高く 高く 高く

冬が来る前に輝く太陽

グラウンドを染める赤い空の炎


小さなボールを追いかけて

ただ走るだけの僕に

砂に塗れた汗と匂い


手作りのフラッグの下で

僕たちを見下ろしている君を見て


間違いなく

僕だけを見ていると

勘違いしてた僕は子供さ


幼い瞳に包まれて

あの頃は

誰にも見向きもされない競技場

僕は精一杯に走ったんだ


目の前にあるディフェンスライン

誰にもパスをせず突き抜けようとした


ただ君だけに僕を

見せようとした若い日々に

後悔はしないさ

だけど苦笑い


最後に蹴り上げたレモン型のボールは

僅かにゴールを外れて

これで全てが終わったと

見上げた空は青かった


丸いボールなら

辿り着けたかもしれない

そこを守る人がいるからこそ

あの網に掛けた囲い

やっぱり越えることは出来なかった

やっぱり出来なかったんだろう


歪な形のボールならば

手を離して仕舞えば

何処へ転がるか分からない


高く高く高い空

掴めると思っていたんだ

あの頃は


しっかり掴んでいないと

何処へ行くか分からないラグビーボールを

小脇に抱えてつまづいたとき

転んで離してしまったのさ

恥ずかしいね君の前で


君が居てくれたなら

高く高いあの思い

掴めると思っていたんだ

高い空を


高く高い

憧れを

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