第18話 一日1キス、1ハグは絶対
こうして義理の娘と関係を持つことになったユウは、盛大に頭を抱えた。
そもそもイコとしか付き合ったことがない……いや、そもそもイコともろくな恋愛をしてないユウには手に負えない
受け止めるも何も、どうすればいいんだ?
イコさんともまともなデートもしたことがないし、キスだって……。酔っ払った時に勢いでされるくらいだぞ?
一緒にお風呂に入ったこともないし、まともに裸も見たこともない。胸に触れる時は大抵服の上からだけで、直に触った記憶もない。
「あれー……? 僕とイコさんって何の為に結婚してるのかな」
「どうしたの、ユウ?」
勿論、その為だけに結婚したわけじゃないが……それにしても、あまりにも報われなさすぎじゃないかな?
自分達が特殊なケースだってことは自覚している。それを選んだのも自分だから、彼女を責める気もない。
「あの……ね、ユウ。私、彼氏が出来たら憧れていたことがあるの」
彼氏……そうか、彼氏になるのか。
いや、父親なんだけどと複雑な思いを抱きながら彼女の話に耳を傾け続けた。
「会った日には絶対にキスしてハグして欲しいの」
「一緒に住んでる僕達は、強制的に毎日ってことだよね?」
いやいやいや、妻であるイコさんともしてないのに無理を言わないでほしい。ただでさえバレないようにしないといけないのに、何を考えているんだこの子は……と、神経を疑いたくなった。
「ダメなんだ……夢だったのにな」
唇を尖らせて拗ねるシウが可愛くて、つい了承してしまった。こうしてどんどん主導権を握られてしまうのだろうかと、肩身の狭い未来が目の前に広がった。
それだけのリスクを負うのなら、自分も交換条件を出さないといけない。
「シウが18歳になるまで、性行為はナシだからね」
「え……! 何で⁉︎」
「当たり前だろう? そもそも親子である前に青少年保護育成条例で18歳未満への淫らな行為は禁じられているんだから。僕を社会的に殺したくなければ守ってくれ」
「おぉ! ユウ、物知り」
パチパチと拍手する仕草は可愛いけど、本当に理解してるのかと頭が痛くなった。
「でもね、真剣な交際なら罰せられないって知ってた?」
「そうだとしても、本当に僕のことを好きだって言うなら我慢してくれ。そういう行為をしたいなら他の男と付き合えばいい。止めやしないよ?」
冷たく突き放しすぎたかと心配したが、彼女は渋々「分かった」と納得してユウの左手に手を添えた。少し汗で滲んだ手からほんのりと体温が伝わってくる。
「………大好き、ユウ」
いくら愛の言葉を伝えられても、ユウには返すことはできなかった。一方的な囁きを聞き流して、ひたすら車を走らせた。
・・・・・・・★
「諦めるのに比べたら、二年待つくらい容易いくらいだもん……」
次の更新は12時05分を予定しております。
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