第19話 今度、一緒に見たい。 え、アレを?

「ただいまー……って、お母さん、やっぱり帰ってないみたいだね」


 静まり返った真っ暗な部屋を見て、シウは寂しそうに呟いた。やっぱり16歳になっても母親は恋しいのもなのだろうか?


「仕事が忙しいみたいだね。シウの為に働いてるんだから許してあげなよ」

「怒ってんじゃないよ? 二人きりだなー……って思っただけ」


 寝室、リビング、浴室からトイレまで。念入りに全ての部屋を確認した上でニヤッと笑った彼女に身震いを感じた。


 いやいやいや、え? もしかして狙われているのか? あれだけ色んなことがあったのに、まだ何かをするつもりなのか?


「だって受け止めてくれるって約束してくれたし。エッチはねだらないから……ね?」

「待って、いや……今日はもう疲れたから、休もうよ」

「それじゃ、1キス1ハグ」


 それは既に済ませていると言いかけたが、諦めて待ち構えているシウを抱き締めた。


 この位なら、親子でも許されるかな……。

 でも問題はこの先、瞳を潤ませてとろけた表情で見つめるシウの顔が近付いて、そのまま唇を重ねて、ゆっくりと舌を絡ませてきた。

 ねっとりと絡みつく快感に抗えない。身体を押し当てて、脳も全部、溶けてしまいそうだ。


 こんなキス、どこで覚えたんだろう。全く悪い子だ。


「ユウのことを思ってずっと練習してた。指に舌を這わせたり、クッションにキスしたり」


 可愛過ぎか! 健気にも程があるだろう……!

 色んなしがらみさえなければ、抱き締めて隅々まで愛でてあげたいのだが、倫理的に許されないので歯痒いさしか残らなかった。


「ねぇ、今度お願いがあるんだけど……聞いてくれる?」

「え、何? どこか遊びに行きたいとか?」

「うん……あのね、映画を一緒に見たい。カップルシートがスゴく良くて、可愛いからおすすめって友達が言ってたの」


 カップルシートは勇気がいるけど、シウが行きたいなら仕方ない。今度、彼女が好きそうな映画をチェックしてみよう。


「それと、この前ユウが見ていたアレ……一緒に見たい」


 ———アレ? えー……何のことだろう?


「裸になった女子◯生が、男の人のアレを咥えてた……」

「無理、それは無理! そもそもアレは女性が見るようなもんじゃないから!」

「えー……? 同級生も見てるよ? 今時見てない高校生なんていないし」

「あれ、アレって18歳未満は閲覧禁止じゃ?」

「細かいとこは気にしないで。ユウが見せてくれないなら、自分で借りに行こうかなー?」


 あんな性に飢えた猛獣の巣窟に大事な娘シウを行かせるわけにはいかない。けど愛蔵のコレクションを人に見せるなんて、どんな拷問だよ……。

 既にゼロを切った心のHPを更に攻めるシウに、もうお手上げだった。



・・・・・・・・★


「好きな人のことは全部知りたいのだ」


 次の更新は急遽、イコ視点の閑話を入れます。なので17時05分を予定しております。

 続きが気になる方は、フォローをよろしくお願いいたします。


 そして、10月20日ラブコメカテゴリ週間ランキング29→25となりました!

 週間総合ランキングは166→135です。


 公開して一週間、おそらく初期ブーストがかかっていた今日がMAXだと思います。皆様、ありがとうございます! 小耳に挟んだ噂では★3が一番ランキングに影響があるようなので……何卒、ご協力よろしくお願いいたします!

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