが甘いんだろう。当たり前のことが羨ましいよ……」
その言葉に、ユウはいつも一人で本を読んでいた幼少期の頃のシウを思い出していた。彼女はワガママを言うことなく、ずっと静かに一人遊びをしているような子だった。祖母の晴恵さんやイコさんに甘えることもなく、いわゆる聞き分けのいいお利口な子だった。
だけどそれはやっぱり強がりで、色々と思うところがあったのだろうと気付き、胸が痛くなった。
「当たり前って、例えばどういうこと?」
「え、あ……その」
「いいよ、何でも言ってよ。僕はさ、今はシウにとって家族じゃない……っていうか、彼氏って立場で少し遠いかもしれないけど。でも行く行くはシウと結婚して、家族になっていきたいと思ってるんだ。シウが小さい頃に与えられなかったものを、僕が一生かけてあげられたらいいなって思っているよ」
背後から回されたシウの手に自身の手を重ねて置いて、そのまま
「それじゃ……今すぐユウが欲しいって言ったら、私とエッチをしてくれる?」
「え? シウはしたいの?」
あれだけ散々大事にしたいと伝えてきた上に、瀬戸くん達の騒動の後だ。軽々しい発言だとは思えないが、理由次第ではユウが折れるのもやむ得ないと考えていた。
正面から向かい合うように姿勢を直したユウは、彼女の顔を覗き込むように腰を屈めた。軽く唇を噛み締めて、駄々をこねてムキになった子供のような、あどけない表情だ。
「………一時的な感情に流されて決意を曲げるつもりはなかったんだけどな。シウは、本当に僕でいいの?」
本音を言うと、シウの気持ちはとても嬉しい。でも彼女はまだ16年しか生きていなくて、これからもまだ色んな出逢いが待っていると思う。
「私はユウがいい。ユウじゃないとダメだよ……!」
シウの言葉は、ユウの中にも空いた穴も埋める温かい言葉だった。自分自身でも気付いていなかった大きな傷を互いに埋め合い、舐め合い、癒し合い———……縋るように求め合っていた。
今度はユウの方からシウの頬に手を添え、そのまま唇と重ねた。この瞬間はありのままの自分を受け入れてもらえて、何とも言い難い幸福感に包まれる。
何度も繰り返したキスに甘い吐息を溢すシウを抱き上げ、そのままソファに押し倒した。そしてネクタイを緩め、そのままシャツのボタンを外して上半身を纏っていた服を脱ぎ捨てた。
「え、ユウ……?」
あまりにも大胆な行動に、シウも驚いて目を大きくしてたが、そんなこともお構いなしにシウの首元に顔を埋めた。彼女の柔らかい肌を甘噛みして痛みと紅を残す。ゆっくりと焦らすように、彼女の肌に指を沈める。切なく耐える吐息が少しずつ荒々しくなる。
「同意の上の行為ってことで、今日はいつもより深く触れるよ?」
「え? 待って、え?」
すでに涙目になっているシウの身体を起こして背後から抱き締めて、再び唇を塞いだ。今度は舌を絡ませて、深く卑猥な音を立てながら。
その一方で服の中に手を忍ばせ、ゆっくりと胸元をほぐし始めた。形のいい胸が指の間から溢れるたびに、良い声で啼いてユウの気持ちを急かさせた。
「ん……っ、待って……? そんなされたら私」
「恐い? やめる?」
「や、やめたく……ない」
キスを続けながら両手で胸を弄って。敏感な部分を摘み、二本の指で擦り付けると身体が大きく揺れて必死に押し殺して耐えていた。
「可愛い、シウ……。もっと甘えていいよ」
「だ、め……っ、私ばかりそんな」
どんどん上がる体温を肌で感じながら、次第に片方の手を腹部へと移し、そしてどんどん下へと動かした。足の付け根に手を置いて、閉じた太ももに指を入れ込む。反射的に込められた力を無視して、そのまま熱のこもった誰も触れたことのない場所に忍ばせた。
「っ、やン……っ、待って?」
「ん? 僕が欲しいんだろう? 痛くならないように、ゆっくりほぐしてあげるから」
そう言って、ユウは更に深くキスを交わした。
・・・・・・・・・★
水城「———ハッ、何だ俺のエロレーダーが……! ビンビン反応する!」
前半後半2部戦、あれ? 何だかユウの様子がいつとも違うぞ? 行くのか? 行くのか?笑
一応、12時05分更新も予定してます。
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