第75話 幼馴染たちのアドバイス
「明日は、いつも忙しくて、家にいないことが多い春百合ちゃんのお父様が、家にいるということなので、春百合ちゃんの両親が二人とも家にいるというこの機会に、春百合ちゃんの両親にあいさつに行きたいとは思うんだけど……。春百合ちゃんのお父様、俺のこと、友達としてなら受け入れるかもしれないけど、結婚を前提に付き合いたいですっていったら、怒られて、春百合ちゃんに会わせてもらえなくなっちゃうんじゃないか、と懸念をしているんだ。そして、もし、それを受け入れてもらったとしても、後継者にならなくてはいけないと思う。今の俺にとっては重荷なんだ」
俺がそう言うと、大七郎は、
「お前、春百合ちゃんが好きなんだろう?」
と少し冷たい口調で言った。
「もちろん。大好きだ」
少しまだ恥ずかしい。
「お前はいろいろ細かいことをいつも考えすぎると思う。普通は、それでいいと思うし、それが、お前の優れているところだと思うが、恋愛の場合はもっとシンプルに行くべきだ。お前の春百合ちゃんへの熱い気持ちを春百合ちゃんのお父さんに熱意をもって伝えればいい。結婚を前提とするじゃなくて、『大人になったら結婚させてください。春百合さんを絶対に幸せにします』ときちんと言うんだ、俺もお父さんに幼い頃、遊んでもらっているけど、いくら厳しさを全面に出す人柄に変わったとは言っても、本質的なやさしさは変わっていないし、お前に対する理解もあると思うんだ。後継者のことについても、お前は思っていることがあるんだろう?」
「後継者のことを話す前に、まずアドバイスをありがとう。お前のアドバイスも取り入れて、こう言うつもりでいるんだ。『わたしは、春百合さんとの仲を深めていくことと、自分を磨くことについて一生懸命努力しているので、春百合さんと大人になったら結婚させてください。絶対に春百合さんを幸せにします』と言った後、『後継者になるかどうかのについての結論はもう少し先にさせてもらいたいと思います。俺は、まだ高校生ですし、そこまでの自信はありませんので。しかし、後継者にふさわしい人物になる努力は一生懸命行っていこうと思っています。それは、自分磨きにも通じる話だからです。実際に結婚をする前までには、必ず結論を出します』と言うつもりでいるんだ。でも、そう言っても受け入れられないのでは、という気持ちがある。そして、俺の方が、身勝手な意見を言っていると思われるかもしれない」
俺がそう言うと、
「そういうところも考えすぎだと思う、お前は春百合ちゃんのことを好きだし、結婚したいと言っている。後継者の話は、大切な話かもしれないが、まずはお前たちが納得して、お互いに幸せになることの方が大切なことだと俺は思う。お前が春百合ちゃんとの結婚。そして、後継者のことを真剣に考えているという、その熱意を伝えていけば、きっとお父さんは理解してくれる。春百合ちゃんもそう思うだろう?」
大七郎が熱を込めてそう言うと、春百合ちゃんは、
「大七郎ちゃんの言う通りだと思う。わたしのお父さんは、きっと浜海ちゃんの熱意を受け入れてくれると思う。そういう人だと思っている。お母さんも受け入れると思っている。大丈夫。受け入れない時は、わたしも一生懸命説得するから。そして、後継者のことは、浜海ちゃんに任せたいと思っている。どちらを選んでも。わたしは浜海ちゃんについていく。わたしは浜海ちゃんのものだから」
と言ってくれた。
「わたしも応援するわ。わたしの経験から言っても、浜海ちゃんが熱意を込めて説得して、春百合ちゃんも熱意を込めて一緒に説得すれば、きっと受け入れられるはず」
寿屋子ちゃんもそう言ってくれる。
俺の目からは涙がこぼれてきた。
「みんな、勇気を与えてくれてありがとう。これで、明日、春百合ちゃんの家に行って。あいさつをすることできる。きっと、春百合ちゃんと公認の仲になれる」
「わたしからもありがとうと言いたい」
春百合ちゃんも涙を流し始める。
「いい報告を待っているぜ」
「春百合ちゃんと浜海ちゃんだったら。、きっと春百合ちゃんの両親を説得できる」
大七郎と寿屋子ちゃんは、力強く応援してくれている。
俺の心と体の奥底の方から。力がどんどん湧いてくるような気がしていた。
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