第12話 疑ってしまうのは、自身にやましさを抱いている証拠?
『了解ー、私も丁度予定が入ったから気にしないで。もしかしたらそのままホテル泊まってくるかも』
イコさんからのメッセージにホッと胸を撫で下ろした。定時に上がったユウは高校の近くのパーキングに停めてシウを待っていたが、憂鬱だと思いつつインモラルな行為に興味を持ち始ている自分もいる。
ステレオから流れてくる音楽に耳を傾けながらリズムを取っていると、コンコンと窓ガラスを叩く音が聞こえた。
「ただいま……」
見上げると制服を纏ったシウが覗き込んでいた。いつもと雰囲気が違って見えるのは、普段と違うメイクをしているからだろう。
艶やかで大人っぽい雰囲気に、思わず息を飲む。
「———って、制服⁉︎ まずくないか?」
「え、何で? 何がまずいの?」
「いや、女子高生と一緒にご飯とか、世間的にアウトじゃないか?」
しかも自分が予約しているのは、県内でも有名なホテルのディナーだ。そんなところに制服の女子高生を連れてはいけない。
「落ち着いて、ユウ。私達は親子なんでしょう? やましいことは何もない」
「———あ、そうか」
って、性的にアプローチしようとしているシウが言うのか⁉︎ 都合のいい時だけ親子を利用するなんて、強かにも程がある。
そもそも自分達は27歳と16歳……親子というよりも
「ユウみたいな若くてイケメンの
「そんなこと、何でシウが知ってるんだ?」
「———想像?」
本当か? 信じてもいいのか? 父親としては非常に聞き捨てのならない言葉だったが。
「そこのモールで服を買って行こうか。いちいち周りに説明をするのも面倒だし」
「いいの? やった、デートみたいで嬉しいな」
無邪気に喜ぶシウを見て、そういやイコさんとはこんなデートらしいデートをした記憶がないなと思い出した。大学を卒業をするまでは、
それに常にシウがいたから、恋人である前に既に家族だった。
「……ユウ、どうしたの?」
そう考えるとこれは、自分にとって初めてする異性との二人きりのデートということになる。複雑だな、その相手が娘だなんて。
「いや、それはそれで笑い話になるかな」
首を傾げるシウを助手席に乗せて、モールへと向かった。こうして二人の駆け引きが始まった。
・・・・・・・・・★
「十歳も年下の子供にドキドキしたなんて口が裂けても言えないけど、それもまた笑い話になる日が来たら救われる」
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