5話
「ウゴォーン!」
ゴーレムは地面を削るように殴りつけ、削り取られた岩がこちらに飛んでくる
「アクアスラスト!」
『Auto REFLECTION』
それぞれのスキルで岩に対応してみせる、なりたて冒険者の雅とクリスタル
岩を防いだのも束の間、巨体に似合わぬ速さで突進してくる
「もう!危ないでしょ!みやビーム!!」
必殺みやビームを放つ、がしかし、急停止したゴーレムは両腕で地面を殴り付け、岩の壁を生み出す
「防御壁!?」
今までの魔物とは、明らかに違う知能的な動きを見せ、生み出した岩の壁に、みやビームが相殺されてしまう
「そんな、みやビームが…」
魔王すら倒してしまうと言われた最強スキルも、当たらなければどうということはない、ということを痛感させられた
「ウゴォーン」
落ち込むのもままならぬうちに、追撃を開始するゴーレム
巨大な拳が雅に撃ち込まれる
『Auto REFLECTION』
『雅ちゃん!落ち込んでる場合じゃないよ!1回当たらなかっただけ!大丈夫!』
「ステちゃん、ありがとう」
頭を振り、気合いを入れ直す
「アクアスラスト!」
クリスタルも果敢に攻める、が、またもや防御壁に阻まれてしまう
「あの壁が邪魔だね」
う~んと目を閉じ思考を巡らせ、何か閃いたのか、左の手のひらに拳をポンっとする
「そうだ!クリスタルさん!私の足下に水の剣をバビューン!てしてくれませんか?」
「えっ!?しかし…」
ウオオオオオと雄叫びを上げ、またもや突進をしかけてくる
「大丈夫です、私を信じてください」
「迷ってる暇はなさそうです、雅さんの策を信じさせてもらいます」
「アクアスラスト!」
「みやビーム!!」
クリスタルの攻撃が雅の足下に伸びていき、みやビームはゴーレムへと放たれる
案の定防御壁を生み出し、みやビームは相殺
アクアスラストが、雅の足下に届くそのタイミングに合わせ跳躍
【Auto REFLECTION】
アクアスラストに対して発動されたオートリフレクションにより、アクアスラストが下方向に反射され、雅がその勢いを受け空中に投げ出される
「雅さん!」
「大丈夫です!成功しました」
空中に放り出された雅は、防御壁の上を通過し、ゴーレムの真上に到達
「決めます!みやビーム!!」
「ゴ、ゴゴ…ッ!?」
真上から放たれたみやビームに、為す術なく貫かれたゴーレムは爆散した
【Auto REFLECTION】
地面への落下の衝撃も、難なく反射しノーダメージで着地
「雅さん!」
「やりましたね!」
ボス撃破に歓喜していると、奥の大扉が開いていくのが見えた
「やはり、倒したことで道が開ける仕組みだったようですね」
「わーい!アイテムもゲットしました」
金の延棒のようなアイテムをしまいながら、出口に向かい歩き始めたその時
「雅さん、ちょっと待ってください」
「ん?どうしたんですか??」
「これを見てもらえますか?」
クリスタルが指差す方には、先の戦闘で空いたと思われる、人1人がなんとか通れそうな穴があった
「なんだか奥に続いてるみたいですね」
「どうされますか?」
どうしたものかと悩んでいると
『雅ちゃん!奥に敵の反応はないよ!もしかしたら宝箱が隠されているかも!』
(え!宝箱!)
思わず飛び跳ねる雅を、不思議そうに見つめるクリスタル
「どうかされましたか?」
「あ、いえ、奥に宝箱とかあるかもしれないな~と思って」
「宝箱ですか、それは興味深いですね。もし無くてもすぐ戻ればいい話ですものね」
宝箱に釣られ穴の奥へと進む判断をした2人
「では、私から先に行きますね」
クリスタルの先導で、四つん這いになって穴へと入って行く、雅の目の前にはクリスタルのお尻だけが広がっている
(綺麗なお尻だなぁ、あのおじさんが触りたくなったのも分かる気がしちゃう)
などと失礼な事を考えていると、穴の先に辿り着いた
「奥に何か居ますね」
「え、魔物ですか!?」
奥に目をやると、誰かが座っている
「人…ですかね?」
「こんな所に人が居るとは思えませんけど…」
恐る恐る座り込む人?の元へ向かう
「あの~すみません、大丈夫ですか?」
「…………」
返事のないその人物は、
白い髪に、高い位置で作られたポニーテールの女性?で、機械の腕に、体のラインがハッキリわかるボディスーツを着ている
「お、お姉さ~ん?」
雅が体に触れたその時、眩い光が手から溢れ出す
「なになになに!?」
「……起動…」
カッと目が開き、機械音が響く
「え?えっと?」
「下がって!」
その場を離れ身構える2人、ポニーテールの女性は、ギロリとこちらに視線を向けてきた
「私を目覚めさせてくれたのはそなた達か?」
「あ、はい、起こしてしまいました」
「そうであったか、私はB.G3000年に造られた、人型兵器【フリーダム】。この度は目覚めさせてくれてありがとう」
正座で頭を地面に付け、最大級の礼式、土下座で感謝の意を伝える
「や、や辞めてください、そんな大したことしてないです」
思わず駆け寄り、顔を上げるように促す
「B.G3000年!?」
クリスタルが驚嘆する
「どうかしたんですか?」
「どうもこうもありません、B.G3000年というと今から5000年以上も前ということです」
「うえええ!?」
『説明しよう!B.G3000年と言うのは、所謂紀元前3000年!今この世界は2023年だから、フリーダムが造られたのは、5023年前ということになるんだ!』
(なるほどなるほど、って5023年前!?)
ようやく事の大きさを理解した雅
「しかし、久しぶりの起動で体がなまっているな。そなた達、よければ手合わせ願えるか?」
「はい??」
「唐突なご提案ですね、私達になんのメリットが?」
キッとフリーダムに鋭い眼光を飛ばす
「うむ、それもそうか。では、もし私から1本取れれば、そなた達に仕える、と言うのはどうだ?」
(ステちゃん、どうしたらいいと思う?)
『恐らくフリーダムは、ロストテクノロジーによって造られた存在。ここで無視して誰かに悪用されるよりは、仲間にしておいた方が得策かもね!』
(わかった!)
ステちゃんの助言を受けて、フリーダムに1歩歩みよる雅
「雅さん?手合わせを受けるのですか?」
「はい、仲間が増えるのはありがたいことですし」
「分かりました、断っても、はいそうですかという訳にもいかなそうですものね」
互いに顔を見合わせ、戦闘態勢を取る2人
「よい顔だ、2人がかりで掛かってこい!」
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